今年、IT営業のセールストークで最も使われたキーワードは「個人情報保護」だろう。言うまでもなく、来春の個人情報保護法の本格施行をにらんだもので、情報漏洩に不安を感じるユーザー企業にセキュリティ関係のソリューションを売り込もうとしたわけだ。ベンダーからも対応製品が山のようにリリースされて、経済紙には毎日のように「個人情報保護」の見出しが躍った。
で、現実の商談では、どうだったのだろうか。あまり景気のよい話は聞かない。考えてみれば当たり前で、個人情報保護法の趣旨からして、まっとうな企業が情報漏洩で処罰されることは考えられず、個人情報保護法の施行自体がシステム更新の契機にはなり得ない。しかも、個人情報漏洩はシステムで防げるものではなく、社員の意識改革や情報管理体制の見直しなど非ITの部分の果たす役割が極めて大きい。
個人情報保護の必要性を訴えること自体は、決して間違ったことではないが、提案の方向が少し間違っているような気がする。なぜ、企業は保護しなければいけない個人情報を溜め込んだのか。それは当然、マーケティングなどで顧客情報を分析したり、顧客との接点を増やしたりするためである。ところが、ITベンダーやシステム・インテグレータはその目的を捨象し、個人情報の保護を自己目的化した提案を数多く行った。その結果、ユーザー企業の守りの意識は高まり、CRMなどの新たなシステムの導入にも躊躇するという笑えない話も出てきた。
本当に提案しなければいけないのは、個人情報保護ではなく「個人情報活用」だろう。個人情報をいかに戦略的に活用して、顧客との接点を増やし、顧客シェアを高めていくかを提案しなければいけない。そうした個人情報活用を進めていくという前向きな話の中で、その“コスト”として個人情報保護をとらえる発想が大事だ。ERPやSCMと違い、CRMの領域はまだソリューションとしても固まりきってはいない。来年こそ、この分野の開拓のため、安易な危機煽りのセールストークは慎んだ方がよい。
で、現実の商談では、どうだったのだろうか。あまり景気のよい話は聞かない。考えてみれば当たり前で、個人情報保護法の趣旨からして、まっとうな企業が情報漏洩で処罰されることは考えられず、個人情報保護法の施行自体がシステム更新の契機にはなり得ない。しかも、個人情報漏洩はシステムで防げるものではなく、社員の意識改革や情報管理体制の見直しなど非ITの部分の果たす役割が極めて大きい。
個人情報保護の必要性を訴えること自体は、決して間違ったことではないが、提案の方向が少し間違っているような気がする。なぜ、企業は保護しなければいけない個人情報を溜め込んだのか。それは当然、マーケティングなどで顧客情報を分析したり、顧客との接点を増やしたりするためである。ところが、ITベンダーやシステム・インテグレータはその目的を捨象し、個人情報の保護を自己目的化した提案を数多く行った。その結果、ユーザー企業の守りの意識は高まり、CRMなどの新たなシステムの導入にも躊躇するという笑えない話も出てきた。
本当に提案しなければいけないのは、個人情報保護ではなく「個人情報活用」だろう。個人情報をいかに戦略的に活用して、顧客との接点を増やし、顧客シェアを高めていくかを提案しなければいけない。そうした個人情報活用を進めていくという前向きな話の中で、その“コスト”として個人情報保護をとらえる発想が大事だ。ERPやSCMと違い、CRMの領域はまだソリューションとしても固まりきってはいない。来年こそ、この分野の開拓のため、安易な危機煽りのセールストークは慎んだ方がよい。