つらねのため息@gooブログ

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

日本将棋連盟の公益法人化に思う

2010-11-23 00:49:00 | 将棋
この問題については以前にも少し書いたのだけれど、ちょっと前にツイッターでもつぶやいたので、そのまとめついでに少し書いてみたい。

まず、日本将棋連盟の臨時総会が開かれて、一部女流棋士の正会員への加入、外部理事の招聘などを含む、公益法人化に向けた定款の変更がおこなわれた。

んで、それについての連盟HPの記事がこちら

最初に少し確認をしておくと公益社団(あるいは財団)法人というのは2つの尺度から条件づけられている存在だと思う。
ひとつは非営利であること。金儲けをするのであれば株式会社などにすればいいのであって、そうではなく、わざわざ社団法人、財団法人という組織形態を選択するのは、営利を目的としないからだろう。

もうひとつは公益に資すること。これは難しいけれども、どうやら不特定多数の人の利益になるような活動をすることというのが、法的かつ一般的な理解のようだ。

要するに金儲けを目的にしてはいけないし、特定の人たちだけのための活動をしていてはいけませんよということだ。

ちなみに、現在の将棋連盟の組織を見ていると、正会員を事実上、四段以上の棋士に限っていて、その特定の人たちのためだけに活動している様に見えてしまうから、これをなんとかしないと公益法人になれない可能性がある。

報道されている内容を見る限り、連盟はどうやらその根幹部分には手をつけないようだ。確かに将棋という伝統文化の普及を図るというのは不特定多数の人の利益にかなう目的だから、その部分を押し出していけば大丈夫なようにも見える。

でもそれはやっぱり原理的には変じゃないの?だったら公益法人じゃない組織形態を目指した方がいいんじゃないの?ということで書いたのが前回の記事だったわけだ。

ただ、一方で、原理原則に基づいて公益法人化を進めるという手もあると思う。それは女流も含めた棋士を全員連盟の職員という扱いにすることだ。

そうすれば男女の立場などの差の問題は解決するはず。どのようにランク付けするかはわからないけど、それぞれのクラスや段位に応じて給料を決めればいいだけなので。

ちなみに、公益法人の会員に利益を分配することは禁じられている。というのも、これは原理的に株式会社の配当と同じだから。営利でやっているのと何にも変わらなくなってしまう。連盟が給料を廃止するのもこの会員への利益分配に当たる可能性があるからだ。

しかし、会員ではなく、職員にしてしまえば会員に対する利益配分にもならないので、給料制を維持できる。将棋の普及のために棋士を雇うことは必要なことだしちょうどいいではないか。イメージとしては美術館に学芸員さんが雇われている感じ。

じゃあ、会員は誰がなるのといえばファンなど将棋を普及したいと思っている人のうち一定以上の金額(会費)をおさめた人がなればいい。本来、社団法人というのは特定の目的のために意思を持った人が集まるのだから、それがあるべき姿だ。能力によって会員になれるかどうかを決めるのは原理的にはおかしい。

ちなみに、その場合でも理事などは一部棋士が続けたって問題はない(理事は全て会員である必要はない)。

ちなみに、社団法人は(一株一票ではなく)一人一票なので、沢山お金を出した企業に牛耳られるようなこともない。

ファンが少しずつお金を出し合って、その競技の組織を運営するって結構素敵なことだと思うんだけど、どうでしょう?

