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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

賞与の税金(ボーナスが多い人は年末調整で「しっぺ返し」が!?)

2008-11-11 14:39:00 | 源泉徴収と年末調整
今年も冬の賞与(ボーナス)のシーズンがやってまいりました。みなさんの会社ではどれだけの賞与がもらえますか?
今年の冬の賞与は米国発の金融危機による景気減速懸念から支給を抑える企業が多いと聞いています。

当然のこととして賞与にも税金は課税され、国税である所得税が源泉徴収されます。しかし、地方税である住民税(都道府県民税と市町村民税)は毎月の給与からしか引かれないことになっています。

賞与から源泉徴収される所得税の額は次の要素によって決まります。

(1)配偶者控除と扶養控除の対象者数
まずはこれによって分類されます。なぜならば、配偶者や扶養親族の人数によって同一の収入(給与や賞与)であっても税率(税額)が異なってくるからです。

(2)前月の給与の額(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は除く)
次に(1)の分類ごとに前月の給与に応じて2%から38%の税率が決まります。当然、前月の給与が増えるに従って税率は上がります。また、前月の給与の額が一定額に満たない場合には税率はゼロになります。

(3)賞与の額(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は除く)に(2)の税率を乗じる
これが賞与から源泉徴収される(差し引かれる)所得税です。

●計算プロセスの詳細は下記の国税庁のサイトをご覧ください。
「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/
zeigakuhyo2007/data/04.pdf

扶養親族の数や所得の大小によって税率が異なることには納得できるとしても、「なぜ、前月の給与が?」とお感じになる方も多いと思います。

その理由は、毎月の給与や賞与からの所得税の源泉徴収は、「1年間を通して毎月の給与は変動しない」、「賞与は毎月の給与の5か月分が支給される」という前提で計算されるからです(当然、1年間を通して勤務をしている)。この前提からすれば、賞与については上記のような税額の計算となるのです。もっとも、毎月の給与や賞与からの源泉徴収はそれを受け取る時点のその他の前提(配偶者や扶養親族など)も含めた仮の税額ですので、最終的な税額は年末調整で算出し毎月の給与や賞与から源泉徴収された分の合計額と精算をしなければなりません。

■「私の会社はボーナスでの成果分配を重視しているため毎月の給料の合計よりもボーナスのほうが多い!」

このような方もおられることでしょう。
このような場合に上記の前提で賞与からの源泉徴収をすると、年末調整での最終税額のほうが給与や賞与から源泉徴収された税額の合計よりも多くなり、年末調整で還付ではなく「追加徴収」ということになってしまいます。

■賞与が前月給与の10倍を超える場合

賞与の比重が大きい会社の場合には、上記のように年末調整での追加徴収という事態になってしまいますので、次のような計算で賞与から源泉徴収する税額を計算します。

イ 賞与の金額【注】×6分の1
ロ イ+前月の給与の金額【注】
ハ ロの金額を「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」に当てはめて税額を求める
ニ ハ-(前月の給与に対する源泉徴収税額)
ホ ニ×6
【注】健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は除く

要するに、毎月の給与の源泉徴収と「似たような方法」で賞与から源泉徴収する金額の計算をするということです。

■賞与がない人は年末調整での還付が多い?

毎月の給与からの源泉徴収は、「『必ず』5か月分の賞与が支給される」ということを前提としていないと思います。
ということは・・・
★お楽しみに!