ネットオヤジのぼやき録

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トラブル続きの王様(El Rey)に”地獄の男(El Infierno)”がアタック - ロマ・ゴン VS エストラーダ III アンダーカード・プレビュー I -

2022年12月01日 | Preview

■12月3日/ヒラ・リバー・アリーナ,アリゾナ州グレンデール/WBC世界フライ級タイトルマッチ12回戦
王者 フリオ・C・マルティネス(メキシコ) VS WBC18位 サミュエル・カルモナ(スペイン)

今年3月、階級を上げてロマ・ゴンにアタックしたものの、まだまだ高く分厚い元P4P1位の壁に弾き返されたマルティネスに、リオ五輪L・フライ級代表(ベスト8敗退)からプロ入りしたスペイン期待のスイッチヒッターが挑む。

本来ならば、延び延びになっていた暫定王者マックウィリアムズ・アローヨとの再戦が、ようやく実現の運びとなる予定だったが、アローヨ陣営が首と腰(?)の怪我を理由(詳細不明)に、本番までおよそ3週間となる今月13日に出場を辞退。

そもそもの発端はと言えば、2020年の7月後半。8月25日に決まっていたアローヨとの防衛戦(オクラホマ州タルサ)を、「喉の感染症(風邪?)」を理由にキャンセル。昨年2月27日にフロリダ州マイアミへと場所を移し再セットされていた。ところが・・・何としたことか本番2日前にマルティネスがドタ・キャン(拳の負傷)。

急遽召集されたL・フライ級のアブラハム・ロドリゲス(WBO王者時代のアンヘル・アコスタに挑戦して2回KO負け)を5回TKOに屠ったアローヨに、WBCは暫定王座を承認した。


拳の回復(?)を待ったマルティネスは、昨年6月の復帰戦で中堅どころの同胞ホエル・コルドバ(スパーリング・パートナーでもあったとのこと)を6ラウンドでTKO。4度目の防衛に成功すると、5ヵ月後の11月19日、ニューハンプシャーでアローヨとのWBC内統一戦に臨むも、ヘッドクラッシュによる3回ノーコンテスト(2回終了後のドクターチェックでストップ)。

◎マルティネス VS アローヨ第1戦
2021年11月19日/SNHUアリーナ,ニューハンプシャー州マンチェスター



初回に左フックで倒し合い、DAZNの実況席が言及した通り、幾多の名勝負を繰り広げてきた「メキシコ VS プエルトリコ」の伝統を継承する好ファイトの予感に会場全体が色めき立つ。

互いに効いていたが1分間の休息で持ち直し、第2ラウンドも激しく打ち合う両雄。攻防の最中に頭がぶつかり、アローヨが右の瞼をカットして流血。かなりの出血だったが、コネチカット選出のレフェリーは即座のドクターチェックを要請せず。

バッティングの影響もあって距離と間合いを置こうとするアローヨに、圧力を強めるマルティネスが左フックでダウンを追加するも、スロー再生で確認するまでもなく明らかなプッシング(押し倒し)。

とは言え、初回のダメージにカット&出血が重なり、36歳の誕生日を翌月に控えたアローヨがスローダウン。9つ若いマルティネスが勢いで上回る。


2ラウンドのインターバルが終了してもアローヨは椅子から立つ様子がなく、傷の手当を続けるコーナーを含めてのものと思われるが、大きなブーイングが場内に木霊した。

ドクターはかなりの時間を使ってアローヨの傷と状態を確認していたが、継続の意思を明確に示そうとしないアローヨに、試合の終了を予見してブーイングが大きさを増す。敵前逃亡と映ったのだろう。

傷は幅が長く大きいもので出血量も多く、アローヨ陣営の判断は止むを得ないとは思う。ただ、カットマンがどこまで本気で止血しようとしていたのか、若干の疑問は残る。

レフェリーは3ラウンドの開始を合図しておらず、カットではなく戦況を考慮した撤退、勝敗の付かないアクシデンタルNCを拾いに行ったと見えたのは残念の極み。

少なくとも、一昔前のトップ・ボクサーたちなら迷わず続けようとしたに違いない。ベルトの懸かった試合で、自ら進んで試合を放棄することはなかった。そうした点のみに着目すれば、アローヨの表情に「弱気」が浮かんで見えたのも確か。


