東葛人的視点

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SIに未来はあるのか?

2004-07-03 18:28:02 | ITビジネス
SI(システム・インテグレーション)というビジネス・モデルは寿命を迎えつつあるのではないか----こうした問題意識が、ITサービス業界に急速に広まっている。これは1年以上前に、業界最大手のNTTデータが言い出したことだが、最近では業界の経営トップの多くが口にするようになった。

SIは、顧客のニーズに合わせて情報システムをインテグレーションする。インテグレーションとはいえ、実態はソフトをスクラッチで作り上げる。だからコスト高になる。

今までは、ユーザー企業もそのことに納得していた。しかし、オープン・システムの浸透で、それは通じなくなった。パッケージなどを組み合わせれば十分なのではないか。探せば結構使える半用品がある。極力、開発工数を減らしてコストを削減しよう。ユーザー企業はそう考えるようになった。

しかも、どうしても開発しなければいけないところは、中国やベトナムなどのオフショア活用により、コストを切り詰める方向にある。日本国内でも、ユーザー企業に1人月50万円という“中国相場”で提案あるITサービス会社が出始めたと聞く。

こうしたデフレ圧力を受け、SIの料金は下がる一方だ。単価が下がれば、当然原価比率が高くなる。そのためプロジェクトが失敗すれば、たちまち利益を食いつぶす。10のプロジェクトのうち1軒でも失敗すれば赤字転落。SIはそうした脆弱なビジネスになりつつある。

では、どうすればいいのか。その解は簡単ではないが、ユーザーの「つくらない」というトレンドに乗るしかないのではないか。つまり、様々なパッケージやオープンソースなどを組み合わせて
、極力作らない方向でインテグレーションする。つまり、エンジニアリング会社と同じモデルだ。その方がSIの本来の意味に近い。ただ、そこでどうやって利益を得ていくのか。今後、考えていきたい。