とろたまなの珈琲飲中毒

これはカフェイン中毒で晩酌のようにコーヒーの欠かせない男の寂しい記録である

本『悪魔の手紙』C.S.ルイス 中村妙子訳

2006-09-01 | 趣味
ナルニア国物語で、有名なC.S.ルイス氏の本である。

ナルニア国物語を読んだことがある人達は、良くわかっていると思うのだが、ルイス氏は、キリスト教ガシガシ、プッシュのヒトである。
そのため、ナルニアは相当、説教くさい。
むしろ、これだけ、説教くさくて、名作になっているのだから、相当名作なのであることは、疑いの余地がないのであろう。

さて、それはともかく。

この悪魔の手紙だが、キリスト教的な考えを悪魔の側から見たら、いったいどうなるのだろうということを示すことで、その神秘的な表現になりがちが部分を現実主義的な考えで示す、というのが、大筋である。

基本スタイルは、一線を退き、人間を誘惑する組織の長として、前線にいる新人に、『やつら』二対抗し、『敵』の侵攻を防ぎつつ、『我々』の領土を広げる方法について、手紙よってやり取りするスタイルの、長側の手紙のみをまとめた、という体裁の文章であるが、

これが大変面白い。

ナルニア国より、面白い。

ぼくが宗教話が好きだ、ということもあるが、キリスト教を逆神学論として、理解する大変良い手助けになると思う。

愛だのナンだの、神父が語っているのはいまいち、納得がいかないのは、盲目的に『信じている』ためで、そういう人間が言うことは、おおむね、理論前提が信じているからであるので、ある意味信じていない人は、破綻しているので、理解しにくい。
それに対し、悪魔から、批判的にキリスト教を見つめている、というスタイルのため、どこが、『敵』の長所で、どこに『作戦』の穴があるか、そういう見つめ方である。

まさに、敵のうちにこそ、もっとも正確な情報がある(敵の評価が一番正しい)という格言通りであり、悪魔による『神』の評価こそ、もっとも正しいものになる。

まあ、ただ、ルイス氏は学者とはいえ、神学者であり、擁護側なため、絶対的にただしい評価かというと、そうではないと思う。

そういう気持ちも持ちつつ、なおかつ、面白く読めるよい読み物として、人々にオススメできる一冊といえる。

(写真なし)