残念な幕切れに終った第1戦の後、6月25日サンアントニオ開催で第2戦がリセットされたまでは良かったが、今度は「重度の感染症(病名・症状等不明)」でマルティネスがまたもやキャンセル。

2度目の仕切り直しとなる今回、アローヨは「これがラスト・ファイトになる」と試合後の引退を宣言。マルティネスとの因縁に決着を着け、王者のままリングを去る。不退転の決意と覚悟でリマッチに備えている筈・・・と誰もがそう思っていたのだが・・・。



※左から:マルティネス,エディ・レイノソ(現在のチーフトレーナー兼マネージャー),マウリシオ・スレイマンWBC会長


◎ロマ・ゴン VS マルティネス戦/フルファイト
https://www.dailymotion.com/video/x88mr73

◎ロマ・ゴン VS マルティネス戦プレビュー
2022年ファイト・オブ・ジ・イヤー候補No.1? /確信犯の1.5ポンドオーバーに興味も半減 - ロマ・ゴン VS J・C・マルティネス 直前プレビュー -
2022年3月6日
https://blog.goo.ne.jp/trazowolf2016/e/581b34b694e96868706b9709954a5c05


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「挑戦資格は15位まで」と定められたWBC(及び主要4団体)のプリンシプルを棚上げにして貰い、3週間前のスクランブル発進に応じた挑戦者のカルモナ(26歳/8戦全勝4KO)は、リオ五輪代表からプロ入りした王者候補(?)の1人。

「El Infierno(エル・インフェルノ)」という物騒なあだ名が付いているが、同じ二つ名を持つファン・アリアスというボクサーに似ていたらしく、「自分から名乗った訳じゃない」という。

キャリア僅か8戦(2019年4月デビュー)ということもあって、スペインのボクサーが得意にするクラシックなフットワークを操り、自在に左右のスタンスを入れ替えながらヒット(ポイント)を奪う、2012年ロンドン大会以前のアマのスタンダードをベースに、荒々しく強打を振るうファイター・スタイルを切り替えながら戦っている。

ボクシングを始めたのは11歳で、実家の隣にあったジムに通い出す。母親を筆頭に家族の反対を受けたが、大のボクシング・ファンだった祖父が後押ししてくれたという。


またナショナル・チームに召集されて以降、代表選手をとりまとめるヘッド・コーチ,ラファエル・ロサノの指導を受け、「(アマの)国際試合を勝ち抜く為に必要な技術と、敵地で戦う心構えと備えを叩き込まれた。カルロスと彼がいてくれたからこそ、ここまでやって来れた。本当の恩人だ」とのこと。


※写真左:カルモナとカルロス・フォルメント(最初の指導者でもあるヘッド・トレーナー)
※写真右:ともにリオ五輪を戦った代表チームのコーチ,ラファエル・ロサノとカルモナ


もっとも、カルモナは生まれ故郷のラス・パルマス(カナリア諸島にあるスペイン領の島/人口40万人の中規模都市)に住み、生活と活動の拠点をスペイン本土に移していない。おいそれとトレーナーをチェンジする訳にはいかない事情もある。

すべてのアマチュア・ボクサーが恋焦がれるオリンピックの夢舞台で、アルメニア代表のアルトゥール・ホヴァニシアンを3-0で破り初戦(R32)を突破すると、北京・ロンドン(いずれも銅)に続く3大会連続出場で念願の金メダルを狙うパディ・バーンズ(35歳/プロでは6勝3敗と振るわずパンデミックによる休止を継続中)を2-1でかわす大金星。

メダルへの期待が一気に高まる中、ベスト8でコロンビアの大ベテラン,ユベルヘン・マルティネス(31歳/今年7月母国でプロ・デビュー/2連勝中)に1-2で敗北。寸でのところでメダルを獲り逃がし、無念の帰国となった。

決勝に進んだベネズエラの雄は、ウズベクのニューヒーロー,ハサンボイ・ドゥスマトフの軍門に下る(0-3の完敗)も、見事銀メダルに輝きアマキャリア最終盤に大輪の花を咲かせている。


※リオの本戦でメダルを確実視されていたパディ・バーンズ(アイルランド)から殊勲の白星を上げる/シードされた緒戦(ベスト8)でフィンランドの伏兵ミラ・ポコトネンに足下をすくわれたアイリッシュの女帝,ケイティ・テーラーのケースと合わせて「不当判定」ではないかと物議を醸す


