YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

2020年2月の読書メーター

2020年03月05日 | Weblog


消えたヴァイオリン (SUPER!YA)消えたヴァイオリン (SUPER!YA)感想
音楽史で博士号を取得したスザンヌ・ダンラップ。パパ、ハイドンの時代背景を巧みに表し、クラシック音楽好きにはたまらないミステリーではないだろうか。まさかモーツァルトまで登場するとは。1779年の中央ヨーロッパ。アメリカ合衆国の独立はヨーロッパ支配層に大きな脅威となり、やがてフランス革命に至る前夜のオーストリア・ハンガリー帝国。そしてロマの人々。単なるヴァイオリン演奏家殺人事件で終わらない壮大なスケールでした。ヴィオラという楽器からスタートする辺り、先日放送されたNHK-FM【ヴィオラ三昧】を思い出した。
読了日:02月29日 著者:スザンヌ ダンラップ


お菓子の家 (創元推理文庫)お菓子の家 (創元推理文庫)感想
あま~い題名だが扱われている題材は極めて暗い。◯ショーベリー警視がとても素敵な家庭人でした。◯うまいことミスリードさせられていた。◯10月の火曜日、台所で死体を発見したが、自分は関係者ではなくこの手のことを気に病んでいられないと考えるイングリッド。その心を占める関心事は何なのか。◯子どもたちの社会とそのヒエラルキー。いじめた方は覚えていないが受けた方は忘れないのはどの国でも同じ。◯普通に父親を知らない大人たちが暮らしている国。不思議だ。
読了日:02月26日 著者:カーリン・イェルハルドセン


負けるな、届け! (双葉文庫)負けるな、届け! (双葉文庫)感想
いきなりメドックマラソンのウエブ申込みをクリックするところから話がスタートする。ある種の市民マラソン譚のようでもありますが、もっと深い女子お仕事譚でもある。たくさんいるランニング仲間でもメドックを走ったのは一人しかいません。アップダウンは激しいし、ワインを飲みながらで果たしてフィニッシュできるのかとかいろいろと興味は尽きない。恨み尽きない酷い会社の人事部長でも、走っている間は応援しちゃう?マラソンに興味があるなしに関わらず、仕事に行き詰まっているあなたに勧めたい一冊です。
読了日:02月25日 著者:こかじ さら


絹の家  シャーロック・ホームズ絹の家  シャーロック・ホームズ感想
私が初めて「緋色の研究」を読んだのは中学生の時でした。ジュブナイルでとても読みやすかった記憶があります。本書のページが進むに連れ、昔想像していたロンドンの風景がよみがえって来ました。ホロヴィッツ凄いなー!終盤のホームズ危うしでドキドキハラハラ。大いに楽しませていただきました。
読了日:02月24日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ


人喰い鬼のお愉しみ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)人喰い鬼のお愉しみ (白水Uブックス―海外小説の誘惑)感想
なぜこの本を手に取ったのか?作品全体を強烈なユーモアで被っているのだろうが、フランスに関する知識が少ない私には理解できない。バンジャマン・マルセローナの家族構成を理解できたのは終盤になってからだ。そして忌まわしい事件の背景にも知識が及ばない。そもそもサンタと人喰い鬼はどんな関係があったのだろうか。巻末の訳者あとがきがなければ、読後感想を書く気にならなかったに違いない。
読了日:02月22日 著者:ダニエル ペナック


MGC(エムジーシー) マラソンサバイバルMGC(エムジーシー) マラソンサバイバル感想
佐藤喬「エスケープ」は全日本選手権ロードレースの実際を小説化したものですが、本書はフィクション。現実のMGCは終わったし、東京オリンピックのマラソンは札幌開催になったしと、あまり期待せずに開いたのですがとんでもない!とても緊迫感があり大いに楽しめました。私のような遅い市民ランナーとはレベルの異なるプロのレース。ページをめくる手が止まりませんでした。
読了日:02月20日 著者:蓮見 恭子


メインテーマは殺人 (創元推理文庫)メインテーマは殺人 (創元推理文庫)感想
ホロヴィッツといえばウラディミールとなっちゃう私、初読みです。とても広い世界を見せられました。小説家界、演劇(とりわけシェイクスピア)界、映画界、法曹界を我が物顔で走り回るので追い回すのが大変楽しい時間でした。ご自分の作品もきちんと出しているので後で読まねばと思っています。只者ではない元警部の素性が最後に少しだけ明かされるのも好印象でした。さすが上位にランクされた作品です。
読了日:02月18日 著者:アンソニー・ホロヴィッツ


グランドシャトーグランドシャトー感想
グランドシャトーをyoutubeで検索するとたくさんヒットします。現実にCMソングもあったのですね。そんな背景を知らずに読んでいました。真珠さんがなぜトップの座をキープしていたのか納得はできませんが、そんなお姉さんがいてもいいなぁ。ルーさんがもっているものはすごすぎて言葉もありません。同じ時代を生きていた私にはできなかったことばかりです。そしてルーさんは真珠さんの生き方を踏襲するのでしょうか。そうそう、残り一個の真珠の行方も気になります。
読了日:02月17日 著者:高殿 円


