駅などで列車が逸走や過走をした場合、本線を走行中の車両と衝突事故を起こす可能性があります。
それを未然に防ぐため設置されているのが安全側線です。左に分岐している短い線路がそれです。
信号が停止現示のとき、分岐器は安全側線の方向に開いています。この状態が定位です。
写真の分岐器は乗り越し分岐器といって、本線側に欠損部(フランジウェイ)がない簡易的なもの。
安全側線のほかフログが可動式のものは保線車両が使う渡り線にも使用されています。
信号が進行現示になると転轍機は本線側に切り替わります。この状態が反位です。
安全側線の末端に立っている虎柄の枠は安全側線用緊急防護装置(EM)と言います。
進入した列車がこれを倒すと周囲の信号が停止現示になり、二次被害を防ぎます。
安全側線は行き違い設備のある駅や本線同士の合流地点などの手前に設置されていますが、ヤードの出入り口や駅構内などではスペースの制約から2線分をまとめているケースがあります。
下の場所は安全側線の先が本線ではなく留置線のため、EMが省略されています。
その代わりカーキャッチャー(制動靴、ヘムシューとも)が奥側の線路に取り付けられています。
カーキャッチャーは摩擦で車輪を制動するための道具です。手前側にも付ければいいのに…
分岐器は信号と連動するために電気転轍機が使用されることが殆どですが、保線基地の安全側線では手動式の転てつ転換器や錘付き転換器(ダルマ)の場合があります。
また、写真には写っていませんが本線との合流部には横取り装置が使用されます。
分岐器のリード部に車輪止めが付いていたり、車止めが第三種車止めⅠ号(甲)であったりと本線用の安全側線とは装備が異なりますね。
新幹線などの高速鉄道においても保線車用の留置線の合流部には安全側線が設置されています。
この手の用途の場合は砂利盛り+第二種車止めのパターンが多い気がします。
ほぼ直線の安全側線に脱線防止ガードが必要なのかは疑問です。
あと分岐器の可動部以外にもヒーターパッドが敷いてあるなど厳戒態勢です。
安全側線が並んでから終端部までの距離がやたらと長い場所もあります。
過走した列車が同時に進入することはまずありえないので建築限界を考慮していないのでしょう。
隣り合う線路が軌間より狭く並んでいるのがお分かりいただけるかと思います。
2015年の大晦日には高徳線オレンジタウン駅構内で、停止現示中に誤って発車した列車が安全側線に進入して脱線する事故がありました。乗客乗員にけがはなく安全側線が立派に機能した事例です。
続く
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2016/8/13 加筆修正
2024/3/11 加筆修正