「ベスト8で負けてしまい、本当に悔しい思いをした。だから、2020年の東京大会を目指した。でも、私の階級(L・フライ級)が無くなってしまい、さらにパンデミックが起きてしまった。」

プロに転向した最大の理由について、カルモナはそう述べている。2018年11月にモスクワで開催されたAIBA(昨年暮れIBAに改称)総会において、新たな会長に推挙されたウマル・クレムレフを巡る諸問題(別記事をアップ予定)により、AIBAはIOCから五輪の運営資格をはく奪された。

IOCの委員で国際体操連盟会長も務める渡辺守成を座長として、「ボクシング・タスクフォース(特別作業部会)」が組織され、作業部会は女子の大幅な階級増(3階級→5階級)を決定。

参加人数枠を確保する為、男子の階級が2つ減らされる(10→8)事になり、L・ウェルター級とL・フライ級が削減の対象となる。
※世界選手権ではミニマム級(以前と同じ48キロ上限)に改称され維持継続(L・ウェルター級も存続)


フライ級へのアップを見送り、アマの競技生活に見切りを着けたカルモナに対して、ユベルヘン・マルティネスは増量を受け入れ、パンデミックにより開催が1年延期となった東京五輪にも参戦。

30代半ばとなっても老練の技と駆け引きは健在。初戦(R32)と2回戦(R16)を突破したが、ベスト8で田中亮明(ロンドン五輪以来となる銅メダルを獲得/田中恒成の兄)に敗れ、2大会連続のメダルは成らず。


◎アマ時代の試合映像
<1>J・マルティネス VS カルモナ
2016年リオ五輪L・フライ級(49キロ上限)準々決勝
https://olympics.com/en/video/y-h-martinez-col-df-s-carmona-heredia-esp-2-1

<2>P・バーンズ VS カルモナ
2016年リオ五輪2回戦(R16)
https://olympics.com/en/video/s-carmona-heredia-esp-df-p-barnes-irl-2-1

<3>A・ホヴァニシアン VS カルモナ
2016年リオ五輪1回戦(R32)
https://olympics.com/en/video/s-carmona-heredia-esp-df-a-hovhannisyan-arm-3-0

<4>G・ヤファイ VS カルモナ
2017年欧州選手権準決勝


カルモナにとって最大の勲章と称すべき銅メダルを獲得した2017年の欧州選手権でも、準決勝でイングランドの雄,ガラル・ヤファイ(3兄弟の末弟)に1-2の惜敗。リアルなトップクラスにあと数歩及ばず、アケスケに言ってしまうと”典型的な善戦マン”の印象が拭えない。

オリンピックの2回戦とベスト8では、インファイトと分かり易い決着を奨励するAIBAの現行国際ルールを意識してか、足を止めて積極的に打ち合う姿が見られるが、アルメニア代表との初戦やガラル・ヤファイ戦で見せた一時代前の”タッチ&ラン”をカルモナ本来のスタイル,本領と見るべきか。

アマでの実績から6回戦でのデビューとなったが、2戦目で一旦4回戦に落とし、ロシア遠征の3戦目が8回戦。2戦続けてのロシア行きとなる4戦目が初の10回戦。

間もなく40歳になるコロンビアの元ランカー,ホセ・アントニオ・ヒメネス(ミニマム級で世界挑戦経験有り)を初回でノックアウト。WBAインターナショナル王座を獲得した(2020年2月)。

◎カルモナ VS J・A・ヒメネス
2020年2月1日/ヤンタルヌイ・スポーツ・パレス, カリーニングラード(ロシア)
WBAインターナショナルフライ級王座決定10回戦



開始早々から荒々しいスウィングでアラ・フォーのコロンビア人を追い回し、90秒足らずで10カウントを聞かせる圧勝劇。”らしくない”戦い方だが、年齢も含めた力の差を確信した上での選択。

ロシアでの2試合を気に入られたらしく、上述したウマル・クレムレフ(アマのトップでありながらプロの興行会社=パトリオット・プロモーションズも経営:WBSSバンタム級に参戦したミーシャ・アローヤン:ロンドン五輪銅メダルを傘下に収める)とプロモート契約を結ぶ。

意気揚々と帰国したカルモナを待っていたのが、武漢ウィルスの猛威。1年5ヶ月のレイ・オフを強いられたが、昨年7月マドリッドの興行で復帰。ニカラグァの超絶負け越し選手を呼んで6回フルマークの判定勝ち。暮れの12月にもリングに上がり、22歳のメキシカンを初回でTKO。


