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創業106周年きものと洋服のお手入れ専門店 一級染色技能士の仕事事例と日常生活

東京からご依頼 お母様の遺品の30年前の総絞り白生地 染 正絹素材

2022年06月13日 | 着物(京染・染替え)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!

お母様の箪笥の中から出てきた布地ですが、何か分からずに色々とネットで検索しても

分からなかった中で当店のブログがヒットしたらしくて、当店にご連絡がありました。

総絞り白生地

絞りの白生地ですが、白生地に白い糸で生地に巻き付けると分かりずらいので

生成りの糸で絞っているので、生成り色に見えます。

総絞りの白生地ですが、当店では染める事は出来ないので、取引先の呉服問屋に

問い合わせると、本来染に関しては白生地を購入した小売り店を通じて仕入れた

呉服問屋に染を依頼する事が本来です、理由は染難だ出た場合は白生地に原因が

あったとの理由で、白生地の新反と交換してくれるので、小売り店としてはリスクが

無いとの理由です。今回の絞り白生地の場合は染難が出ない事と染めた後の絞りを

解く時に穴が開くリスクがある為に染める事を断られました。

お客様に事情を説明した所、お母様の取引していた呉服小売店はすでに廃業している事と

他に取引している小売り店がないとの事で当店に白羽の矢が立ちました。

他で染めてくれる業者が知らない事と解いて穴が開いた場合は長着では無くて

他の小物等にしたいとリスクはお客様が持ってくれるとご納得いただけたので

染のご依頼をお受けしました。何よりお母様の遺品の為にお母様がご指定していた

銀ネズ色の染のご依頼を受ける事にしました。

染見本帳

No13027の色にする事になりました。

名古屋のメーカーに送って染めの依頼を行いました。

総絞り白生地 染め上がり後

染上がった後に、色が合っているかの確認で一度当店に戻ってきました。

表側を生成りの色で絞っているので、色が分かりずらいですが裏側は白地の為に

綺麗な銀ネズに染まっています。

絞り白生地 染め上がり

本来は、北窓から入ってくる日光で確認ですが、蛍光灯の下で確認したので

少し濃くみえますが、問題はありません。

絞り白生地 染め上がり後

テストで一部、解いた所、綿糸で絞った疋田絞りでは無く絹糸で絞った本疋田絞りとの事でした。

疋田絞りは通常は綿糸4回巻きます。木製の絞り台に専用の針を設置して、

その針に布地を引っ掛け、生地を折り、綿糸で4回巻きます。4つ巻絞り

針絞りとも呼ばれているそうです。

本疋田絞り絹糸で7回巻き、最後の一回を根元でもう一度巻く。合計8回巻いていきます。

道具は自分で作った紙製の指ぬきだそうで、粒を1つつまみ出して巻くそうです。

細かさは反物幅の1尺(37.88㎝)の横1列の中に、何粒絞られているかということで判断します。

1尺に40粒絞られていれば40建て(だて)と呼ばれ、40粒、45粒、60粒と細かくなり、

熟練の技が必要となります。粒の細かさが疋田絞りの価値を左右することになります。

巻く回数が多いほどに鹿の子の目が小さくなり、上質なものになります。

ちなみに今回の白生地は45建ての本疋田絞りだったので、メーカーの方もまさか北海道から

驚いていました。色はバッチリなので、再度名古屋のメーカーに送って絞っている

絹糸を解いてもらい湯のしをして幅出し後に再度仕上がったと納品されました。

染上がって来て、検品すると生地幅は1尺有りましたし、生地の丈も3丈以上あるとの事でした。

本疋田絞り白生地 染め上がり(解き)後

中を見ると30年以上前の白生地の為に全体的に汚れと黄変しみが有りました。

絞りの状態も湯のしのみで仕上げたので絞りが伸びた状態でした。

このまま仕立てたらクレームの原因になるので、リカバリーを行います。

この続きは次回になります。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる 

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

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