YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

4月の読書メーター 読んだ本の数:8

2023年05月17日 | Weblog

桜の木にはすでに実がついています。



あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇 (ハルキ文庫 た 19-28)あきない世傳 金と銀(十三) 大海篇 (ハルキ文庫 た 19-28)感想
シリーズ最終巻ということで巻末に作者の感想が載っていた。モデルがいたのだ。その名は伊藤宇多。調べてみるとなるほど幸と重なるところがそこかしこにある。綿密な調査の上で構成されたこのシリーズ、常に危機がそこにありハラハラしどうしだった。今後特別巻が刊行されるということだが、それも楽しみなことだ。
読了日:04月30日 著者:高田 郁


シンメトリー (光文社文庫)シンメトリー (光文社文庫)感想
姫川玲子の7編を収めた短編集なのだが、掲載順が小説宝石での初出順とは異なっている。それは題名をよく見れば分かると解説の友清哲氏が言うのだ。なるほど・・・。よくもまあこんなところにまで神経を使うんものだと驚いた。7篇のどの物語でもスッキリした感が得られたのだが、特に最後の「手紙」では服役を終えた犯人との邂逅があり面白かったし、後味も良かった。次の姫川シリーズをいつ手にしようかと考えている。
読了日:04月22日 著者:誉田 哲也


キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶
実は、ピアノ音楽誌『ショパン』の編集者である高坂はる香氏のTwitterをフォローしている。いつも冷静な表現をされる作者が中村紘子についてまとめてくれた一冊。本書を読んでから、家に中村紘子のCDがずいぶんと増えた。お気に入りは桐朋の教授陣で演奏したベートーヴェンチャイコフスキーのピアノ三重奏である。
読了日:04月22日 著者:高坂 はる香

 

孤鷹の天 下 (徳間文庫)孤鷹の天 下 (徳間文庫)感想
論語といえば高校時代の学而「子曰、学而時習之、不亦説乎。有朋自遠方来、不亦楽乎。人不知而不慍、不亦君子乎」が思い出されるばかりだが、里仁に次の一節があり、これがこの本の題名になっているようだ。「子曰、徳不レ孤必有レ隣」。大学寮の存続を巡る本作品だが、ここに学ぶ者たちは必ずしも主人公ではない。政の行われようが主題なのだ。ここでは阿部上皇(女帝)がいかにも悪者に描かれているが、専制君主制の恐ろしさを描いているようだ。(今まさにロシアがそうであるように)。我々は民主主義に身をおいているはずなのだが、・・・。
読了日:04月20日 著者:澤田 瞳子


孤鷹の天 上 (徳間文庫)孤鷹の天 上 (徳間文庫)感想
仏教と儒教のどちらが政を行うのに相応いいのかという、そんな背景があったようだ。2017年に読んだ光明皇后を描いた葉室麟の「緋の天空」を思い出した。時代は下って、光明子の娘である孝謙上皇&道鏡VS藤原仲麻呂(押勝)が争った藤原仲麻呂の乱がこの上巻のクライマックスである。話は複雑に入り組んで、遣唐使の状況、官吏養成機関である大学寮などが話が出てくる。なかなかこの時代の様子の理解が進まぬまま、読み進めてしまった。下巻の展開が楽しみである。
読了日:04月19日 著者:澤田 瞳子


泣くな道真 大宰府の詩 (集英社文庫)泣くな道真 大宰府の詩 (集英社文庫)感想
先に「吼えろ道真」を読み、本書にたどり着いたのだが、道真に受けるの印象の異なることに驚いた。順番に読むべきだった。太宰府に流されてからの道真を描いた作品にはこの一連の澤田作品が初めてであった。題名がちょっとチャラいのだが、内容は深かった。中でも「寒早十首」では道真が目にした経済破綻した民草の様子を歌ったのだが、その内容すらまだ実態の上辺に過ぎなかったのだと悟るのである。左遷に怒り狂い、捨てられた老人に涙し、息子の死に慟哭する、そんな生身で身近な菅原道真に合わせていただいた。
読了日:04月12日 著者:澤田 瞳子


夜に星を放つ夜に星を放つ感想
誰にも覚えのある「失ったもの」。それは死によってもたらされたものだったり、両親の都合によってもたらされたりした喪失感である。まさにコロナ禍における対人関係の喪失を背景に生まれた作品かと感じる。喪失の中にあっても悲壮感がないように描かれた5篇の短編だが、特に「真珠星スピカ」には心を動かされた。中学生の娘視点で書かれているが、毎日の学校生活はかなり悲惨なのだが、それを感じさせない。「母のいない生活に少しずつ慣れていく。」の辺りがなぁ~。
読了日:04月07日 著者:窪 美澄


逆転のバラッド逆転のバラッド感想
さびれかけた町が舞台だが、金融と政治、医療に警察、報道を加えた壮大な詐欺を描いた作品だった。銭湯が、今どきの社会でどれだけコミュニケーションの核になっているかは疑問だが、そこに集うおじさんたちが活躍する。骨董店のあり方もちょっとなぁ、という感じだがそれがキーになるとは思いもよらなかった。地方紙と全国紙との新聞社の連携が出てくるが、その視点も面白かった。調べてみると銭湯のエネルギー源はほとんどがガスらしい。輸送も火力調整も容易だから。そして円安にふれた昨今、どこの銭湯も存続に苦労しているようだ。
読了日:04月06日 著者:宇佐美 まこと

読書メーター

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「機動警察パトレイバー」コ... | トップ | 5月の読書メーター  読んだ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事