春秋
2013/1/22
「自分の城は自分で守れ」とはトヨタ自動車の「中興の祖」といわれる石田退三氏の言葉だ。戦後の労働争議の後に社長に就任し、「無駄金はびた一文出さぬ」と、徹底的なコスト削減に取り組んだ。会社の基盤固めに大いに貢献したのがこうしたケチケチ経営だった。
▼ただ石田氏は、企業の成長のためにドンとお金を出すことも忘れなかった。工場の生産能力が月間5千台のとき、同じ愛知県豊田市内に新たに月産5千台の工場建設を決断する。現在の元町工場だ。1959年に操業を始め、「クラウン」を続々と送り出した。日本の自動車産業を飛躍させる投資だったともいえるだろう。
▼経済の先行きは混沌としているが、コストを切り詰めるだけの「縮んだ経営」になっていないだろうか。上場企業は現預金などの手元資金を約60兆円も積み上げている。企業の将来を考えれば、投資すべき案件には思い切って投資することが必要だ。設備、研究開発、M&A(合併・買収)など、お金の振り向け先は多い。
▼半世紀の歴史がある元町工場からは自動車生産の新しいノウハウが生まれている。組み立てラインが従来より短くて済み、設備投資を大幅に節約できるという技術だ。新興国などでの工場建設や増産に踏み切りやすくなりそうだ。技術革新は自動車産業に限らない。「自分の城を守る」には未来への積極投資も求められる。
2013/1/22
「自分の城は自分で守れ」とはトヨタ自動車の「中興の祖」といわれる石田退三氏の言葉だ。戦後の労働争議の後に社長に就任し、「無駄金はびた一文出さぬ」と、徹底的なコスト削減に取り組んだ。会社の基盤固めに大いに貢献したのがこうしたケチケチ経営だった。
▼ただ石田氏は、企業の成長のためにドンとお金を出すことも忘れなかった。工場の生産能力が月間5千台のとき、同じ愛知県豊田市内に新たに月産5千台の工場建設を決断する。現在の元町工場だ。1959年に操業を始め、「クラウン」を続々と送り出した。日本の自動車産業を飛躍させる投資だったともいえるだろう。
▼経済の先行きは混沌としているが、コストを切り詰めるだけの「縮んだ経営」になっていないだろうか。上場企業は現預金などの手元資金を約60兆円も積み上げている。企業の将来を考えれば、投資すべき案件には思い切って投資することが必要だ。設備、研究開発、M&A(合併・買収)など、お金の振り向け先は多い。
▼半世紀の歴史がある元町工場からは自動車生産の新しいノウハウが生まれている。組み立てラインが従来より短くて済み、設備投資を大幅に節約できるという技術だ。新興国などでの工場建設や増産に踏み切りやすくなりそうだ。技術革新は自動車産業に限らない。「自分の城を守る」には未来への積極投資も求められる。
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