趣味人Tの伝言

日々の趣味活動についてご紹介

荒屋新町の転車台

2023-06-17 15:27:32 | 転車台訪問

花輪線の山越えの起点となる荒屋新町には、かつて8620形が常駐していた旧盛岡機関区荒屋新町支区の転車台が今も残されています。

2021年10月17日に花輪線が全線開通から90周年を迎えることを記念して、花輪線90周年記念号が運行されました。この旅行ツアーに転車台の特別見学が含まれていたので参加してみました。

盛岡から2時間半弱で荒屋新町に到着です。

現在も保線基地として現役の設備ですので、見学するチャンスは中々ありませんでした。

駅前には説明書きの看板が建てられていました。バック運転の後補機2台とか凄すぎる…

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基地は駅出口と反対側にあるので、線路沿いからアンダーパスを経由して向かいます。

扇形庫内には入れませんでしたが、普段閉じている扉が開いている姿を見られたので満足です。

 

敷地内にやってきました。転車台にはモーターカーが載せられています。

上路式バランスト形で長さは50フィート(15.2m級)。通称G2。会津川口も同サイズです。

8620のホイールベースが14254mmなので丙線向けのサイズであることがわかります。

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時計回りと反時計回りで数回転する姿を見ることが出来ました。動画は下の方にあります。

今は車両の出し入れが主だと思いますので、これだけ回る姿は貴重だと思います。

 

1928年(昭和3年)10月に竣工、桁はドイツ・ハーコート社製の舶来品です。

ハーコート社の橋梁は中央線の飯田橋や水道橋などにも現役で残ってたりします。

余談ですが桁上の軌道モーターカーはHTR600形で記号の意味は、

H:ハイドロニック、T:トルクコンバータ、R:ロータリー、600:馬力(PS)、R:レール

とのこと。冬場はロータリヘッドを付けて除雪作業にあたるそうです。

 

銘板も記録。1903年とあるので25年ほどは他所で活躍し、移設された可能性が高いです。

大正から昭和にかけて輸送量の増大や機関車の大型化に伴い、転車台も大型化が進められ初期の小型・中型機を地方に移設する配置転換はよく行われていました。舶来品の転車台は国産化が進む前に設置されたものが大半なので移設率は高めです。(北濃千頭なども移設です)

 

牽引車は窓下のゼブラ模様が特長的。

G2で他に電動化されている転車台は、現存する場所だと信濃大町や小出くらいでしょうか。

 

ピットは玉石積みのようですが、本線に繋がる外周線の下はコンクリートになっています。

一番使用頻度が高い線路なので軸重による沈下対策でしょうかね?

 

ロック機構は板スライド式ですが、リンクやクランク等を用いた施錠装置は一切なく、人の手で板を外周線路に引き出すだけの古典的な造りです。

ここまでシンプルなロック機構は初めて見ました。

牽引車と反対側のスライド板は把手が付いていますが牽引車側の板にはありませんでした。

桁のロック作業は板の中央に溶接されたナットに棒を引っ掛けて行っていました。

そのひっかけ棒は牽引車に掛けられていました。(作業灯の下)

 

この棒、蒸気機関車の機関室に装備されている火室のかき混ぜ棒ではないかと思います。

手作りなのかバリエーションが色々とあるようで、上写真の牽引車に掛けてある2本も長さが異なります。ひょっとしたら8620の形見だったりするかもしれません…

上写真はC58 239 銀河。2018年撮影

 

扇形庫は1955年(昭和30年)12月竣工で、収容線は4線あります。夏場は使わないロータリーヘッドなどが保管されているかもしれません。隣にはコンクリートブロック造りの危険品庫もいました。

 

会場で初めて気が付いたのがこの車庫。今までただの倉庫かと思っていましたが、ちゃんと線路が伸びていました。写真には写っていませんが、手前側にも側線が2本あるので外周線は計7線と、この規模の基地にしては多めです。

花輪線90周年記念号は大館まで全線通しで運行されました。

大館からはつがる5号で新青森に向かい、東北新幹線で帰路につきました。

 

最後に動画を 

雨でちょいちょいスリップしてます

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盛岡の転車台(復活後)

