東葛人的視点

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「2007年問題」の本当の意味

2004-07-27 15:59:38 | ITビジネス
 「2007年問題」が言われて久しい。ITサービス業界が言い出したことなので、当初ユーザー企業からすこぶる評判が悪かった。「2007年に突然、ベテラン技術者がいなくなるわけではないだろう」「また危機感を煽って、新システムの構築にもっていこうとしている」といった具合に非難ごうごうだった。

 最近では、いずれ何とかしなければいけないレガシー・システムの問題を象徴的に言った言葉ということで、理解されるようになってきた。冷静に考えると、2007年問題はよくできた“仕掛け”だった。2007年問題が言われはじめたのは、2003年のこと。2004年からの中期計画なら終了年のよく年に当たる。つまりレガシー・マイグレーションは中期計画のマターというわけだ。

 企業にとって取り組まなければいけないことでも、長期計画のマターになれば「やりません」と言っているのに等しい。しかし、中期計画は現経営陣の仕事であり、1年の短期計画に落とし込んで取り組むべきマターになる。ITサービス業界がユーザー企業に送るメッセージとして、2007年にはそんな意味があった。

 これをユーザー企業側から見ると、別の側面が見えてくる。これは、ある食品メーカーのIT部門のマネジャーから言われたことだが、この企業にとっての2007年問題はベテランのリタイアよりも、若手の優秀な技術者、もしくはそのタマゴを採用できなくなりつつあることだそうだ。

 ベテランのリタイアは嘱託などで解決することができる。しかし、今の若者は基幹系システムのお守りという“退屈な仕事”を、しかも技術者としてのキャリアを築けないCOBOLを憶えて、やりたいなどとは思わない。やはりJavaであり、できればネットビジネスなど最先端の仕事をしたがるのだ。

 確かに大企業ならともかく、中堅、中小となると優秀な人材を確保するのは至難の業だろう。Javaなどオープン系への移行は、人材確保の面からも必要なのである。一見くだらない話のようだが、結構本質的なところを突いていると思う。