母国にはアラブ系のマネージャーがいて、IOCから直接ガバナンスに関する懸念を指摘され、東京に続いてパリ大会(2024年)の運営権も認められなかったAIBA(IBA)会長との密接な関係は流石にまずいと考えたらしい。詳しい経緯はわからないが、2021年12月のプロ6戦目から、エディ・ハーンの仕切りで戦っている。

そして今年4月、バルセロナで2度目の10回戦が組まれた。招聘されたのは、マルティネスにチャレンジして6ラウンドまで頑張ったホエル・コルドバ。カルモナの現在地を探るのに、打ってつけの相手と判断された模様。

投資の見返りを見積もるマッチルームは、当初からWBC王座を保持するマルティネスの対抗馬に当てるつもりだった筈で、カルモナの地金,埋蔵量と将来性を見極めなくてはならない。アローヨ戦の結果次第では、マルティネスの後釜に据える手もある。

脚さえ止まらなければ、地の利も含めて10ラウンズを誤魔化し切れると想像はしたけれど、実際の展開はまあ酷いものだった。

◎カルモナ VS コルドバ戦(ハイライト)
2022年4月1日/パベリョ・デラ・バル・デブロン,バレンシア(スペイン)
※1992年バルセロナ五輪競技会場
https://www.youtube.com/watch?v=nYQMo0JKt5k

◎フルファイト
https://www.dailymotion.com/video/x89t9c2


◎マルティネス VS コルドバ戦(ハイライト)
2021年6月26日/アレナ・アルカルデ, グァダラハラ(メキシコ)

立ち上がりは勇敢に強打を返していたが、前に出続けるコルドバを押し止めることができず、後退を繰り返す中で思いっ切り体を預けてコルドバを押し倒す有様。

もともと体力ありきのパワー勝負に弱く、一目散に「当て逃げ戦術」に転換。押し込まれると下がり続ける悪弊に加えて、中盤以降懸念されていたガス欠が顕著となり、不利な態勢になると抱きつき戦術以外にやりようがない。

クリンチ&ホールドに甘くなる一方の堕落したレフェリングに、ホームタウンの強過ぎる追い風を頼りに、第8ラウンドに迎えたダウン寸前のピンチをしのぐと、第9ラウンドにはラッキーなフラッシュダウンの後押しもあり、粗さが目立つコルドバの攻撃にも助けられて何とか逃げ切った。


ポベトキンとやった時のクリチコ弟もムチャクチャだったし、押し相撲と形容された亀田大毅、カシメロを投げ飛ばし続けたアムナットらに比べれば・・・と言えなくも無いが、有体に言って泥試合。

結果の公表を聞くまでもなく、最終ラウンドのゴールテープを切った瞬間にカルモナの勝利は確定。3-0の小差判定をもぎ取ったが、世界ランキングに相応しい実力を証明したとは口が裂けても言えない。

「これではマズい・・・」

流石に陣営も考えたのだろう。半年の間隔を開けて、10月29日に生まれ故郷のラス・パルマス(カナリア諸島にあるスペイン領の島/人口40万人の中規模都市)で6回戦のチューンナップをやった。

ニカラグァからまた大幅負け越しのアンダードッグを呼び、3-0判定勝ち。契約ウェイトと計量の結果は不明だが、ウェイトが判明している8試合中4試合のうち、フライ級リミット内で計測されたのは1試合のみ。

はっきりしたことは言えないけれど、ニカラグァ人がバンタム~S・バンタムで戦っている選手なので、118ポンドに近い115ポンド+アルファ程度の調整だったと思われる。

もう少し時間をかけてプロの水に慣らし、欧州(EBU)と英連邦(コモンウェルス)のベルトを巻かせるなどしてバリューアップを図り、相応の経験を積ませるのが本来の道筋だが、アローヨの撤退で状況が変わった。


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確信犯のウェイトオーバー(+1.4ポンド/115ポンド契約)をやらかし、それでも通用しなかったロマ・ゴン戦はもとより、体調不良を口実にした(?)キャンセルも対アローヨの2回だけではない。

「エル・レイ(El Rey)=王様」のニックネームに相応しい(?)、やりたい放題の体。ボクシングの世界チャンピオンはまさしく王様に違いなく、「ベルトを持っているヤツがすべての意味において強い」のも事実なのだが、”本物のチーム”に必ずと言っていいほど居る、諫言を厭わない大人が不在のようだ。

