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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

年度途中で退職した者の扶養控除等申告書

2014-10-22 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
年度途中で退職した者は年末調整の対象ではありませんが、退職した年の扶養控除等申告書は会社で保管しておきます。退職者に返す必要はありません。

本職の給与(主たる給与)をもらう職場には、毎年最初の給与をもらう前までに扶養控除等申告書を提出しなければなりません。そうでなければ、年末調整をしてもらえないだけでなく、毎月の給料からの源泉徴収が源泉徴収税額票の「乙欄」という高額な税額となってしまいます。さらには、自ら確定申告をしなければなりません。

年度途中に就職した場合には、その職場で最初の給与をもらう前までに扶養控除等申告書を提出しなければなりません。「前の職場ですでに提出しているので不要」とはいきません。年度途中に就職・退職を5回した場合には、5か所の職場に扶養控除等申告書を提出しなければならないということです。

元個人事業者を採用した場合の年末調整

2014-10-09 10:30:00 | 源泉徴収と年末調整
年度途中で採用した従業員については、その年の前職分の給与を合算して年末調整をしなければなりません。従業員に前職分の源泉徴収票を提出させ、その給与、社会保険料、源泉徴収された所得税の額を、現職分に合算して年末調整をします。

元個人事業者を採用した場合、個人事業者は事業所得であることから、給与所得の精算手続である年末調整をするにあたっては現職分の給与だけで行います。このような従業員の場合、個人事業者時代の事業所得については給与所得と合算して自ら確定申告をしなければなりません。

★個人事業者から社員への内部昇格(?)
個人事業者時代から取引があった者を社員として採用するケースもあります。この場合も取り扱いは同じです。また、外見上は雇用契約をしている従業員と同じように見える、つまり、同じ職場で同じ時間帯に働いていた個人事業者を採用した場合も同じです。

年末調整は給与所得だけの手続です。さらに、給与所得であっても、いわゆる乙欄で源泉徴収されている副業の給与は含みません。年末調整は甲欄で源泉徴収された給与だけが対象です。

そうこうしているうちに年末調整の季節がやってまいります。雇用者は、年末調整としてどこまですべきかを確認しておく必要があります。

「平成26年分年末調整のしかた」

2014-09-28 11:45:00 | 源泉徴収と年末調整
先日、国税庁のサイトで「平成26年分年末調整のしかた」が公開されました。

今年も、もうそんな時期になったのです。今年の年末調整の仕方は昨年とほとんど変わりありませんが、消費税率アップにより実質所得が減った人が多いことから年末調整での還付への期待が非常に大きいと思います。また、大手牛丼チェーン店の労働争議に象徴されるように労働者の忍耐も限界に達しています。年末調整(給与計算)のミスが労使関係悪化の引き金になることも珍しくはありません。年末調整業務に携わる人はこの手引きを熟読して正確な年末調整をしてください。

平成26年版給与所得者と年末調整
年末調整は従業員の理解と協力なくして行うことができません。このリーフレットを配付すれば従業員の意識は相当変わると思います。

平成26年分年末調整のための各種様式
扶養控除申告書などはここからダウンロードできます。

「雑給」の扱い(雑給には危険がいっぱい!)

2014-08-21 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
「雑給」という勘定科目を使用することは多いです。役員の給料は「役員報酬」、正社員の給料は「給料手当」、それ以外(パートやアルバイトなど)を「雑給」として処理します。人件費をこの区分で処理することは管理上大切なことですが、雑給の源泉徴収処理が適切に行われていないことが非常に多いです。「雑給は月額8万8千円未満なので(源泉徴収が不要なので)」「雑給で処理しておけば簡略な扱いが認められる」は甘いです。危険です!

■給与台帳は作成する
「雇用期間が短い」とか「出入りが激しい」とかは関係ありません。給料を支給した以上は、支給した者全員の給与台帳を作成しなければなりません。給与計算ソフトを使用している場合には「登録」が必要です。

■扶養控除申告書を入手する
「源泉徴収の対象額(月額)を超えることはないので源泉徴収は不要」といえるようにするには扶養控除申告書を入手しておく必要があります。扶養控除申告書を書いてもらっていない場合には、たとえ月額1万円の給料であっても源泉徴収が必要になるのです。信じられないかもしれませんが。

■源泉徴収をする(乙欄に注意)
月額8万8千円以上の月は当然として、月額8万8千円未満であっても掛け持ちで勤務している者については「乙欄」で源泉徴収をしなければなりません。乙欄?

■源泉徴収票を発行する
給料を支払った者全員について源泉徴収票を発行しなければなりません。「税額がゼロ」「家族の配偶者・扶養控除の対象」「年末調整はしていない」は関係ありません。

■源泉所得税の納付書にも記入する
源泉所得税の納付書を記入するにあたっても源泉徴収税額がゼロであっても「人員」「支給額」に含めなければなりません。源泉徴収をした場合には「税額」に含めるのは当然です。

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★月額8万8千円未満は源泉徴収不要

あらゆる判断・手続・事務作業をした結果であることをご理解いただけたかと思います。

給与の税金の計算期間と事務手続

2014-07-10 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
給与の税金の計算期間に戸惑う人が少なからずいます。というのは、所得税と住民税で税額が確定する時期や計算手続が大きく異なるからです。また、給与には社会保険料と労働保険料の計算が関連し、これが戸惑いに一層の拍車をかけます。

●給与の税金は暦年単位で計算する
給与は暦年で計算します。会社の税金である法人税は事業年度単位で計算しますが、個人の税金である給与の所得税は事業年度がどうであれ暦年単位で計算します。

●所得税(国税)は毎月の給与から仮の税額を天引きして年末に税額を確定する→雇用者が行う
毎月の給与から所得税を天引き(徴収)しますが、この税額は一定の前提による仮の税額です。この仮の税額を暦年が終了した時点に確定する手続を「年末調整」といいます。この手続と計算は給与を支払う雇用者が行わなければなりません(義務です!)。

●住民税(地方税)は前年の所得税を基に計算される→市町村が行う
ここからがややこしいのです。給与の税金には国税(所得税)と地方税(住民税)があり、それぞれで確定する時期や手続が異なります。所得税(国税)は暦年終了時の年末調整で確定します(雇用者が行う)。住民税(地方税)はこの確定した所得税(国税)の計算結果を雇用者が給与をもらう各従業員の住所地の市町村へ報告し、その市町村が計算します(雇用者には報告する義務がある)。

●住民税(地方税)は翌年確定する
雇用者は年末調整の結果を翌年の1月末までに市町村に報告します。市町村はこの報告を基に計算した住民税を、5月末までに雇用者に通知してきます。

●住民税は確定した税額を天引きする
雇用者は、このようにして通知されてきた確定した住民税を12か月に分割して天引きするのです。住民税は確定した額ですので、所得税のように年末調整のような確定手続を雇用者はする必要はないのです。