YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

2020年3月の読書メーター

2020年04月04日 | 

読んだ本の数:16
読んだページ数:4803


諦めない女諦めない女感想
フリーのライターがノンフィクションをものにするために関係者にヒアリングを続ける。一体どんな事件・出来事の関係者なのか。章が進むごとに事件の実態が明らかになるのだが、どの章においても目を背けたくなる情景が明らかになる。家族とは一体何なのか、仲間とは、自立とは。信じられるものと信じたいもの。最後まで読まないと目覚めの良くない作品、言い換えれば最後まで一気に読み勧めたくなる作品でした。
読了日:03月29日 著者:桂 望実


北斎と応為 下北斎と応為感想
応為の抱く男女の性差による動を不平等を、現代の目で描いていることに違和感を覚えました。テーマは素敵なのに応為の動く姿がなにか不自然に感じられるのです。読み終えて「著者あとがき」に入った途端、文章が生き生きと光りだすではありませんか。こんな疑問や不明点を抱いて取り組んだテーマなのに、なぜ本文は私を魅了しないのか。とても残念ながらストーリテラーとしての技量がもう一つだったとしか思えません。朝井まかて著「眩」と比較してしまう私がいました。
読了日:03月28日 著者:キャサリン・ゴヴィエ


太陽はひとりぼっち太陽はひとりぼっち感想
シングルマザーで肉体労働者の母親、裕福な家の跡取りと再婚した母親の連れ子、年の離れた兄を新宿二丁目で発見する教師。こんなとてつもない設定を行い、ストーリーを工夫し、文章に起こして本にする。素晴らしい才能ですね。中学1年生で「起業する」なんて考えるのかと、時代の動きに恐れおののいた始末です。
読了日:03月22日 著者:鈴木 るりか


平場の月平場の月感想
作者はどんな思いで題名をつけるのだろうか。「平場」の意味を調べざるを得ませんでした。制作の意図が「小説丸」というサイトに記してありました。「大人の『世界の中心で、愛をさけぶ』をやってみようと思いました」とのこと。50歳という年齢設定にもその理由があったようです。「平場」は「平凡な」というような意味合いで付けたのでしょうか。今や日本人の死亡原因の半数はがんですから、このようなシチュエーションは少なくないと思います。でも50すぎの(周りを含めた)大人の行動にはもっと品格があっていいのではないかと感じました。
読了日:03月22日 著者:朝倉かすみ


北斎と応為 上北斎と応為感想
応為の生きる姿が輝いて見えるような作品です。一方で吉原の構造が曖昧で、特に女の立場ではそんなに簡単に出入りできたとは思えず、違和感を覚えてしまいました。もう少し丁寧にしきたりなどの説明をしてほしかった。
読了日:03月20日 著者:キャサリン・ゴヴィエ


ベートーヴェンの生涯 (平凡社ライブラリー)ベートーヴェンの生涯 (平凡社ライブラリー)感想
生誕250年の今年はベートーヴェンの作品をたくさん鑑賞しようと思っています。ロマン・ロランの「ベートーヴェンの生涯」はシントラーの捏造やマリアム・テンガーの偽書に基づいた誤ったベートーヴェン像を世界に流布してしまったので、本書では豊富な調査により人間的で徹底した自由人であったベートーヴェンを描き出そうとした。と作者はあとがきで記している。「不滅の恋人」を明らかにできたその調査・取材力には頭が下がる。晩年のベートーヴェンの宗教観、ひいては交響曲第9番の叫びに、とても共鳴しやすい私を発見しました。
読了日:03月16日 著者:青木 やよひ


猛スピードで母は (文春文庫)猛スピードで母は (文春文庫)感想
文春ウェブ文庫でコロナウイルス禍のひとときをやり過ごしました。作者の永島有氏はNHK俳句で岸本葉子さんと楽しい番組を構成していました。この作品は「家族のカタチを爽やかに描いた」と図書館の評にでていましたが、そうなのかなぁと。小学生から中学生になる一時期の母と二人きりの家族。少年の心はもっと複雑なのだろうが、それはベールで覆って淡々と生活を表している。涙が出そうだ。
読了日:03月14日 著者:長嶋 有


ヒポクラテスの誓い (祥伝社文庫)ヒポクラテスの誓い (祥伝社文庫)感想
研修医はこんな部門(法医学教室)にも行くんですね。知りませんでした。「憂鬱」を先に読んでしまいましたが、こちらのほうが真に迫ってドキドキしました。キャシー准教授の性格付けはもっと別のものにしてほしかった気がします。医科大学と警察組織、そして死体。思わぬストーリー建てに一気読みしました。
読了日:03月13日 著者:中山七里


