つばさ

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新聞が一番面白くなるのは、議会がよけいな口を出さない時だ」

2013年02月21日 | Weblog
春秋
2013/2/21
 奇妙な決まりがなくなるのはいいことだ。それにしても5年と4カ月。つまらぬしきたりも、いったんできあがってしまえば壊すのにずいぶん時間がかかるという見本になりそうだ。国会同意人事をめぐる「事前報道ルール」を撤廃することで与野党がやっと合意した。
▼日銀総裁や公正取引委員長などの人事は政府の提案に国会がウンと言ってはじめて正式に決まる。ところが、新聞やテレビが政府案をスクープすることがある。そうなったら国会はもう提案を受けつけない、というのが問題のルールである。事前報道によって国会の審議が形だけになる。そんな理由で仕組みはつくられた。
▼風が吹けば桶屋(おけや)はなぜもうかるか。広辞苑に載っている。しかし、人事が報道されると審議はなぜ形骸化するのか。理屈はいまに至るもとんと分からない。当方買いかぶられたのかもしれないが、人事を決めるのはメディアではない。どう報じられようとも、ふさわしい人物かどうかを存分に議論するのが国会の役割だろう。
▼「新聞が一番面白くなるのは、議会が開かれていない時だ」と20世紀前半の英国のコラムニスト、アラン・ミルンは書いた。議会の報道のかげであまたのニュースが落ちてしまうことを嘆いた皮肉屋の見識に半ばうなずきつつ、こう並べてみることにする。「新聞が一番面白くなるのは、議会がよけいな口を出さない時だ」

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