「暴力装置」をめぐるつぶやきのまとめ

2010-11-23 00:32:00 | 日本のこと
「暴力装置」についての自分のつぶやきをまとめておこう。ただそれだけの記事。

まず、最初の反応。以下、時系列に沿って、別の方との会話になっている部分はのぞいてあります。

暴力装置じゃないの?最近の国会議員はウェーバーも読んでいないのか…。故大平元総理が聞いたらなんとおっしゃるか…RT @47news: 仙谷官房長官、抗議受け謝罪 「自衛隊は暴力装置」 http://bit.ly/9RPw6k
11月18日 Seesmic Webから

まったくです。RT @zakkan: 「暴力装置」の何がいけないのか。社会科学の基礎概念なのに。抗議する方の学のなさ、撤回する方の日和見主義と。嗚呼。
11月18日 Seesmic Webから

これからは学会でも暴力といわずに実力といわないといけなくなるんでしょうか。
11月18日 Seesmic Webから

「暴力装置」問題、突っ込んでいる議員のレベルの低さにもあきれざるを得ないけど、「失言」として報じているメディアは同レベルではないのだろうか?
11月18日 Seesmic Webから

結局「暴力装置」を理解している自民党の議員は何人いるのか。どうやら石破茂さんはさすがにわかっているらしいけど。さすがに総裁はわかっているのかな。残念ながら河野太郎も理解していなかったらしい。確か比較政治で修士号か何かを持っていた気がするんだけど。
11月18日 Seesmic Webから

ってか、「暴力装置」発言を批判している議員で社会科学系の学位を持っている人は、学位返すべきなんじゃないか?
11月18日 Seesmic Webから

しかし、自民党のレベルはこんなに低いとは。再度の政権交代が不安になってきた。
11月18日 Seesmic Webから

んで、誰が官房長官に「なぜ撤回しちゃったんですか?」ってせまってくれるんでしょうか?
11月18日 Seesmic Webから

これだけ多くの国会議員が知らないことを恥じてすらいないという現状は、学会の怠慢の結果ともいえるわけで。「政治学者の常識は世間の非常識」というままではさすがにまずいですね。
11月18日 Seesmic Webから

まったくです。RT @zakkan: 少なくとも正確な意味も知らないまま「自衛隊員に失礼」って言う論理展開はやめてほしい。この議論はこれで終わりにしますが。
11月19日 Seesmic Webから

知識がないことは問題ではない。世の中には色々な人がいるし、その代表である議会に様々な背景を持つ人がいるのはむしろ好ましいことだ。問題なのは知識のない人達が、さも専門家であるかのように装って議論をしていることだ。自分が「学位」に言及したのはそんな「表示偽装」を指摘したかったから。
11月19日 Seesmic Webから

だからなんだというわけでもないですが、ひとまず、メモ代わりに残しておきます。

宇津木村の村民総会は何年間開催されたのか

2010-11-18 22:20:00 | 自治のこと
八丈島の西約7.5 kmのところに八丈小島という面積3.08平方キロメートルという小さな島がある。この島は現在無人島であるが、かつては島の北西部に鳥打、南東部に宇津木という2つの村があった。このうちの一つ宇津木村という村は、日本の地方自治を考えるにあたって、非常に重要な村なのである。

1888年(明治21年)に市制及び町村制が施行され、また、1908年(明治41年)、八丈島の各村に島嶼町村制が施行されたが、東京都八丈支庁の『事業概要』によると、八丈小島の宇津木・鳥打両村には施行されず、名主各1人が置かれた。というのも、この2つの村は人口が非常に少なく、宇津木村の人口は50~60人程度であったためである。

1947年(昭和22年)10月、地方自治法の施行により、宇津木・鳥打両村も普通地方公共団体として執行機関と議決機関を有するようになった。

しかし、宇津木村は地方自治法第94条の規定により、条例で議会を置かず、選挙権を有する者の総会で審議処理したという。すなわち直接民主制が実施されていたわけである。

――参考――
地方自治法 第九十四条

町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる。
――終わり――

この町村総会、第153回国会総務委員会第12号平成13年11月27日(火曜日)における芳山達郎政府参考人(総務省自治行政局長)の発言によると、地方自治法施行後ではこの東京都八丈支庁管内宇津木村が唯一の例であるという。ちなみに同発言によると宇津木村の人口は「六十一人、有権者数三十人ぐらい」とのこと。また、戦前の町村制が施行されていた当時を含めても、他には神奈川県の足柄下郡芦之湯村、現在の箱根町の一部でもうけられていた事例があるだけとのこと。