ダウン後の加撃でKO勝ちが一転ノーコンテストとなったロンドンでの初挑戦(2019年8月31日/O2アリーナでのチャーリー・エドワーズ戦)を持ち出すまでもなく、強引な力尽くのボクシングから脱げ出し切れない悪癖にも、トレーナーの手綱に対する不安が顔を覗かせる。


リミットを作れずに戦わずしてベルトを失い、心身ともに最悪のコンディションでリングに上がった比嘉大吾を破り載冠したクリストファー・ロサレス(ニカラグァ)を圧倒して王座に就いた時は、素直に良い選手だと思った(2019年12月20日/アリゾナ州フェニックス/エドワーズの返上を受けての決定戦)。

小兵に似合わぬパワーにスピード&シャープネスを兼ね備えていて、フィジカルの強度と闘争心にも不足はない。

ロサレス戦の直前にマッチルームUSAと正式契約を結び、首尾良く防衛を重ねて経験を積めば、中谷潤人(WBO王者)の強力な対抗馬になるのは間違いないと実感したが、ドタキャンの常習にロマ・ゴン戦の体重超過で、トラブル・メイカーと化してしまった。


前日計量が滞りなく行われて、何事もなく試合が行われれば、マルティネスのV5は決まったも同然。準備期間の不足以上に、才気走ったスタイルの割には、センシブルなムーヴィング・センスは今1つ。パワー,技術,スピード,スタミナのいずれにおいても、マルティネスを凌駕する水準に達していない。

揉み合い上等の白兵戦でウィークネスを晒したカルモナに、真正面からマルティネスと打ち合あわせるのは厳し過ぎる。

マルティネスを母国に呼んで、スタートから抱きつき戦術全開で致命的なノックダウンを回避し、形振り構わず12ラウンズをやりくりできれば、世界のベルトを一度はその腰に巻けるかもしれない。

リオ五輪を再現する大番狂わせの可能性が他にあるとすれば、カルモナを舐めたマルティネスの調整ミス(不足)ぐらいしか考えられず、エル・レイが真面目に8割方仕上てくれば、極端に差が開いたオッズ通り、中盤辺りまでにはレフェリー・ストップか試合放棄に追い込む筈。


□ブックメイカーのオッズ
<1>FanDuel
マルティネス:-3000(約1.03倍)
カルモナ:+1260(13.6倍)

<2>Paddypower
マルティネス:1/25(1.04倍)
カルモナ:11/1(12倍)
ドロー:25/1(26倍)

<3>betfair
マルティネス:1/25(1.04倍)
カルモナ:11/1(12倍)
ドロー:25/1(26倍)


MGMやウィリアム・ヒル,スカイ・ベットは賭けの対象から外している。代理挑戦というディス・アドバンテージを抜きにして、仮に十分な準備期間がカルモナに与えられたとしても、数字が大きく変わることは考えづらい。


◎マルティネス(27歳)/前日計量:111ポンド
WBCフライ級王者(V4)
戦績:22戦18勝(14KO)2敗2NC
世界戦世界戦通算:6戦4勝(3KO)2NC
※ロマ・ゴン戦はWBCダイヤモンド王座戦(世界戦には含まれない)
身長:157(163)センチ,リーチ:163センチ
※Boxrecの身体データが下方修正されている
右ボクサーファイター


◎カルモナ(26歳)/前日計量:111.4ポンド
戦績:8戦全勝(4KO)
アマ戦績:不明
2016年リオ五輪代表(ベスト8)
2015年世界選手権(ドーハ/カタール)代表(2回戦敗退)
※金メダルを獲得したヨアニス・アルギラゴス(キューバ)に0-3判定負け
2017年欧州選手権(ハルキウ/ウクライナ)銅メダル
※階級:L・フライ級
2015年国内選手権優勝
2014年ジュニア国内選手権第3位
2013年ジュニア国内選手権準優勝
※階級:フライ級
WSB(World Series of Boxing):5戦4勝(1KO)1敗
※母国スペインにチームが無かった為フランスのチームに参加
 2018年2月にパリで行われた英国との対抗戦でガラル・ヤファイに雪辱(5回3-0判定)
身長:162センチ
左右ボクサーファイター(スイッチヒッター)



◎前日計量:フル映像
https://www.youtube.com/watch?v=8sPK2Cz_gqw


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■リング・オフィシャル:未発表