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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

「従業員の家族」が従業員の源泉徴収や年末調整についての質問をしてきた

2013-11-09 19:05:00 | 源泉徴収と年末調整
まずは、このような従業員は「社会人としての自覚」に欠けていますので「厳重注意」にすべきです。確かに、源泉徴収や年末調整は専門知識がないと理解できないので、家族に対して「会社に直接聞いてくれ!」というのもわからないでもありませんが、家族に会社に質問をさせるとは「言語道断」です。

★家族が「たまりかねて」質問をしてくるケースもあります。

●源泉徴収票を発行してくれない(住民税は?銀行に提出したいのに・・・)
源泉徴収票がなければ社会生活の様々な局面で不都合が生じます。収入や所得を証明する書類がなければできない手続は多々あります。家族にしてみれば源泉徴収票がないと大変不安になることもあるのです(社会的存在が認められていない)。

●源泉徴収票ともらっている給与が違う
この違いが正当な理由によるのであればいいのですが(非課税の通勤手当や計算期間の認識など)、致命的なミスや意図的な仮装や隠ぺいである場合にはどうにもなりません。

●所得控除がおかしい
会社にはわからない、家族にしかわからない所得控除もあります。

源泉徴収や年末調整の間違いが従業員の家族の指摘によって発見されることがあります。従業員本人を飛び越えて直接会社に質問してくるという行為については「釘を刺す」として、質問の内容については真摯に耳を傾けるべきです。従業員がウソの申告をしているなど、会社に損害を及ぼす場合もあるからです。

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◆不正な給与計算をしてほしいとの要望には毅然とした態度で!

当然です!

家族従業員の源泉徴収と年末調整

2013-11-09 19:00:00 | 源泉徴収と年末調整
家族従業員の源泉徴収や年末調整を不要と考えて、「給与台帳」「給与明細」「扶養控除等申告書」などを作成していないケースがあります。しかし、税務上、給与所得として扱われる給与を支給しているのであれば、一般従業員の給与と同じように源泉徴収も年末調整も必要です。

■スタートは給与の額を明確にすること

社長も含む「家族それぞれ」の給与の額が明確になっていないケースがあります。例えば、社長夫婦とその子供夫婦の二世帯で事業をしている場合、「うちは(社長夫婦)毎月○△万円、あいつらは(子供夫婦)毎月△◇万円」といった具合に「世帯ごと」で「取り分(生活費)」を決めているケースです。

まずは、このような「発想」を捨てなければなりません。

「あいつら(子供夫婦)は家を買ったので(住宅ローンの返済が大変なので)、あいつらの分を増やしたい」

それとこれとは別です。

こんな発想でいると、いつまでたっても税金や経理のことが理解できません!税務署とは衝突ばかりです。銀行からは「前近代的な家内工業=どんぶり勘定=期日に返済資金が用意できない」、だから「そんなところには貸せない」ということになってしまいます。

それぞれの給与の額は、それぞれの働き、つまり職務内容によって決めなければなりません。「事業」をしているということを忘れてはいけません。

■配偶者控除や扶養控除の対象にしている家族従業員の扱い

給与を支給しているのですから、「給与台帳」「給与明細」「扶養控除等申告書」など、他の家族従業員や一般従業員と同じように揃えなければなりません。配偶者控除や扶養控除の対象にするには、その家族の所得が確定しなければなりませんので、そのための手続をしておく必要があるのです。

■給与の支給は必ず家族従業員に対して直接行う

家族従業員それぞれの給与の額が決まっていても、実際の手渡しが「世帯ごと」や「夫婦ごと」にされている場合がありますが、必ず各家族従業員対して直接支給しなければなりません。

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家族従業員の給与計算が不正確(不明瞭)な場合、特定の家族従業員の給与が認められないとか、他の誰かの給与とされてしまう恐れがありますので十分注意してください。

年末調整の準備(税務署でマニュアルをもらう)

2013-10-11 17:01:00 | 源泉徴収と年末調整
年末調整(源泉徴収)に関する情報はネット上で多数発信されています。書物も多数市販されています。しかし、まずは「公式マニュアル」とでもいうべき国税庁作成の手引きを入手し熟読してください。ネット上の情報も市販の書物もこれが情報源となっています。加工あるいは複製しているにすぎないのです。

下記の手引きは国税庁のサイトからダウンロードすることもできますが、印刷するには分量も多いですので最寄りの税務署でもらうことをおすすめいたします。いずれも無料です。

源泉徴収のしかた

約30ページで源泉徴収の要領が大変わかりやすく説明されています。各人から源泉徴収する税額の計算方法、納付すべき税額、年末調整などについて詳しく説明されています。源泉徴収を理解するにはまずはこれを読む必要があります。