ところが、この現行地方自治法下では唯一の町村総会である、宇津木村の村民総会、実際にいつからいつまで実施されていたのかは、なかなか難しいのである。

前述のとおり、八丈支庁の『事業概要』には1947年(昭和22年)の「10月、地方自治法の施行により、宇津木・鳥打両村も普通地方公共団体として執行機関と議決機関を有するようになった」とあるので、普通に考えればこの際に議決機関として村民総会がおかれたと考えるのが妥当である。同『事業概要』によると、その後、1955年(昭和30年)の「4月1日、八丈村・大賀郷村・宇津木村が合併し、八丈町となる」とあるので、この間の8年弱、現行法下で唯一の直接民主主義の実験、宇津木村の村民総会は開かれたことになる。

ところが、総務省の第29次地方制度調査会第11回専門小委員会次第によると、「昭和26年4月から町村総会を設けておりましたが、昭和30年4月に八丈町に編入された」という総務省の事務局からの発言がある(ちなみに同発言によると宇津木村の「人口が65人、有権者数が38人」)。

ということは、1947年(昭和22年)から1951年(昭和26年)の4年間は宇津木村にも議会があり、1951年(昭和26年)4月にこの議会を廃止して村民総会を設けたということなのであろうか。

こちらの「誰か昭和を想わざる」というサイトのなかの「青ヶ島SOS」という文章にこんな記述がある。

――以下引用――
なお宇津木村に関しては昭和26年4月1日に村議会を廃止し、4月6日にこの届出が八丈支庁に届いて明らかになった。宇津木村はこの時点では12戸60人、村議改選で誰も出馬せず、地方自治法94条で村議会を廃止としたのだった。これ以降、宇津木村では有権者30人で村民総会を開き、そこでの決定を村議会の代わりとする事にした。
――引用終わり――

これだけでは確かなことは言えないが、「1947年(昭和22年)から1951年(昭和26年)の4年間は宇津木村にも議会があり、1951年(昭和26年)4月にこの議会を廃止して村民総会を設けた」という推測にはかなり現実味がある様な気がする。

今後も機会があれば、さらに詳しく調べてみたい。

流出が正しいわけはないだろう

2010-11-10 22:14:00 | 日本のこと
テレビを見てもネットを見ても、「国民の多数」がビデオ流出を支持しているかのような報道ばかりなので、そうじゃない人間もいるんだということを微力ながらも書いておきたい。

私は、ビデオの流出は絶対に間違いだと思う。

今回の尖閣の問題には色々な見方があるだろう。確かに、中国の漁船がとった行動が正しい行動だとは思えない。日本政府がとった対応も万全だったとは言い難い。でも、だからといって「流出」という行為が正当化されていいはずがない。

どんなに、考えが違っていても政府の方針に従うのが本来の海上保安官の立場であるはず。前線で兵士が勝手に判断して好き勝手な行動をしたら戦争なんてできないのと同様に、政府の指揮系統の中で行動するのが海上保安官じゃないのか。だからこそ、日本の海の安全は守られているのだし、中国漁船に対しても海保は対応できたのではないのか。各巡視艇が好き勝手に行動していたら、中国船の船長だって逮捕できないはず。

こんな騒ぎになって一番喜んでいるのは「海保がバラバラで情報管理もできないだめだめな組織だ」と認識した中国政府ではないか。

「思想」と「組織」は別のものだし、海上保安庁は後者であるべきものだ。前者を決めるのは政治の場で、それを「組織」として実行するのが官僚制度。

現政権に不満があるのなら、海保の末端ばかり賞賛しないでデモでもストライキでもして政権を追い込めばいい。政治や思想の争いを厳格であるべき組織の現場と混同してはいけない。