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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

期ズレ(税務調査で指摘された場合)

2017-06-07 12:00:00 | 税務調査
その道の人(公認会計士、税理士、税務署員、会社の経理担当者など)にすれば当たり前のように使う言葉ですが、それ以外の人にはさっぱり意味がわからない言葉です。

「期ズレ」とは、収益や費用を計上する事業年度を誤るということです。例えば、平成28年4月1日から始まり平成29年3月31日に終わる事業年度の決算に計上しなければならない売上や経費を、翌事業年度である平成29年4月1日以降の日付で計上してしまうことをいいます。計上する会計期間(事業年度)がずれるので「期ズレ」というのです。翌事業年度に計上すべきものを計上してしまうことも期ズレかもしれませんが、一般には「早期計上」といって期ズレとは区別しています。

経理実務においては、少額な期ズレは許容するという暗黙のルールが存在しますが、個々には少額であっても件数が多いと許されません。ですから、このルールに甘えることなく可能な限り期ズレを防止しなければなりません。

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税務調査で期ズレを指摘された場合の扱いは次のようになります。

決算書自体は修正しません(決算書においては許容します)。例えば、第3期の売上5万円が第4期に期ズレしていたとしても、第3期の売上は5万円少ないまま、第4期の売上は5万円多いままにしておきます。当然、帳簿(総勘定元帳)もそのままです。

しかし、法人税の申告書は修正しなければなりません。

第3期の申告書において5万円を所得に加算するという「修正申告書」を提出しなければなりません。そして、この加算した5万円相当額の法人税を追加で納税しなければなりません。

第4期の申告書では、この5万円を所得から減額します。所得の基となる第4期の決算書の利益には5万円が含まれているので、こうしないと二重に課税されてしまうからです。

決算書においても申告書においても、この5万円が第3期、第4期のいずれに含まれるという問題であって、第3期と第4期のトータルでは影響がありません(プラス・マイナスゼロになります)。

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税務調査の立会い回数「100回以上」という不名誉記録!

2017-05-05 13:45:00 | 税務調査
税理士のサイトやブログで、税務調査の立会い回数の多さを誇らしげに書いていることがあります。どうやら、「100回」がひとつの目安なようです。確かに、この回数に到達するには税理士としての経験年数が最低でも20年以上は必要ですので(さらに相応の依頼者数も必要)、いわゆるベテランとか経験豊富という域に達しているとはいえるでしょう。

税務調査のほとんどが、調査対象に選定されるべくしてされています。税理士ならば、どのような申告をすれば調査対象に選定されるかがわかります。当然、税務調査の結果は惨憺たるものです。「なぜ、(依頼者を)説得できなかったのか・・・」、「もう少し資料を収集検討していれば・・・」、税務調査の後に残るのは不快感、嫌悪感、敗北感、挫折感、無力感、厭世観、虚無感、疎外感・・・です。そこからは何も生まれません。

まともな税理士(人間)であれば、税務調査を10回程度経験すれば、「もう、こんなことをしていてはいけない!これからは、税務調査の対象に選定されないような申告をしよう。それが、依頼者のためもなる!」という結論に行き着きます。しかし、性懲りもなく100回を超えてしまうのです。その事情はお察しのとおりです。

★良性(?)の税務調査
税務調査が行われても全く問題点が指摘されない、要するに追徴税額がゼロの場合もあります。税務調査は「一定の基準」で一定件数以上を行わなければならないようで、「問題なし」の納税者が選定されることもあるようです。まさに、「良性」です。このような調査に立ち会ったことを自慢する税理士がいますが、そのような税理士もそれとは比べ物にならないほど「悪性」の税務調査に遭遇しているはずです。税務調査が行われる割合は、納税者数の数パーセントと聞いています。当然、悪性が大多数となります。そうでないと困ります。

★私に頼めば税務調査はありません!
これも問題があります。大切なのは、私(税理士)ではなく依頼者(納税者)です。申告納税制度の主役は納税者です。税理士は、脇役、世話役、裏方でなければなりません。

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延滞税(納付が遅れた場合の利息)

2016-12-01 12:30:00 | 税務調査
国税(所得税、法人税、消費税など)を定められた期限までに納付できない場合には、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて「延滞税」が課されます。これは、期限に遅れることによる利息に相当します。延滞税の率(割合)は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、納期限の翌日から2か月を経過した日以後は年9.1%です(金融情勢によりこの率は変わります)。

延滞税が課税されるパターンとしては次があります。

◆期限までに申告をしたけれども納付が遅れた場合
申告書に記載した税額に対して延滞税が課税されます。

◆期限までに申告をしたけれども一部の納付が遅れた場合
期限までに一括で納付するのが困難な場合です。納付が遅れた税額に対して延滞税が課税されます。

◆期限までに申告をしなかった場合
期限後に提出した申告書に記載した税額に対して延滞税が課税されます。なお、この場合には「無申告加算税」も課税されます。無申告加算税とは期限までに申告をしなかったことに対するペナルティです。

