goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

パート・アルバイトと正社員の税金の違い?(理解していない雇用者が多い)

2015-10-03 12:30:00 | 源泉徴収と年末調整
パート・アルバイトと正社員とでは雲泥の差です。特に、正社員を目指しながらパート・アルバイトに甘んじている人にとっては正社員という立場は羨望の的です。

しかし、これは意外に知られていないことなのですが、パート・アルバイトと正社員の税金の扱いは全く同じなのです。立場の弱いパート・アルバイトの給料は税制上も優遇されるべきではと考える人もいますが、全くそういったことはありません。共に給与所得として同じように課税されます。特定の給料は課税が免除される(税務関連役所へ報告の必要がない、記録を残す必要はない)といったことはありません。ただし、給料が少ない分、所得に応じて所得税率が低くなるだけです。

このような誤った認識は、雇用者側(会社や個人事業主)にもあり、次のような誤った事務処理をしていることもあります。

■給与台帳を作成していない(記録を残していない)
「雇用期間が短い」とか「出入りが激しい」とかは関係ありません。給料を支給した以上は、支給した者全員の給与台帳を作成しなければなりません。給与計算ソフトを使用している場合には「登録」が必要です。

■扶養控除申告書を入手していない
扶養控除申告書を書いてもらっていない場合には、たとえ月額1万円の給料であっても源泉徴収が必要になります。「源泉徴収の対象額(月額)を超えることはないので源泉徴収は不要」といえるようにするには扶養控除申告書を入手しておく必要があります。

■源泉徴収をしていない(乙欄に注意)
月額8万8千円以上の月は当然として、月額8万8千円未満であっても掛け持ちで勤務している者については「乙欄」で源泉徴収をしなければなりません。乙欄?

■源泉徴収票を発行していない
給料を支払った者全員について源泉徴収票を発行しなければなりません。「税額がゼロ」「家族の配偶者・扶養控除の対象」「年末調整はしていない(年度途中でやめた)」は関係ありません。

■源泉所得税の納付書に記入していない
源泉所得税の納付書を記入するにあたっても源泉徴収税額がゼロであっても「人員」「支給額」に含めなければなりません。源泉徴収をした場合には「税額」に含めるのは当然です。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★月額8万8千円未満は源泉徴収不要
あらゆる判断・手続・事務作業をした結果であることをご理解いただけたかと思います。

★雑給という勘定科目
「雑給」という勘定科目を使用することは多いです。役員の給料は「役員報酬」、正社員の給料は「給料手当」、それ以外(パートやアルバイトなど)を「雑給」として処理します。人件費をこの区分で処理することは管理上大切なことですが、雑給の源泉徴収処理が適切に行われていないことが非常に多いです。中には、「雑給で処理しておけば源泉徴収は不要」といった誤った考えをしていることがあります。「雑給は月額8万8千円未満なので(源泉徴収が不要なので)」は甘いです。危険です!