陶芸教室 夢工房あすか

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日日是好日/連載22

2019-06-10 00:22:45 | 日日是好日/連載
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 ー 「陶芸」 が教えてくれる 15 のしあわせ ー

 第八章 : たくさんの「本物」をみること/その5



前回のブログで京都の「河井寛次郎記念館」を訪ねたことを書いた。河井寛次郎さんのことも少し触れておこう。敬称は省略する。陶芸家の河井寛次郎といえば、あの版画家の棟方志功を育てた人である。濱田庄司が棟方志功を見出したのだが、「僕は、君を教えたり導いたりするような柄ではないから、河井に君をあずけよう」といって東京工業大の窯業科の先輩でもあり、教養のある河井に棟方をあずけたのである。河井は、京都からわざわざ東京に出向き、棟方をこの旧宅に連れて帰っている。妻子には今から 「熊の仔を連れて帰るから」 と知らせていた。

不遇にあえいでいた棟方は、河井家に入るやいなや意気軒昂として、「すごいぞ青年、凄いぞ青年、・・・」 と両手のこぶしを振り上げながら部屋に上がってきたのである。棟方が33歳の時である。当時、小学4年の河井の娘さんが思い出として語っている。映画化にもドラマ化もされた有名なシーンである。河井は、棟方を自宅に住まわせて、禅や仏典などを教えたのである。それが棟方志功の版画へと結実されて行くのである。棟方が描いている菩薩のような女性は、河井の娘のこの須也子の顔なのだ。

河井寛次郎に対する棟方の敬愛の深さは、手紙にも記されている。

  河井寛次郎先生
 真直ぐな事をいえば、先生は泣いてくださいました。
 こんなことは此の三十年の間に、嘗て廻り逢わなかった境涯でした。
  ・・・
 物は皆美しいもの、人は皆善い(よい)人。
 こんな素晴らしい言葉をわたくしに教えて下さった人は、
 今までありませんでした。
 与えられた美しさ、与えられたからこそ生まれた美しさ。
 自分なぞ何処にあろうか。
  ・・・
 立派なお手本を、だまって繰り拡げて止まなかった情深いお心持、
 絵描きを心掛けて十余年、わたしくは初めて本当の師匠に廻り逢いました。
 待った師匠は絵描きではなく、工藝の道に携わる人でした。
                            棟方志功



河井寛次郎の教えは、河井に讃迎しておくった版画 「鐘渓頌 (24画面)」 へとつながっている。鐘渓窯は河井が使っていた登り窯なのである。記念館に残されている。



師弟愛は終生続いた。河井が逝ったときの深い悲しみが棟方の書簡に残されている。

  河井寛次郎先醒
  河井寛次郎先醒
 先生が逝くなったということを京都からの電話で聞いた時、
 この瞬間空気がなくなって、わたしが吸いとられて仕舞ったようでした。
  ・・・
 わたしは部屋中に、「先生、先生」と先生の壷、鉢、
 大皿、茶碗から、あらゆる御作品をただならべていました。
  ・・・
 それでも淋しく哀しく、茫然となるばかりでした。
  ・・・
 智積院の境内に眠っている先醒は、いつともなく風となられて、
 わたくしのそばを吹いては流れ、めぐっては吹いて、
 拈華微笑を表してくださっているようです。
 拈華微笑を示してくださっているようです。
  河井寛次郎先醒
  河井寛次郎先醒
                            棟方志功

河井寛次郎作品は、「開運! なんでも鑑定団」 にもよく出品されている。
又、冒頭の写真の右下に写っている3人は、「民藝運動」 を推進した人たちである。左から、濱田庄司、柳宗悦、河井寛次郎である。

 ・・・ つづく ・・・


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