Trips with my RV.

RVでの小旅行。

Settling with power

2012-07-26 19:34:41 | Innocent joke
「安全性が確認されるまで、日本の上空を飛ばないことが、日米で合意されている」と野田総理も森本防衛相も口を揃えている。玄葉外相は「対中国抑止力として日本自身の安全保障上の要請だ」とオスプレイ配備の必要性を説明した。

日本の専門家、あるいは防衛大臣などの閣僚が米軍関係者から説明を受けて、それに納得したことにして、「安全性が確認された」という話になり、V-22オスプレイが日本の上空をパタパタ飛び始める事に既に決まっているのだろう。

ニュース・キャスターに依ると、映像はないが米軍スポークスマンも同じアナウンスをしているらしい。米国内に於いてはMV-22オスプレイは既に安全だと決着している事なので、そんな事は有り得ない。米国側は「(日本政府側で)安全性が確認される(取り決めの日)まで、日本の上空を飛ばないことが、日米で合意されている」なのだろう。

玄葉外相は「日本自身の安全保障上の要請」としたが、閣内不一致の民主党なので(正直者の)岡田副総裁は「配備自体について日本政府には拒否する権限がない」とネタ晴らしをした。つまり日本政府の調査団は「地元の声」を「情報として」米国に伝える事はポーズだけだと岡田副大臣が明かしている訳だ。

その上で・・・、米軍は湾岸戦争で約100名の戦死者を出したが、その10倍の約1000名が事故で死んでいる。その1000名全員が航空機事故ではないが戦死者の数倍の兵士が航空機事故で死んでいる。その中でも特に荒っぽい海兵隊では飛行時間10万時間辺りの重大事故発生率2.45に比べてオスプレイの重大事故件数は1.93だから・・・オスプレイは安全だと説明を受けるのだろう。MV-22オスプレイはCH53シースタリオンへの代替機で、CH53シースタリオンの重大事故率は4.15だから、2倍ほど安全性が増すと説明も受けるだろう。沖縄に24機配備され年間250時間稼働なら、CH53シースタリオンで4年に1回の重大事故が発生し、MV-22オスプレイなら8年半で1回重大事故が発生する計算となる。何よりも行動半径が4倍に広がり海兵隊の能力向上が日本を守る為に配備するのだから理解して欲しい。CH53シースタリオンでは沖縄から約400Kmの尖閣諸島へは航続距離ギリギリで実戦運用は難しいがMV-22なら楽勝だ。人口密集地帯を避けて飛ばすように運営するので理解して欲しい・・・と決着する筈だ。

つまり、日本政府としては・・・、既定方針として決まっている10月からの運用開始と云う米軍の方針を、さも米軍から誠意ある説明を受けて日本から派遣された専門家が納得したので大丈夫だと云う「決定プロセス」を国民向けに「上手に」プレゼンテーションする事が肝要だが、こんなプレゼンを閣内不一致の民主党が上手くやってのけた事は政権発足後1度も無い。

航空自衛隊での任官経験を経た安全保障を専門とする国際政治学者として自民党政権時代から政府の有識者会議、審議会等で大きな役割を果たしてきて、「たかじんのそこまで言って委員会」や「日曜討論」では「民主党政権下における日米関係」を憂えていた航空自衛隊でパイロット経験もある森本敏防衛大臣なら、改めて調査団を送らなくても・・・オスプレイに限らず戦時運用する兵器が絶対に事故を起こさないと云う証明は得られない事は判っている筈だ。「確率は小さくてもゼロでは無い」だが、「対中国抑止力として日本の防衛には不可欠」であり、「既存機種よりも安全性は高い事」等々をTV番組の報道ショーで明解な受け答えをしていた森本防衛相が国民向けに正直にプレゼンする事で、(沖縄県以外に住まう)多くの国民の理解は得られると思う。