2022-11-09 01:47:28 | 転車台訪問

残念ながら2023年春をもってSL銀河の運行が終了することになりました。

キハ141系700番台の老朽化が理由とのことですので、C58はまだ活躍してくれると期待しています。

復活前は草が繁茂していましたが、SL銀河運行に伴い2013年に研修庫が建てられました。

外装は旧国鉄盛岡工場のレンガ車庫を模したデザインで素敵です。

線路は1線のみですが、天井クレーンや排煙設備、見学スペースなどが整っているそうです。

敷地と駐車場の間に見学通路が作られているので転向を間近に見ることができます。

この日はSL銀河の運転日ではありませんでしたが、私以外にも何人か訪問者がいました。

転車台はすっかり現役の佇まいとなりましたね。

ヤグラに付いていた安全標識は無くなりましたが、手回し棒が新たに取り付けられています。

牽引車は塗装変更されただけで見た目は変わっていませんでした。

窓枠が替えられたり照明が付いたり牽引車そのものが更新されたりする場所も多いので、原型を維持しているのは貴重だと思います。

外周線の横にあるコンクリートの土台のようなものが気になっていたんですが、配置的に牽引車の乗降ステップみたいです。対向する短い側線にも設置されています。

以前は確認できなかった銘板も読み取ることが出来ました。

1949年(昭和29年)汽車製造株式会社 すて20(20m級下路式、レール直接締結)

楕円形の銘板は1984年(昭和59年)仙建工業株式会社とありますが、改造を受けたのでしょうか?

桁の設計荷重を示すKS-14と記載があるので牽引車の銘板ではないと思うんですが…調査中です。

 

牽引車の反対側にも円周軌条を履くためのブラシが付いていました。

豪雪地帯の倶知安のものと比較すると可愛らしいサイズですね。

本線に繋がる線路が定位置なのは昔から変わっていないようです。

残念ながらまだ動いている姿を見ていないので、次訪問するときは必ず車両とセットで拝みたいと思います。

それにしても駐車場のアスファルトの解体の仕方が雑だなあ…

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函館の転車台

2021-06-15 23:44:00 | 転車台訪問

新型コロナの影響もあり、最近はめっきり鉄道旅に行く機会が減ってしまいました。

それでもブログで紹介していない過去の記録は沢山ありますので、これも良い機会です

少しずつでもまとめていきたいと思います。

 

今回の記事もかれこれ11年前の函館運輸所の転車台が主役になります。(脇役も出ます)

現在は姿が変わってしまっているかもしれませんので、あしからずご了承下さい。

はい、1枚目から全部鬼籍と思われる車両達に囲まれている写真です。

あらためて車両のライフサイクルは短いなあと思いました。(車両の中では長老達だけど)

その一方で転車台などの地上設備は比較的長いこと使用されるので久々に訪問した土地でも残っていたりすると安心感があります。もちろん、撤去されてしまった時の悲壮感も大きいですけどね。

この転車台は20m級3点支持型の上路式(でて20-1)です。

たしか初めから電動で設計された国鉄型の転車台はこいつのみだったはず(前にも同じこと書いたような)

桁の側面に記されたHA KO DA TE の表記が異国情緒漂う街らしさを醸し出しています。

牽引車もとい操作室をアップで。銘板によると昭和33年製造のようです。

でて20-1は尺取虫が標準装備だったと思いますが、SL亡き今は撤去されてしまった場所の方が多いです。

桁が共通型式でもピットはその土地の地盤や地形に合わせた形態になりますので、深さや円周軌条の配置、排水設備の作りなどが異なることが殆どです。

キャットウォークの手すりは持ち手の部分のみトラ柄になっていますが、視認性は微妙な感じ。

SL函館大沼号が運行していた頃はC11の返却の際などに使用していたようです。

その他、気動車の転向で時折使用されているようですが、いまだ稼働するところは見られず…

その代わり、でて20-1とC11の組み合わせは下今市で定期的に見ることが出来ます。

現在は分かりませんがホームからも桁の姿が良く見えました。

この柵越しの転車台、見覚えあるなあと思って探したら金沢がそっくりな配置でした。

手前に駐車場、左側に事務所、奥に高架橋があるところまで一緒でした。こちらは北陸本線の車窓ですが、現在は手前の駐車場に建屋が建設されてしまったため、拝むことは出来なくなっています。

2010年当時は五稜郭にも転車台が現存していました。私が見たのはこの時が最後です。

現在は道路が敷かれ跡形もないですが、GoogleMAPで丸い輪郭が表示されるのはその痕跡になります。

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名古屋の転車台-2

2019-09-19 22:35:49 | 転車台訪問

東海道新幹線に繋がる名古屋保線区には保線車用の転車台が設置されています。

名鉄東枇杷島駅から15分ほど歩いた庄内川の土手沿いの道から望むことができました。

全長はgooglemapで測定すると12m位でした。集電用のヤグラが見当たりませんが手押しハンドルもありません。そのかわりピットの手前に何やら操作盤が設置されています。あとフェンスの立ち入り禁止の看板がありますが、その高さで立ち入ろうとする猛者はいるのでしょうか…

