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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

源泉所得税の税務調査(調査対象と方法)

2017-07-23 11:30:00 | 税務調査
源泉所得税についても税務調査が行われます。会社の場合は法人税と消費税の税務調査と同時に、個人事業者の場合は所得税と消費税の税務調査と同時に行われます。

給与台帳が作成されていること、扶養控除等申告書と保険料控除申告書が正しく記載され、それに基づいて毎月の源泉徴収と年末調整が行われているかを確認されるのは当然です。重点的に調査をされるのは、この「フィルター」から漏れ、源泉徴収をしていない給与がないかです。例えば、次のようなものです。税務署も「ミス」と「ごまかし」、さらには「動機」と「言い訳」のパターンを熟知しています。

◆短期雇用者に対する給与
短期間雇用した者については扶養控除等申告書を入手していない者、他に本業の給与収入がある者がいることがあります。この場合は「月額8万8千円未満は源泉徴収不要」というルールは適用されません。いわゆる「乙欄」が適用されるのです。

◆現物給与の有無
無償で社宅を提供した、無利息で金銭の貸付けをしたなど、金銭で給与を支給したのと同等の効果がある場合は、その効果(現物)に相当する額に対して源泉徴収を行う必要があります。金銭による給与と現物による給与を合計して考えなければならないのです。

◆給与を別の名目で処理している
雇用者の源泉徴収をするのが面倒、被雇用者の源泉徴収されたくないという要望などから、給与を源泉徴収の対象とはならない別の名目で支払っていることがあります。税務署はそのパターンを熟知しています。

◆配偶者控除と扶養控除の適用誤り
税務署は、配偶者と扶養親族の所得を様々な方法で把握しています。その所得が配偶者控除と扶養控除の限度を超えている場合にはこれを是正されます。なお、この指摘は納税者の事業所での税務調査を経ることなく、税務署内の内部調査の結果を書面で通知することにより行われる場合があります(このほうが多いかもしれません)。

◆報酬料金に対する源泉徴収
源泉徴収は給与のみならず、特定の報酬料金(弁護士、税理士など)からも行う必要があります。これについての徴収漏れも調べられます。

★源泉徴収したけれども納付していない場合
源泉徴収義務があることが明らかであるけれども、一向に納付がされていない場合には税務署から督促があります。督促の方法は書面と電話で行われます。大阪国税局管内ではこの業務を「源泉所得税事務集中処理センター室」で集中して行っています。

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修正申告書の控は大切に(修正前の申告書も大切に)

2017-07-15 22:35:00 | 税務調査
修正申告書の控は大切に保管しておかなければなりません。修正申告書は、文字通り修正後の申告書ですのでこれが最終的な申告書になります。修正前の申告書は最終的な申告書ではありませんので、申告書に記載されている所得や税額は最終確定額ではありません。

法人税の申告書(会社の申告書)の場合、修正申告書がなければ事業年度間で申告書がつながらなくなります。法人税の申告書は、前事業年度の申告書の数値がそのまま繰り越されるという仕組みになっている部分があるので、修正申告が行われた翌事業年度は修正申告書の数値を繰り越さなければなりません。

修正申告をしたならば、申告書の控は修正申告書も含め次のように保管しておきます。

第4期申告書→第5期申告書(修正前)→第5期修正申告書→第6期申告書

金融機関へ融資を申し込むに際して、第4期から第6期までの申告書控を提出するにあたってはこれらすべてを提出しなければなりません。もし、第5期修正申告書を提出しなかったら、「第5期に修正申告されていませんか?」といわれます。

修正前の申告書が不要かといえばそうではありません。とうのは、修正申告書は修正部分しか作成しないので、修正が不要であった部分については修正前の申告書が必要なのです。この修正不要部分は修正申告書に移すのではなく、修正前の申告書一式で保存しておきます。

会計事務所(税理士)に依頼している場合には、修正申告書の控を受け取るのを忘れないでください。修正申告書の控がないまま会計事務所を変更する場合には手続が難航します。ご注意ください。

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修正申告?(その意味と手続)

2017-07-15 22:30:00 | 税務調査
【ご注意】以下は会社の法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税の修正申告についての説明です。

修正申告の意味は、文字通りに解釈すればすでに提出した申告書を修正することですが、その理解だけでは不十分です。

修正申告は、申告書に記載した所得(おおむね決算書の利益)や税額を「増額」する場合に行います。所得や税額を「減額」させる手続は「更正(こうせい)」という修正申告とは違う手続になります。修正も更正も申告書を訂正するという点においては同じかもしれませんが、税法上は異なる手続なのです。

修正申告は納税者が自主的に行いますが、通常は税務調査で所得や税額を過少に申告していることを指摘されて、それに納得のうえ行います。

修正申告は申告書を修正することであって、申告書の基となる帳簿や領収書などは再作成や訂正はしません。修正申告は税務調査で決算書や帳簿などの特定部分の間違いを指摘されて行いますが、修正するのは間違った決算書や帳簿などの基資料ではなく、それに基づいて作成した申告書の該当部分です。【注】(申告書だけが間違っていて修正申告する場合もあります。)

