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脱線防止ガードと逸脱防止ガード

2015-02-16 00:42:55 | gallery:線路

地震の横揺れによりレールと車輪がぶつかり合うことで脱線する現象をロッキング脱線と言います。

2004年に起きた新潟県中越地震の脱線事故原因も、このロッキング脱線だったとされています。

以降、各新幹線の脱線・逸脱防止対策は急速に進んでいます。

まずは東海道新幹線から見てみましょう。上り線のみ脱線防止ガードが設置されています。

(2015年時点では上り線だけでしたが、現在は下り線も施工済みです)

枕木1本おきにヒンジが取り付けられています。

未施工の軌道との境界はこんな感じ。取付金具の関係かPC枕木の交換も必要みたいです。

反対側は途中から脱線防止ガードが内側に倒されていました。

これは保線作業の際に脱線防止ガードが邪魔にならないようにするための状態です。

ガードは数メートルごとに分割されており、端部のヒンジのみ黄色く塗られています。

人力でも倒せますが、脱線防止ガード転換ロボットなるものも存在するようです。

車両側には台車の中央部に逸脱防止ストッパを追加することで、仮に脱線してもストッパがガードに引っかかって大きく逸脱することを回避出来るようにしています。一本リンクの左下につくヒレのような部品が逸脱防止ストッパです。(N700系)

その他、盛土区間ではバラストをジオテキバッグに入れて道床の崩れを抑制しています。

 

一方、山陽新幹線では軌道センターに逸脱防止ガードの設置が進んでいます。

この逸脱防止ガードは標準7mピッチで、枕木を交換しなくても設置できる点が特長です。

ただ、あくまでも逸脱防止用なので脱線そのものを防止することは出来ません。

地上子を設置する場合は専用の土台に載せられる構造となっています。

 

上記の逸脱防止ガードは専用品で高価であったため、60kg廃レールを使用した低廉化版が新たに開発されました。2016年度から設置が開始された姫路以西の区間で採用されています。

台車部品との接触を避けるため、この逸脱防止ガードを設置する際は中央部が凹んでいる新型マクラギに交換します。このマクラギは底部に弾性材が付いた防振型で、機械施工が可能なパンドロール社のファーストクリップ締結装置が採用されています。

 

平板スラブ軌道にも逸脱防止ガードが取り付けられるようになりました。

姫路駅構内の防振スラブ軌道の試験線は、2016年迄に取り付けてあることを確認済みです。

バラスト軌道の逸脱防止ガードと比べて横幅が広く、取り付けピッチは軌道スラブの標準長さである5mに揃えてあることが分かります。台車接触を避けるため薄型となっています。

 

九州新幹線は大部分が枠型スラブ軌道のため、専用の脱線防止ガードを取り付けています。

東海道新幹線のバラスト軌道用と同様に内側に倒せる構造のようです。

西日本の平板スラブ軌道用と異なり複数の軌道スラブに跨るような取り付け方でした。

 

東北・上越・北陸新幹線系統では台車軸箱の下にL型のガイドをつけることで逸脱防止を図っています。写真はE4系のTR7007台車で、E5系以降は新製時から標準装備されるようになりました。

車両が脱線して逸脱防止ガイドがレールに当たると、レールが横方向に受ける力が大きくなるためレール転倒防止装置を設置します。

締結装置の間にある金具が転倒防止装置で、スラブ1枚に対して1組ずつ取付られています。

2004年に発生した新潟県中越地震による脱線事故では、車両と接触した衝撃によりレールが吹き飛ばされてしまい、車両の逸脱も大きくなりました。

2022年に発生した福島県沖地震による脱線ではこれらの対策により被害は最小限で済みました。

上写真は復旧後3ヵ月の当該区間(白石市付近)です。軌道スラブはそのままで締結装置の交換のみで済んでいます。逸脱防止ガードの再設置はされていませんでした。

 

2017年以降はバラスト軌道用の転倒防止装置の導入も進んでいます。

こちらはレール締結装置を覆うような形状で、脱輪した車輪から締結装置を保護して軌道全体でレールの転倒や横移動を防いでいます。小返りを防ぐ現代版のチョックといった感じです。

これらの対策でより安全な運行ができるといいですね。

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2024/3/10 加筆修正

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