絶対に事故を起こさない兵器しか配備を許さない・・・とか、米軍による尖閣諸島防衛は不要だ・・・とか、云うのなら自衛隊を尖閣諸島に駐留させて日本独自で尖閣諸島他の国土防衛を行うべきだろう。歴史的政権交代で再燃した普天間基地移転問題やら日米地位協定問題やらで明らかになった事・・・は、沖縄への米軍駐留は対中国抑止力として地理的に沖縄でしか機能させ得無い事だった。沖縄県を中共の手から防衛する為には米軍駐留が不可欠だと判った筈だ。

(尤も、中共をスポンサーにする左翼運動家の尽力で、沖縄県民の日本切り離し計画は進行中らしい)

オスプレイが尖閣を守る?沖縄県民「中国の脅威より米軍基地そのものが問題」―香港紙 配信日時:2012年7月26日 5時0分 レコードチャイナ

2012年7月23日、米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ12機が米軍岩国基地(山口県岩国市)に搬入された。これは米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備される予定だが、これは尖閣諸島(中国名:釣魚島)を共同で防衛するためでもあると日米両国の官僚とメディアが示している。

日本の国防力を高め、人道援助や災害時救援力として有用であるとの名目。さらに、日中間の緊張を高めている尖閣問題の渦中にある現状においても、「岩国市民や沖縄県民の思いは複雑だ」と香港紙・信報は報じる。日本本土で予定されている低空飛行訓練や、これまで開発段階を含めた墜落事故の履歴が地元民に不安を与えているのだ。とくに今年4月以降、同型機は2回も墜落事故を起こしている。

同紙は続けて「沖縄にとって、米軍基地問題は戦後の傷跡である」とした。冷戦時代には対ソ連の重要戦略拠点だった沖縄の米軍基地。そして現在は、米国によるアジア太平洋地域の覇権争いに協力し、中国を抑制するための役割を担っている。しかしながら、当の沖縄県民の多くは現在、急速に台頭する中国を“脅威”とは感じておらず、むしろ米軍基地の長期駐留を苦々しく思っている。これはウィキリークスが公開した米大使館による電報にも記されている。

琉球大学の林泉忠(リム・チュアンティオン)准教授が2005年に行った「沖縄住民のアイデンティティー調査」では、沖縄県民のじつに4割が「わたしは沖縄人であり日本人ではない」と認識している。国家利益と対中政策に気をとられ、地元民の感情を軽視する日本は相変わらず米軍に沖縄の地を提供し、沖縄県民の不安と不満を煽っている。今回のオスプレイ問題は単に、以前からずっと潜在していた地方と政府間の不和が表面化しただけの話である。(翻訳・編集/愛玉)


・・・と云う文系の私向きの話ではなくV-22オスプレイの技術的安全性の話なら、私には無理カモ知れない。

Wローターの回転翼機(タンデム・ローターでは無く)やティルトローター機は、最新鋭の航空機だろう。何故なら、完全マニュアル操縦では満足に飛ばす事が出来ない機体だから・・・だ。

事故調査報告にあるV-22オスプレイ墜落の原因は、"Settling with power" や"Vortex ring state"と呼ばれる低高度でのヘリコプターの墜落事故原因とされている事象と同じだとされている。

【用語解説】セットリング・ウィズ・パワー
 ヘリコプターのメーンローター(主回転翼)が吹き下ろす下降流に機体が入り込んで降下し、浮き上がれない現象。出力を上げても脱出できず、抜け出すためには前方に速度を増す必要があるため、山岳地帯を低い高度で飛行している場合は対応が難しい。平成16年に福井県で、この現象のためヘリが海に墜落する事故が起きた。


セットリング・ウィズ・パワー・・・ではなく"Settling with power" なのでセトリング・ウィズ・パワーなのだろう。"Settle"は航空用語では「沈下」。「降下」ではなく「望まぬ降下」である「沈下」だ。つまり、"Settling with power"は「出力を使用しながら沈下(望まぬ降下)をしてしまう」だ。