「計上すべき売上が計上されていなかった」、「仕入や経費が二重に計上されていた」、このような場合には所得や税額が過少に申告されていたということですから、修正申告で所得や税額を増額しなければなりません。

修正申告は好ましいことではありません。ですから、修正申告には加算税に延滞税というペナルティが課されます。加算税とは税額を過少に申告していたことに対するペナルティで、過少に申告していた税額に対して一定割合が課されます。延滞税は納税が遅れたことに対するペナルティです。本来ならば、過少に申告していた税額は、申告期日までに納税すべきなのに修正申告してから納税しているからです。延滞税も、過少に申告していた税額に対して一定割合が課されます。

修正申告をしたならば、今後は同じ間違いをしないようにしなければなりません。そのためには、記帳や決算で同じ間違いをしてはいけません。

【注】修正申告の対象となった事業年度の帳簿や決算書の誤り(過少な利益)は訂正しないけれども、翌事業年度以降の帳簿や決算書でそれ相当の訂正をしなければならない場合はあります(いわゆる過年度損益修正益)。

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修正申告があった場合の仕訳(翌期認容に注意!)

2017-07-09 11:30:00 | 税務調査
【ご注意】以下は会社の法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税の修正申告についての説明です。

税務調査が行われ、修正申告をした場合の仕訳は「追加納付した税金」の処理だけです。税務調査での調査官の質問への対応や修正申告書の作成は大変で、非常に疲れますが、調査終了後の仕訳はいたって簡単です。

追加で納める法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税は税目ごと、さらには年度ごとに行を分けて、いずれも「法人税、住民税及び事業税」という勘定科目で処理します(当期純利益の手前に表示)。決算においてはこれらの税金を「未払法人税等」として計上しているでしょうが、税務調査での追加分は未払計上を経ずに納付した段階で費用処理します。ただし、税務調査が行われた事業年度末になっても納付できていない場合には未払計上をします。

なお、「本税」「加算税」「延滞税(延滞金)」は区分して仕訳することが望まれます。というのは、納付をした年度の法人税の申告書ではこれらを区分して記載する必要がありますので、仕訳の段階で区分しておくと申告書の作成が楽だからです。

修正申告の内容によっては、これ以外の仕訳をしなければならないことがあります。修正申告書で「翌期認容」として処理した場合です。

翌期認容とは、文字通り「翌期には認める」ということです。第10期の修正申告書においては所得(おおむね利益)に加算し税額を増やすけれども、第11期の申告書においては所得を減算し税額を減らすことを認めるという処理です。

具体例としては次のようなものがあります。

「第10期の売上とすべきものが第11期に計上されていた」

第10期の利益が過少に計算されていますので第10期の修正申告をしなければなりません。しかし、第11期で「売上を計上すること」によって第10期で利益を過少に計上したことの「穴埋め」がされます。ですから、第11期の申告では翌期認容として扱われるのです。

第10期の税務調査が行われたのが第11期の途上であれば、「第11期で売上を計上する」とう処理が済んでいません。仕訳をしていたとしても、決算と申告が終了していないので後から仕訳を取り消すこともできます。この場合でも翌期認容で修正申告をするのは、第11期で「売上計上します!」という「約束(税務署と会社の信頼関係)」の上でするのです。

第11期で、必ず次の仕訳をしておく必要があります。

≪借方≫売掛金≪貸方≫売上

この仕訳がされているかを次回の税務調査で確認されますのでご注意ください。

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税務調査の立会だけをお願いします(喜んで!)

2017-06-07 12:01:00 | 税務調査
税務調査の立会だけを依頼されることがあります。正直いって「気楽!」です。自分が作成した申告書ではないからです。自分が作成した申告書であれば、「どこか間違っていないだろうか・・・」という不安と恐怖がありますが、税務調査の立会だけの場合はそれがありません。

★弁護士が羨ましい!?

税理士の仕事をしていて弁護士を羨ましく思うことがあります。それは、弁護士が受ける相談の多くが「事後相談」であるからです。一方、税理士の相談のほとんどは「事前相談」です。税理士の収入源は税務申告書作成で、その業務の過程で様々な相談を受けなければなりません。その相談への対応が間違っていた場合には税務調査の結果に表れてしまいます。ですから、事前相談には慎重にならざるを得ないのです。しかし、慎重になりすぎると依頼者が不満を抱きますので、ある程度は「冒険」や「賭け」もしなければなりません。

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税務調査の立会を税理士に依頼するタイミングをどうするかが問題になります。

■税務調査の通知を受けた段階で依頼する
この方法が無難です。多くの納税者、特に税務調査が初めての納税者は、税務調査の通知を受けてもその意味さえ理解できずに戸惑うばかりです。税理士に税務調査の通知の段階で立会を依頼すると、調査の日程や調査を行う場所についての税務署との折衝をしてもらえます。つまり、納税者は矢面に立たなくて済むのです。

■税務調査の結論が見えた段階で依頼する
この方法が実質的かもしれません。しかし、税務調査の結論(追加納税)が「大逆転!」となるケースなどまれですので、税理士に依頼しても結局は「あきらめてください。貴方が間違っています。」となってしまうことが多いです。

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