春秋
9/5付
ちょうど60年前の秋、米国の第14代連邦最高裁長官にアール・ウォーレンが就任した。ときの大統領はアイゼンハワーである。ウォーレンは保守的な人物だから冒険はしまい。そう信じて大統領は彼を指名したというが、意外なことに、その「期待」は大きくはずれる。
▼人種差別や女性の権利などをめぐる裁判で、「ウォーレン・コート」は次々に画期的な判断を下したのだ。のちにアイクは「人選を間違えた」とぼやいていたと伝えられるが、これは長官の個性のせいばかりではなかったろう。米国が抱えていた構造的な問題に切り込もうとする時代の勢いが、司法を動かしたに違いない。
▼きのう、わがニッポンの最高裁大法廷は婚外子の相続差別を違憲とする決定を出した。明治以来の、民法の古めかしい条文が戦後68年にしてようやく消える運びとなる。違憲判断も予想されながら10対5でそれを退けた前回の決定から18年。こんどは竹崎博允長官を含む裁判官全員一致で違憲だ。時代がその変化を導いた。
▼そういう潮流を感じ取って制度を改めていくのは立法府の仕事だが、そこが動かないから司法が踏み込むことになる。今回の「全員一致」の重みを、よくよく考えてみるがいい。年内にも判決が出るとみられる衆院選「1票の格差」もまた、そんな流れのなかにあるのだ。「竹崎コート」の存在感は政治を問うてやまない。
9/5付
ちょうど60年前の秋、米国の第14代連邦最高裁長官にアール・ウォーレンが就任した。ときの大統領はアイゼンハワーである。ウォーレンは保守的な人物だから冒険はしまい。そう信じて大統領は彼を指名したというが、意外なことに、その「期待」は大きくはずれる。
▼人種差別や女性の権利などをめぐる裁判で、「ウォーレン・コート」は次々に画期的な判断を下したのだ。のちにアイクは「人選を間違えた」とぼやいていたと伝えられるが、これは長官の個性のせいばかりではなかったろう。米国が抱えていた構造的な問題に切り込もうとする時代の勢いが、司法を動かしたに違いない。
▼きのう、わがニッポンの最高裁大法廷は婚外子の相続差別を違憲とする決定を出した。明治以来の、民法の古めかしい条文が戦後68年にしてようやく消える運びとなる。違憲判断も予想されながら10対5でそれを退けた前回の決定から18年。こんどは竹崎博允長官を含む裁判官全員一致で違憲だ。時代がその変化を導いた。
▼そういう潮流を感じ取って制度を改めていくのは立法府の仕事だが、そこが動かないから司法が踏み込むことになる。今回の「全員一致」の重みを、よくよく考えてみるがいい。年内にも判決が出るとみられる衆院選「1票の格差」もまた、そんな流れのなかにあるのだ。「竹崎コート」の存在感は政治を問うてやまない。