ブルックリンの少女 (集英社文庫)ブルックリンの少女 (集英社文庫)感想
幼子を抱えるフランスの作家が、行方不明になった婚約者の真実を求めてさすらう。主人公の幼子を大人たちが見守るあたりは本当にフランスらしい情景で素敵でした。事件はあまりにも悲惨なのに、それが表面に出てこないようにしているそれぞれの都合。また元警部のマルクが法を犯してまで真実に辿り着こうとする理由も最後に分かって、この小説の大きな世界に感嘆しました。
読了日:02月15日 著者:ギヨーム・ミュッソ


潮待ちの宿潮待ちの宿感想
幕末の岡山県笠岡市にあった宿「真なべ屋」を舞台に、9歳の志鶴が35歳になるまでの日常や非日常が描かれる。淡々とした文体に歴史の流れが感じられる作品でした。地図で見ると笠岡という土地は現在では瀬戸大橋としまなみ海道の中間に位置し、交通の要衝からは遠ざかってしまっているわけですが、それでも人々の営みは続いているのだろうなと思わせる作品でした。
読了日:02月13日 著者:伊東 潤


佐伯泰英「吉原裏同心」読本 (光文社時代小説文庫)佐伯泰英「吉原裏同心」読本 (光文社時代小説文庫)感想
「落花狼藉」「吉原御免状」についで吉原に関する3冊め。この本は佐伯泰英「吉原裏同心」についての解説本ですが、画像がふんだんに掲載されており理解しやすい。時代の変遷とともに姿を変える吉原にも言及しており、私の大好きな天丼の店「土手の伊勢屋」の住所まで掲載されており、今どきの人の吉原散策にも便利な本になっていました。
読了日:02月12日 著者:


吉原御免状 (新潮文庫)吉原御免状 (新潮文庫)感想
朝井まかて「落花狼藉」を読み終えて、もう少し吉原物を読みたくなりこの本に至りました。どちらの本でも基本は吉原の自治権を守るための動きを捉えることになっていますが、大きな違いは本書が伝記小説であることです。とてつもないスーパーマンが宮本武蔵に育てられ、吉原にはサイコがいたり柳生の忍者たちが跋扈します。まるで石ノ森章太郎の漫画『サイボーグ009』の大人版のようでした。初出が週刊新潮らしく、期待される濡れ場も大げさに描いてありました。随所で語られるウンチクにもなかなか興味をそそられました。
読了日:02月11日 著者:隆 慶一郎


人を乞う人を乞う感想
天地人三部作の最後。若さと理想に対する老醜と反動保守の結果、やっぱり挫折する若人を描くことになってしまうのでしょうか。それに対して女性陣のなんとしたたかなことか。心のモヤモヤが解決せずに読み終えました。
読了日:02月10日 著者:あさのあつこ


イダジョ!研修医編 (ハルキ文庫 と)イダジョ!研修医編 (ハルキ文庫 と)感想
医師免許を取得し、奨学金を得て研修医として赴任してからレジデントとなるまでのお仕事本。もちろん、病院ではアレヤコレヤと嵐のような毎日が進んでゆくが、あっけらかんとした表現によりあまり切迫感は感じられませんでした。今日伺ったベッド数400超の病院では当直室が8つもあり、本書にあるような男女が同じ当直室で仮眠を取ることなど本当にあるのかと疑問に思っています。まぁある種の漫画だからといえばそれまでですが。夫婦別姓やシングルマザーなど世の流れも反映していて面白く読みえ終えました。
読了日:02月08日 著者:史夏ゆみ


イシイカナコが笑うならイシイカナコが笑うなら感想
2019年から2004年への時間旅行。「人生やり直し事業」の転換ポイント。多感な高校3年生の女生徒が飛び降り自殺し、赴任した母校で幽霊として現れる。という一見ホラーな設定だが、ストーリーとしては過去への時間旅行。31歳にして現在の進路を疑問視し戸惑う。70歳を超えた私から見ればまだまだそんなもんじゃないよ、と言いたいところだ。果たしてイシイカナコは自殺だったのか、菅野京平は両親と異なる職業を選び直すのか。まとめようとするとつまらなくなるが、額賀澪はなかなかのストーリテラーで一気に最後まで読んでしまった。
読了日:02月04日 著者:額賀 澪


タスキメシ 箱根タスキメシ 箱根感想
前作では「タスキメシ」たる栄養管理面があまり表に出ませんでしたが、こちらでは栄養面に関する記述が増えました。しかしスポーツ医学の観点からの研究はどんどん進んで、いまや練習直後30分以内にはサプリメントを摂取し筋肉の損傷修復を図るのが一般的です。シューズもカーボンプレート入りのナイキがかなりの割合を占めているのが話題になりました。科学によりスポーツがどこまで発展するのか楽しみです。それにしてもTOKYO2020のマラソン競技が東京でなくなるなんて、作者の想定を超えていましたね。

読了日:02月03日 著者:額賀 澪


落花狼藉落花狼藉感想
吉原を描いた作品で思い出されるのは「吉原裏同心」神守幹次郎ですが、みをつくし料理帖のあさひ太夫、仁の野風もいました(どれも映像化されました)。まかて氏の作品は史実に沿った歴史小説に分類される作品が多いのですが、この作品も傾城吉原の成り立ちに深く切り込んでいます。駿府の娼家の主であった庄司甚右衛門が葭原を開拓し始めたところから、新吉原での商人主体の営業が軌道に乗るまでの歴史が私にとって明らかになりました。主人公である花仍の描き方はもっと深めてほしい感は残りました。いつの時代も自治組織の運営は大変ですね。
読了日:02月01日 著者:朝井 まかて

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