源泉徴収のあらまし

上記の「源泉徴収のしかた」と同じような内容ですが、もらっておくに越したことはないと思います。

源泉徴収税額表

これも非常に大切です。各人の給料や賞与を支払う都度源泉徴収すべき税額を給料や賞与の額および扶養親族の人数から定めた表です。これがなければ源泉徴収はできません。

年末調整のしかた

これがなければ年末調整はできません!数ある国税庁の手引きの中で、これが一番熟読されていると思います。それほどこの手引きは役に立つということです。

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★最新版を入手してください
上記の手引きはいずれも毎年内容を改めます。税法が変わるからです。ですから前年の分は役に立ちません。面倒でも最新版を入手してください。

★税務署から送付されるものもあります
上記の多くはしかるべき時期が来れば税務署から送付されてくる場合があります。税務署からの郵便物はタイムリーに開封し、重要書類は大切に保存する習慣を身に付けてください。

年末調整の準備(給与支払事務所等の開設届出書の提出)

2013-10-11 17:00:30 | 源泉徴収と年末調整
源泉徴収義務者になった場合は税務署へ届けが必要です。この届けは「給与支払事務所等の開設届出書」という所定の用紙で行います。

面倒でも、どんなに忙しくても、まずは税務署に行ってこれを提出するのが源泉徴収事務のスタートです(年末調整は源泉徴収の最終プロセスです)。この届けの用紙はわずか1枚で、税務署員に教えてもらえば数分で記入できます。なお、届けの用紙には押印が必要ですので認印でかまいませんから必ず持参してください。

この届けを提出していなければ、年末調整の時期になっても年末調整(源泉徴収)に必要な用紙や説明書が郵送されてきません。そして、「税務署から何の連絡もなかったので源泉徴収も年末調整もしなかった・・・」という見苦しい言い訳をする羽目になってしまいます。

■会社の場合には「法人設立届出書」と同時に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しておく

会社の場合には従業員がいなくても役員報酬という給与を必ず支払うので、設立と同時に源泉徴収義務者となってしまいます。ですから、税務署に提出する設立関連書類のひとつとして「給与支払事務所等の開設届出書」が含まれるのです。

■遅れて提出する「給与支払事務所等の開設届出書」の日付

「提出日付」(用紙の左上)は実際に提出する日付になります。「開設・移転・廃止年月日」と「給与支払を開始する年月日」は提出日よりも相当以前になる場合もあります。(本来、この届けは給与を支払うことになってから1ヶ月以内に提出しなければなりません。)

■給与は支払っているが源泉徴収税額がなかった場合

給与は支払っているけれども、少額なために結果として源泉徴収が不要であっても「給与支払事務所」であることには変わりはありません(源泉徴収義務者ではあることに変わりはありません)。ですから、「事務所の廃止」ではありません。

年末調整の準備(源泉徴収義務者とは?)

2013-10-11 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
今年もそろそろ年末調整の準備をしなければならない時期になりました。国税庁のサイトでは、早々と「年末調整のしかた」が掲載されています。

年末調整の準備は思いのほか手間がかかります。必要な資料の用意だけでなく、年末調整という制度と具体的な手続や計算を十分理解しておかなければなりません。

■年末調整は給与を支払う者(源泉徴収義務者)が行わなければならない

会社や個人事業者が従業員の給与(給料、賞与など)を支払う場合、支払う都度、支払金額に応じた所得税を差し引くことになっています。これを所得税の源泉徴収といい、所得税を差し引いて(源泉徴収して)税務署に納付する義務がある者を「源泉徴収義務者」といいます。

毎月支払う給料や臨時に支払う賞与から源泉徴収する税額は「仮の税額」ですので、1年が終了する年末に精算(調整)しなければなりません。これが「年末調整」です。なお、個人の所得税は暦年で計算しますので、会社の場合には事業年度とは関係ないということです。

■次のようなケースでも年末調整(源泉徴収)は必要

○パートやアルバイト(税額がゼロになる人)
「どうせ税額がゼロだから・・・」かもしれませんが、最終的な税額がゼロであることを確定するのが年末調整なのです。年末調整をしなければ「税額ゼロ」にはならないということです。

○専従者(家族従業員)
個人事業者が家族に支払う給与も源泉徴収の対象ですので年末調整をしなければなりません。給与を支払っているのが家族だけでもそうです。

○社長一人の会社
たとえ社長一人の会社であっても、社長へ支払う役員報酬は源泉徴収や年末調整の対象となる「給与そのもの」です。要するに、すべての会社は源泉徴収義務者なのです。

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★まもなく税務署から「年末調整セット」が送付されてきます(大阪国税局管内の税務署)
11月中旬以降になれば税務署から年末調整に必要な資料一式(解説書や用紙など)が送付されてきます。しかし、開業届・設立届、異動届(住所や所在地の変更)を提出していない場合には送付されてきません。送付されていない場合には自ら入手しなければなりません。