からくの一人遊び

音楽、小説、映画、何でも紹介、あと雑文です。

折坂悠太 - 犬ふぐり

2021-03-01 | 小説
折坂悠太 - 犬ふぐり



椿屋四重奏 - いばらのみち



Joe Strummer and the Mescaleros 'Redemption Song' (Official Video)



Bob Dylan "One More Cup Of Coffee" LIVE performance [Full Song] 1975 | Netflix




(ちんちくりんNo,5)


 標圭太と如月貢、ついでに僕こと神海人が出会ったのは入学式の翌日、大学のオリエンテーションを終えた後だった。
 学舎内での大学生活のこと、教科の申請、キャンパス内の施設について等々の頭が混乱するような説明を受け、様々な申し込み用紙やらを肩掛けのバックに仕舞い、相当数の新入生の波に押されながらやっと外に出ると、正門まで直線200メートル程の間に沢山の学生と思われる集団が立ち並んでいた。勿論新入生が通れるだけの幅を取って両脇に並んでいるのだが、おのおの何やらプラカードを掲げていた。

 ”カップル多し、来たれテニスサークル!”

 ああ、サークルの勧誘か。ひとつ目についたプラカードの文字が目に入って気づいた。見ていると先行く新入生たちに近づいて、それぞれチラシを配っている者も声をかけている者もいた。興味を持ってもらったらしく、プラカード群団の少し離れた後ろに控えている「体験入部受付」なるところへ案内している。そうかと思うと新入生自ら目当てのクラブやサークルを探している様子も見受けられた。
 取りあえず歩いてみるか、僕は大学生活の中でやりたいことはあったが、特にそのための「集団」に入ろうとは考えていなかったので、適当に見て歩くことにした。
 テニス、バスケット、登山、書道、バドミントン、茶道、漫研に旅行同好会―。様々なサークルや同好会やらがあり、チラシを受け取り手を引かれたりしたが特に興味を持てるものはなかった。勧誘の列も切れた。そこで正門の近くまで辿り着いたし、もうこれで終いだろうと油断していたところで、スッと斜め右からチラシを手渡された。”映画研究部“その五文字を目にして僕は、ふと自作を使ってもらえるだろうか、と立ち止まりやけに挑戦的な目をしたチラシ配りの主、その先輩の顔をまじまじと見たのだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする