つれつれのよしなし帖

Ugly Bettyから変身したい。

ヨコハマメリー

2006年05月09日 | movie
ヨコハマメリー」という映画が、巷でちょっと噂になっているようです。

戦後50年間、その混乱期の中で
娼婦として生きるより他なかった女性“メリーさん”が、
娼婦としての生き方を貫いたドキュメンタリー作品です。

顔中真っ白な白粉に歌舞伎役者のようなアイシャドーと深紅の口紅。
真っ白なフリル付きワンピースドレスに身をくるみ、
足元には真っ赤なパンプス。
その両手には、家をもてなかったメリーさんの
一切の家財道具がつまった大きなカバン。

その特異な出で立ちのまま、
1995年の冬に娼婦人生に幕を引いて郷里に帰るまで、
横浜の街角に立ち続けたというメリーさん。齢75歳。
彼女はその後の人生を郷里の施設で過ごし、
2005年1月17日(享年85歳)に天に召されたようです。

映画ではメリーさんの人生を、
彼女を知る人々のインタビュー形式で綴られていきます。

ちなみにこのメリーさんについては、
本や写真集にも取り上げられているようですが、
中でもメリーさんを題材とした演劇作品「横浜ローザ」は
メリーさんが横浜から去った後からおよそ11年の間
女優の五大路子さんによる1人芝居として
毎年終戦記念日の頃に上演され続けているようです。

映画には、この女優さんや杉山義法さんという
「横浜ローザ」の脚本家であり演出家も登場します。
しかしこの杉山義法さんも、映画公開を待たずに
2004年8月3日にお亡くなりになられたようです。

そして更に、この「ヨコハマメリー」のキーパーソンでもあったと思われる
シャンソン歌手 永登元次郎さんもこの一般公開を待たずに
2004年3月12日にお亡くなりになっています。
「ヨコハマメリー」のワークインプログレス(製作途上版)が
2003年頃に2度ほど上映されているようで、その時はまだ
どちらかというと「元次郎さん闘病記」色が強かったようです。
元次郎さんもこの時点ではご覧になっているようですが、
きっと作品の完成を楽しみにしていたのではないでしょうか。。

改めて故人のご冥福をお祈りいたします。

ちなみに。
ワタシは伊勢佐木町にある「横浜ニューテアトル」という映画館で
先日観てきました。
当初貰ったチケットという事もあり、
ミニシアターものだし、ドキュメンタリー映画だし、
そんなに混んでないだろうと高をくくって
夕方5時位の回を観るつもりで呑気に出かけたのですが、
これが大失敗で、既に5時だけでなく7時の回まで満員になっていて、
急遽9時からのレイトショーが設けられる程の大盛況ぶりでした。

仕方なしに横浜で時間を潰してから
買い物中芋づる式に貰ったチケットで、閉館間際の30分間
「マリア・テレジアとマリー・アントワネット展」を観ました。

その後、伊勢佐木町に舞い戻って終電を気にしつつ鑑賞したのですが。
観終わった後、言いようのない気持ちに包まれました。

哀しかったり、悔しかったり、そして温かかったり、寂しかったり。

その何とも言えない気持ちが、
永登元次郎さんの歌うシャンソンの「マイウェイ」と
この映画の主題歌でもある、
渚ようこさんによるリメイク版「伊勢佐木町ブルース」に
溶け込んでいくようでした。

この「もやもやの気持ち」を大切にしていきたいです。
ひさびさの、心に残る映画だと思います。


















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