傑作はまだ傑作はまだ感想
本を書くということは資料を探したり、分析したり、構成を考えたりとけっこう大変なことだろうと思っているのですが、編集者の提案によって筋を変更するなんてこともあるのですかね。加賀野は極端にデフォルメされた作家像なのでしょうが、町内会にも属さず、近隣とのお付き合いもなくて困らなかったからというのは、実際にありそうで、こういう考え方が地域の防犯に悪影響を与えていることは明白です。最後の第4章で、美月の思いや両親への対応などが分かってほんわかした気持ちになりました。
読了日:03月13日 著者:瀬尾まいこ


友達未遂友達未遂感想
お嬢様たちが集う全寮制女子校。マドンナの生徒会長を頂点とする学園モノかと思って開いたのですが・・。題名の【未遂】ってなんなのだろう。目を引く不思議な題名です。多感な年齢の女子高生には見た目と異なる一面が隠されていた。様々な家庭環境を背景に自立していく少女たちを描いた作品でした。
読了日:03月12日 著者:宮西 真冬


沃野の刑事沃野の刑事感想
年を経て管理職になった幼馴染の三人。今は新聞社の一部門である週刊誌の編集長の息子が自死したとの連絡が入る。ここから怒涛の展開。正義とはなにか。青臭いことこそが人生の指標になるのか。・・まさかよど号ハイジャック事件で終わるとは!
読了日:03月11日 著者:堂場 瞬一


東京會舘とわたし 下 新館 (文春文庫)東京會舘とわたし 下 新館 (文春文庫)感想
上巻が関係者目線の筋立てでしたが、利用者目線の描き方になっていました。それにしても何というリアリズム。解説の出久根達郎氏も記しているように、3.11のその時帝国ホテルの授賞式でそんな案内があったそうです。越路吹雪氏のエピソードにも細川俊之氏の語ったこととして、山岸凉子氏のコミック【アラベスク】を引き合いに出しています。こんな精緻に描く必要はあったのかと驚くばかりです。第9章の「おかえりなさい」や第10章の4代続く結婚披露宴の関係者の名前にティッシュが必要になったのは内緒です。
読了日:03月10日 著者:辻村 深月


東京會舘とわたし 上 旧館 (文春文庫)東京會舘とわたし 上 旧館 (文春文庫)感想
東京會舘、敷居が高くて私は業界のパーティーで一度伺ったきりです。大正から昭和39年の東京オリンピック開催の年までがこの上巻で描かれます。3章から5章までは登場人物が連続する仕立てになっておりとても引きずり込まれました。泪が出て読みにくかったのは歳のせいだけではないと思います。グリルレストラン「ロッシニ」のウエブサイトのトップ画像はステーキの上にフォアグラの乗った【ロッシニ風】でした。メニューの「春のお祝いコース」のスープは「東京會舘伝統のコンソメスープ」だそうです。おいしそう!
読了日:03月09日 著者:辻村 深月


イダジョ!  医大女子イダジョ!  医大女子感想
軽いタッチで書いてありますが、頭の良いい学生ばかりでありながら、それでも覚えることが多く大変な医学部。とても具体的に学習内容が書かれており、のめり込んで読み終えました。最近では献体数も増加傾向にあるとかで、医学のためになりよりなことだと思います。恋愛パートがやや多めに感じられましたが、医学生も人間ですからねぇ。4年生のCBT、OSCEは臨床実習のために不可欠な国家試験ですから、それは大変です。どの医学部でも数人は進学できない方がおられるのは本当に残念です。4月に医学部に入る学生、全員いいお医者になってね。
読了日:03月07日 著者:史夏ゆみ


カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)カササギ殺人事件〈下〉 (創元推理文庫)感想
なんてこったい!上巻は作中作だったのね。確かに書いてあった「わたしとちがって、あなたはちゃんと警告を受けたことは忘れないように」。作中作の結論が上巻の最後で出たのかと思っていたのになかなか出てこずイライラしました。伝統的なミステリの世界。言葉遊びの数々(よくぞ日本語で表現しましたねぇ)。たっぷりとスマートフォンもコンピュータもないロンドン中心部の北側クラウチ・エンドから発信された世界を楽しみました。
読了日:03月06日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ


カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)カササギ殺人事件〈上〉 (創元推理文庫)感想
St Mary-le-Bow の鐘、これの聞こえる範囲で育ったと言う言い回し、クリスティを彷彿とさせますね。まだ上巻なのにもう犯人がわかったの? と思いながら上巻を読み終えました。おもしろい。
読了日:03月02日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ

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