つらねのため息@gooブログ

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

新しい位相

2003-05-07 00:00:00 | 日本のこと
東京電力の柏崎刈羽原発6号機が再稼働したらしいです。

実は今回の一連のトラブル隠しの騒動は、日本における環境保護運動の転換点になるかと期待していたのですが、どうやら事態は完全に収束しそうです。政府側が早期に環境庁の設立に踏み切るなど公害問題などに対して積極的に取り組んでいたせいもあり、日本では「緑の党」的な全国規模の運動体が存在していなかった。今回の騒動でそのような状況も変わるかと思ったのですが…。う~ん。なかなかそう簡単にはいかないみたいです。

ヨーロッパ諸国では60年代のいわゆる政治の季節のあと、人々の関心が移る中でいわゆる「緑の党」が出現しました。当初こそただの単一争点主義政党(ようは環境問題だけやる政党)と思われていた緑の党ですが、その存在がヨーロッパ政治の中における比重を高める中で、いかにも現代的な問題を提起するに至っていると思います。すなわちいい意味でも悪い意味でもコンセンサスの確立していた、経済成長を前提としそこから社会福祉を充実させようとする福祉国家体制に対するアンチテーゼとしての意味です。それはそれまでの保守政党であっても社会民主主義政党であっても基本的に維持されてきた経済成長と福祉の両立という福祉国家の基本となるコンセンサスに対してイデオロギー的に異議申し立てを行うという画期的な地位を占めているといえるでしょう。このような変化は社民主義政党にそのイデオロギー的な転換を迫り、すでにヨーロッパ政治の中で無視しえぬ力となっていることは注意するべきであろうと思います。各国において社民党と緑の党によるいわゆる赤と緑の連立がおこなわれているのはその一例でしょう。

このような文脈における「脱物質主義」とでも言うような新たな政治が日本でなかなか生まれないのは残念なことです。時の担当大臣に「民主主義の誤作動」と言わしめた吉野川河口堰の反対運動がついに知事を誕生させたのはひとつの一里塚といえるでしょうが、まだまだ、全国規模の運動となるには時間がかかりそうです。今回のトラブル隠し騒動はそんな日本に警鐘を鳴らすかと思ったのですが…。なかなかですねぇ。

神のご加護を

2003-05-04 00:00:00 | 過去ログ転載
なるほど、きみたちはぼくらより賢いかもしれない。ぼくらがただ前進するしかなかった道を戻ったり立ち止まったりすることも可能かもしれない。少なくともきみたちはふりかえることができる。だからぼくはきみたちが、それがどんな速さでどこへ向かっているのかはわからないけど、歩き続けることを願っているし望んでもいる。でももし、結局のところ何らかの結末が不可避なのだとしたら(もちろんそんなことはないしぼくはそうならないことを希望しているが)それは後退以上のものを意味しはしないことをきみたちはよく考える必要がある。なぜならきみたちは複数なのだから。それは時として拡大し、また縮小し色々な人をのみこみ、切り捨てる。足元を見てごらん。