上記【用語解説】の通り、自分のローターが吹き下ろす下降気流(ダウンウォッシュ)に機体が入り込んでしまい揚力が失われる状態だが、この状態からの離脱の為には、揚力が失われて激しく沈下しながら水平方向へ移動し揚力の回復を待つか、自らの下降気流より早く沈下して揚力が回復するのを待つしか無い。だから高高度でなら容易に脱出出来るが低高度では為す術もなく墜落してしまう。

特にV-22オスプレイでは、固定翼航空機の様に機体を左右方向にバンクさせながら垂直(遅い前進速度)で急降下させると、その片側のローターがセトリング・ウィズ・パワーで揚力を失い更に機体が転覆し墜落してしまうのだろう。種々の事故調査から降下角が30°を超えると警戒領域に入り、50°に近くなると危険領域となる。逆に、これ以下ならセトリング・ウィズ・パワーに陥る事は無いのだから、コクピットにはセトリング・ウィズ・パワー状態に近づいたことを知らせる警告灯、警報音、操縦桿の振動という3種類の警報装置が咥えられ2007年には「安全かつ実用的な航空機」と認定されている。勿論、回転翼機と同じ様な垂直降下でも充分に速度が遅ければ上手くこなす事が出来るのだが、その降下速度は軍用レベルではない。都合、STOLとして前進しながら降下すると云うランディングを行う事に成る。

セトリング・ウィズ・パワー対策として前進速度40ktで降下率は毎分800ft以下という推奨値(降下角15°)があったのだが、その後も墜落事故は相次いでいるが、その原因は急旋回と急降下を同時に行っている際の事故が大部分だ。降下角度は限界内でも左右のバンク角が大きすぎると片側のローターだけがセトリング・ウィズ・パワーに陥っている訳だ。これが欠陥だとは私は思わない。自動車だって安全速度を無視しスピードを出しすぎて急ハンドルを切ると操縦不能に陥るし、スピードを出して走りながら急ブレーキを掛けても操縦不能に陥って車は望まぬ方向に吹っ飛んでしまうカモ知れない。それを以て、自動車は危険なので配備すべきでは無いとはならないだろう。自動車もそうだが、航空機も運用限界を超えて粗暴な操縦をすれば事故を起こして当然だろう。そして、そもそも旅客を乗せて営業飛行するのではなく敵地での人質救出作戦等では安全運転とは成り得ない筈だ。余談だが、民間の旅客航空路線での重大事故率は飛行時間10万時間辺り0.07だが、V-22オスプレイの1.93に比べて27倍安全だと云ってみても仕方がない。余談だが・・・飛行時間10万時間毎の重大事故発生率1.93とは発展途上国のローカル路線よりは少しだけ安全なレベルだ。恐らく、熟練したパイロットがV-22オスプレイの安全飛行を徹底して行えば民間旅客路線の事故率を大幅に下回る筈だろう。

MV-22オスプレイも運用限界以内なら安全だろうが、兵器として運用限界を超えれば危険度が増すのだ。危険な兵器が身近に存在し続けてしまう沖縄県へは、別の分かり易い見返りが我が国には必要なのカモ知れない。米軍がすべきはバンク角も織り込んだ警報装置にアップグレードし自動飛行操縦システム (AFCS)をベテランモードとノービスモード(バトルモードと演習モードでも良い)の2段設定に改修する事と、セトリング・ウィズ・パワーを充分考慮したフライト・シミュレータでパイロットを訓練する事で急降下中の急旋回への危険度の認識を教育すべきだろう。ティルトローター機は、回転翼機と同じ機動が出来ると云っても回転翼機には敵わない、固定翼機に近い航続距離や速度が得られると云っても固定翼機には敵わないと云う中庸の存在だ。兵器の安全性・・・は運用の問題だと思う。

Marines (MV-22 Osprey)
http://www.marines.com/main/index/winning_battles/gear/aircraft/mv_22_osprey

MV-22 T&R MANUAL
http://www.marines.mil/news/publications/Documents/NAVMC%203500.11.pdf

natops flight manual navy model mv 22b [Full Version]
http://www.imarksweb.net/out.php?q=natops%20flight%20manual%20navy%20model%20mv%2022b
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