下の道路から操作盤を狙ってみました。AFだと手前のフェンスにピントが合ってしまうのでMFで撮影。

ターンテーブル制御盤と書かれていることから、電動式であることは間違いなさそうです。

下のアングルの写真では円周軌条の車輪にモーターハウジングが写っていました。

よって、集電は中央支承に設置されたスリップリングから行われていると思われます。

それにしても保線車用の転車台でこの手のサイズは川越富洲原以外に見たことがないのですが、どういう用途を想定して設置されたのでしょうね、、

余談ですが名古屋駅までのアプローチ線は複線のように見えますが、実は名古屋車両所に繋がる営業車両用と名古屋保線区に繋がる保線車用の単線並列となります。

下写真、左側の線路は保線車用のため架線が張られていません。 転車台はこちらの線路に繋がっています。

さらに余談ですが、東海道新幹線の名古屋駅付近の高架下には笹島貨物駅時代の貨車用転車台と引込線跡が残されています。往時の姿を語る貴重な遺構だと思いますので保存されるといいですね。

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名古屋の転車台-1(撤去済)

2019-09-05 22:41:52 | 転車台訪問

名古屋車両区の転車台は関西本線や近鉄名古屋線の車窓から良く見えます。

また、近くの黄金跨線橋からも全体を見渡すことが出来ます。下の写真は関西本線の車窓です。

2017年4月に開催されたさわやかウォーキングのコースに名古屋車両区の一般公開も含まれ、転車台も回転実演と言う形で公開されました。この機会を逃すまいと万全を期して名古屋に前泊の上、さわやかウォーキングに臨んだのは言うまでもありません。

この転車台は20m級バランスト形の下路式で、ロック機構は板スライド式、レールは枕木締結です。製造は昭和5年川崎車輌ですが、竣工は昭和10年とされています。ピットの工期が延びたのかもしれません。

牽引車は下路式標準とも言える形状です。円周軌条は一段高い位置で車両用レールと同サイズかそれ以上に見えます。蒸気機関車EXによるとこの牽引車は2台目で、昭和40年頃に振り替えられたもののようです。

見えにくいですが、桁のレール側面には車両種別の略称がペイントされています。

無煙化後も色々な車両を載せていたことが分かりますね。現在でも気動車の転向で現役です。

回転実演にはキハ85 6を使用。後継車の製造が決まっていますので転車台に載る姿も貴重になってきますね。敷地内での全体撮影は広角レンズじゃないと厳しかったので桁とピットの記録を優先しました。

さて、この転車台独自の装備として転車台固定装置なるものがあります。

桁の下部に付いている銀色の箱が固定装置と思われるもの。まるで電車の床下機器のようですね

ただ横から見ると箱というより保護板のようなカウンターウェイトのような…

装置本体は桁の中央部に配置されているようです。

ピット底面には上ノック式の受けを大型化したような爪受が線路ごとに設置されています。

あるロック機構とは別にこの装置が付く理由は定かではありませんが、桁の上下方向の揺動を固定して重心が不安定な車両が入線してもシーソー運動を少なくするためではないかと推測しておきます。

手回しテコは線路際に置いてありました。目立つように赤と黄色で塗装されています。

差込口は点対称の配置で2本のみです。(場所によっては4ヵ所差し込み口がある)

転車台の先の線路は2本ありますが、どちらも行き止まりとなっています。

普段の転向シーンの動画などを見ても入線する様子はないことから使用頻度はほぼ無いようです。

転向シーンを俯瞰で撮影するには黄金跨線橋がベストです。

回転実演は下写真右に停車しているキハ85が入線→転向→出発する一連の流れで行なわれます。

屋根上から妻面や側面まで車両を舐め回すように見学できるので模型鉄にもうってつけ?

ただ回転速度は意外と早いので肉眼では追いつかないかもしれません…

動画も撮ってみました。

次は名古屋にあるもう一つの転車台をご紹介する予定です。

 

2024/3/10追記

キハ85の引退に伴い用途廃止となり、転車台は撤去されました。

左奥の車庫も線路が剥がされ、もぬけの殻になっています。

転車台のピットは重機を入れるため先に左半分を埋めて足場を作っていたようです。

長い間の活躍お疲れ様でした。

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