石橋幸緒のごきげんグラシアス!

日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属
正統派??将棋女流プロ棋士が勝手に発信する気まぐれブログ

女流王位戦第4局対清水女流王位。

2006-11-03 | しょうぶ&はたらく

頭をクリアにするためしばらくネットから離れてました。が竜王ブログも細かい変化まで更新されてましたのでこちらも頑張ってみます

30日 徳島空港から対局場のホテルクレメント徳島へ。
前回挑戦の時は第3局で終わってしまったので徳島へ来れずにいて、実に10年ぶりの徳島対局でした。
検分を済ませたあと駅前を少し散歩。
前夜会食のあと関係者ご一行は阿波踊り会館へ見学に行かれたようですが、明日があるので失礼して早めに就寝
対局前夜はipodで音楽を聴ききながら自然に寝付くことが多いです。

31日 例によって洋食バイキングでしっかり朝食。外の空気を吸ってから対局室へ。やはり四国はやや暖かかったですね。

対局の模様や詳細は徳島新聞社の特設ページをご覧下さい。
まだ主催新聞紙上や専門誌に観戦記が出てませんので、タイトル戦に関しては1図のみのUPとします。
指し手や進行に関するご質問はまた後日にまとめてお答えしますので、何か疑問点がありましたらなんなりと書き込んで下さい
1~4局通してお答えしたいと思います。
            
            
序盤は▲2五歩を決められると思っていたので予定通り振り飛車穴熊を採用。相穴熊も考えられましたがまぁ予想は銀冠かと。
その後の△6二銀から△7一銀左も予定の松尾穴熊。(松尾歩六段が指し始められたらしいが藤倉勇樹四段との説も)しかしなにしろ公式戦では初の試みでしたので組みきれるかどうか心配なところはありましたが無事に過ぎました。ちなみに振り穴は採用率低いですが結構好きな戦型です
45手目で昼食休憩でしたが今シリーズ初、てか清水さんとはめったにない駒がぶつかってない局面での休憩入りでした。
ただすでに煮詰まってきているだけに午後は相当な勝負が予想され、昼食はまったく喉を通らず。
再開後はお互いしばらく間合いを計りながらまったりと思っていましたが、51手目の▲4八飛に△2二角が意表を付いた打開だったようです。もちろん当初の予定通り千日手狙いで△42飛と合わせる手もありましたが、ここに飛車が行ってしまうと縦にしか動けなくなるので、これ以上は金銀を動かすしか手がなくなってしまいます。
そこに違和感を感じたため手を変えたのでした。
もちろん▲45歩△同歩▲同飛△44歩▲47飛△35歩▲24歩△同歩▲27飛も気にしないといけないので指しずらいところもあったのですが。(上記変化は△33角▲35歩△51角で大丈夫のようです)
34分の長考で▲3八飛と妥協されたのに対し、△1三桂も継続の一手。部分的にはよくある手ですが。
59手目▲4五歩からの仕掛けは意外に軽視してました。△同歩▲4八飛△4二飛でどうするのかと思ってましたから。ここで第一感の▲65歩は△同歩▲42角成△同角▲45飛△44歩▲48飛△64角で後手の堅さが生きる展開となり優勢でしょう。しかしじっと▲3七桂溜めが普通ながら好手でした。
局面的には玉が四枚で堅く、飛角も動きやすくて、端の桂香も動いているので振り飛車なんの不満もないのですが・・・・・・。ムズカシイ。
考えれば考えるほど難しい局面がこのあとしばらく続きました。
なかなかハッキリとした手順で優勢にするのは本当に難しかったようです。今思えばこのあたりに今シリーズのツキのなさが出ていたようです
このあとの手順はここで書きつくせないくらい複雑だったので、週刊将棋将棋世界などで読んでいただければと思います。
ただ見た目ほど押さえ込まれてはいません。先手は常に強い戦いがしにくいので神経を使う将棋になっていますから。
両者が「なんとかできそうな中盤だけど意外に難解」だといった形勢だと思います。

進んでこの図面。
           
ここではやっと我慢が実って60:40で良くなったかと思ったのですが、どうやらその形勢判断が甘かったようです。元来楽観派なものでどうしようもありませんが
微妙に駒得で玉の堅さが上で、先手の飛車の捌きを防いでいてと金がソッポなので指せると踏んだのですが。実際には53:47くらいかも知れません(ちょっと誤差ありすぎだろあたし
直前の92手目▲3五成桂では▲35角で角を早く捌いたほうがよかったのでは?との記録係池田三段の指摘がありました。あたしはついつい三枚換えの成桂取れる順に目がくらんでしまった訳ですが。貧乏性ですね、ハイ
そしてこの局面で▲2九飛に対しての△2四歩が甘く敗着になってしまったようです。△46歩とか△56歩と一手早く攻めるべきでしたが、それでもまぁかなり難解でしたね。どこかでもう一手調節できれば後手が勝ちそうではありますが。
この△2四歩は予定通りで、ここで先手の指し手が難しいだろうと思っていたのですが▲4一となんていう素晴らしい手が落ちてました
この一枚が来るのは大誤算です。指されたとたんに寒気がしました
後は△5七角成と成り込んだものの△67歩と垂らせない為、思うような攻め筋がなくどうにも足りませんでした
それにしても終盤は予想以上の差が付いてしまいましたね。

しかし本局はタイトル戦や決勝での自分史上一番力の出せた将棋だと思います。もう少し粘れたらよかったですが、この玉でこの将棋で負けたのでは仕方ありません。今の実力はここまでだったという事です。
清水さんの強さを久々に肌で感じた一局でした。
徳島新聞社や徳島の皆様、お世話になりましてありがとうございました


今回の女流王位戦は第1局こそ空回りしてしまった内容でしたが、2局目以降はいろいろな自分の持ち味と可能性を出し切れたシリーズでした。
しいて言えば第2局で急に急ぎすぎて勝ち損ねた事が悔やまれます
ただ今現在の全力は出し切ったタイトル戦は初めてだったので、そこのついては一定の満足感もありますし、今後の課題もより明確になったのでこれからをまた新たなスタートとして、もうひと回り大きな将棋を指せるように精進します
応援してくださいました皆様、ご期待には添えず申し訳ありませんでしたが、ありがとうございました
次の戦い、次の目標、次へのワンステップを目指してLet’s Challengeです


追記:大型台風との賭けに負けたため、かに料理フルコースを奢るはめになって散財したのでやっぱり悔しいです