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詩と物語を紡ぎます

残香

2017-09-30 14:30:00 | daily tsukasa

残香

仄かな芳香が空間を淡く彩っている。金木犀の並木は花を殆ど落としていた。にも関わらず未だ香りは途切れていない。

小学校中学年くらいの少女が背伸びをして、葉を掻き分けて凝視し、目を閉じて香りに浸っている。

僅かばかり花が残っているのだ。それは義理堅く世話好きな金木犀らしい心遣いだった。

少女と目が合うと、彼女は屈託なくわたしに尋ねてきた。

おじさん、いつも何を書いてるの?
詩を書いています。
そうなんだ、詩人?
はい、詩人です。

少女は、いい顔で笑った。わたしも笑みを返した。そして少女は駆け去って行った。


2017/09/30
12:30 pm

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