◆期限までに申告を納付したけれども申告した税額が不足していた場合
期限までに申告した税額に不足額がある場合には、その不足分を「修正申告」して納付しなければなりません。そして、その不足分に対して延滞税が課税されます。なお、この場合にはその不足分に対して過少申告加算税あるいは重加算税が課税されます。税額を少なく申告したことに対するペナルティです。

延滞税は納税者自らが計算するのではなく、税務署が計算をして通知をしてきます。まずは、納税者が本税(申告書に記載した税額)を納付し、その後に税務署が延滞税の額を計算して書面で通知をしてきます。その書面を送付してくる封筒に納付書も同封されています。

地方税(住民税、事業税など)にも延滞税に相当する「延滞金」があります。計算方法は延滞税とほとんど同じです。

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≪参考≫

国税庁サイト・・・延滞税について

大阪府サイト・・・延滞金・滞納処分

大阪市サイト・・・納期が過ぎてから納める場合の延滞金は


「○○(税務署・税理士以外)がそういった!」

2016-04-08 17:00:00 | 税務調査
耳にタコができるほど聞く言葉です(笑)。確かに、人がいっていることが正しく、それを実行すれば得をすることもあります。しかし、税金のことに関しては、税務署あるいは税理士以外がいっていることは鵜呑みにしてはいけません。さらには、税務署あるいは税理士のいっていることであっても、聞き間違える場合もあります。

それでは、どうすればよいのでしょうか?

税法の「条文と通達」で確認することです。

法律は抽象的なことが多いですが、税法の条文は膨大でしかも緻密(具体的)に規定されています。条文を読めば「あの人(税務署・税理士以外)がいっていたこと」が明らかに間違っていることもあります。通達は国税庁の「公式見解」ですので、税務署は通達に忠実に行動します。通達は法律ではありませんが、通達で公式見解が明確にされていることに関して税務署は一歩も引きません。

国税庁のサイト以外はガセネタです!

声を大にしていいたいです。このブログでも一貫して主張してきています。国税庁のサイトは税法の条文と通達そのものです(厳密には条文や通達を必要に応じて噛み砕いたもの)。「あの人(税務署・税理士以外)がいっていたこと」は必ず国税庁のサイトで確認しなければなりません。

◆あの人(税務署・税理士以外)?

○一般人
信用してはいけません。信用できる人もいますが、多くの場合は特殊な経験を一般的であるかのように語ります。とにかく根拠が明確でありません。

○業者
これが「くせ者」です。金融商品や不動産が税と深く関わることがありますが、それらがいわゆる節税につながる場合には、彼らは節税をセールストークに使ってきます。節税は様々な条件を満たさなければ実現しないことがありますが、業者によってはその条件を十分に説明せず結果のみを強調する場合もあります。

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★情報の発信者にその根拠を確認する
気になる情報を見聞きした場合には、その根拠を情報の発信者にたずねてみることです。根拠とはいうまでもなく「条文と通達」です。情報源が特定の条文と通達であることを確認できたのであれば、後はその「解釈」です。根拠となる条文と通達がない場合には、それは「ガセネタ!」です。絶対に信じてはいけません。

★税に関する情報を発信するときのルール?
「根拠となる条文と通達」、「情報発信を行った年月日(適用される法律に関係してきます)」、「最終的な判断を自らでしてほしい旨」、以上を明記(明示)するのがルールだと思います。実際、大手の金融機関などは必ずそのようにしています。

【余談】所在地は平野区なのに東住吉税務署(確定申告期間中の発見!)

2015-03-17 17:00:00 | 税務調査
確定申告の期間中、税務署に郵送する封筒にあて名書きをするため国税庁のサイトの「税務署所在地・案内(大阪国税局)」で調べていて面白いことに気が付きました。

送付先の東住吉税務署は大阪市東住吉区にあることだと思い込んでいましたが、なんと隣の平野区にありました(平野区も東住吉税務署の管轄)。

これは特殊なパターンだと思いましたが、調べてみるとほかにもありました。

東淀川税務署→淀川区(東淀川区ではない)、ちなみに西淀川税務署は西淀川区
葛城税務署→大和高田市(葛城市ではない)

全然違う話ですが、神戸市東灘区の管轄は芦屋市にある芦屋税務署です。

≪余談の余談≫

「伏見税務署には地番がない」ことについて、以前不思議に思い地図で調べてみましたが、間違いありませんでした。そうであるならば、「京都市伏見区鑓屋(やりや)町」ではなく、「税務町」とか「申告町」にすればよいのにと思いました。

JR西日本・四条畷駅は大阪府四条畷市ではなく隣接する大阪府大東市にあります。JR東日本・燕三条駅は新潟県三条市にありますが、隣接する燕市の名も付しています。これらの背後にある事情は察しがつきますが、税務署の命名については見当が付きません。まさか、税務署を誘致する住民などいないでしょう(笑)。