Nasebanaru

アメリカで趣味と生活を綴る

旅の途中で Ver2

2006-12-07 05:42:38 | 旅行
グランドキャニオンで出会った人。

グランドキャニオンの景観が素晴らしかったことは前にも書いた。結局3泊だけの滞在だったが、ずっと居たくなるような、そんなところだった。そしてここでも何人か面白い人に出会った。

一人はドイツ人の青年。

彼とはたまたまキャンプサイトが隣同士だったことで知り合えた。彼との会話した内容を書くが、それはたまたま近くで同じようにテントを張っていた日本人が居て、彼が通訳してくれた内容だ。私が彼とさしで話していたわけではない。当時英語がまったく出来なかったのだ。

彼も当時の私と同じくらいの歳で、カリフォルニアからヒッチハイクでアメリカ横断に挑戦しているらしかった。私もにたような旅をしていたので向こうも興味を持ったらしく、いろいろと話が弾んだ。

私にとっては初めてのドイツ人との会話。

アメリカにはじめて降り立ったとき、白人と黒人しか見分けがつかなかった。というのは、白人はみんな同じ顔に見えてしまうし、黒人もまたしかりだった。だから白人の中にイギリス人やドイツ人にある特徴を持つ顔があってもみんな同じに見えていた。今でこそ、「この人はヨーロッパ系かな」とかわかるようになってきたが、当時は白人といえばみんなアメリカ人と考えていたので彼がドイツ人だと聞いて、なんだか世界中の人と出会い始めたような気がしたものだ。

似たような旅をしていたこともあって、持っている装備品も大体似たようなものを持っていた。ガソリンコンロ、気圧計、高度計、万能ナイフ、コッフェルなどなど。私はそれらに加えて味噌、米なども持っていた。

だがひとつ違っていたのは、彼の装備はどれも小型でコンパクトだったことだ。それにすべて良く磨きこまれている。私のガソリンコンロにいたっては、すすで真っ黒だった。ガスと違ってガソリンコンロの場合は、つまみをひねるだけでは火がつかない。まずガソリンを気化させなければならないのだ。そのためにコンロを火をつける前に温めるのだが、私はガソリンを少量使って直火にコンロを当てていた。使った後にきちんと掃除をしていなかったものだから、すすで真っ黒になってしまっていたのだ。彼のものはコンロもよく手入れされていて、われながら自分の不精加減を恥ずかしく思ったものだ。

夕食も終わり、集まっていた仲間もテントに帰り始めた。彼も自分の寝床に帰ったが、テントを張らない。それどころか寝袋に入って地面に横になろうとしている。あの土地の気候は、昼間は10月でも暑いくらいだが、夜は5度前後まで急激に気温が下がる。テントの中も似たり寄ったりだが、それでもないよりましだ。少し気になったので聞いてみた。

「テントは持っていないのか」

「持ち歩いていない」

「寒くなるが大丈夫か」

「俺はドイツ人だ」

彼はガッツポーズをしてそう言い放った。

カッコええやんけ。俺も負けてられへん。

そう思った。

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