少年トッパ

こうすりゃ良かった(かもしれない)『プロポーズ大作戦』。

 前にチラッと書いた通り、『プロポーズ大作戦』の最終回はいささか残念な出来だった。それまでの回で「制服の第2ボタンではなくユニフォームの第2ボタンを渡す」など秀逸なアイデアを見せてくれただけに、工夫のなさが際立って感じたのだ。
 それに、せっかくハッピーエンドにするなら、八方丸く収まるハッピーエンドにしてほしいのよ。あのままだと藤木直人演じる多田先生が気の毒じゃん。どうも僕は、誰かの犠牲の上に幸福が成り立つ、という結末が苦手みたい。しかも多田先生、すげー善人だし。

 しかし、ダメ出しするだけじゃ芸がないので、「こうすれば良かったんちゃう?」というアイデアを提示しておこう。披露宴での健のスピーチまでは、そのままで。まあ、ホント言うと、あのスピーチ自体も好きじゃないんだけどね。無粋な考え方だろうけど、ああいう場でああいうことを言っちゃダメでしょ。
 以前、知人の披露宴に出席した時、新婦の男友達が『結婚するって本当ですか』を歌った。会場は、もちろん静まり返りまくり。今風に言えば「ドンびき」状態だった。披露宴やるためにゃ相当の金が必要だし、わざわざ遠方から来てる親戚もいるわけでしょ? とりあえず、みんな祝ってあげようと思ってるわけでしょ? そういう場をぶち壊しにしちゃアカンて。切ない気持ちは分かるけど、未練があるなら一人でカラオケボックスに行って歌ってきやがれ。そう強く思ったもんです。

 閑話休題。健のスピーチ以降の展開を。

●健(山下智久)の告白に心を揺り動かされた礼(長澤まさみ)は、披露宴会場で悔恨の情に囚われる。
●その後すぐお色直しの時間になるが、その直前、手違いで再びスライドショーが始まり、スクリーンに過去の写真が映し出される。
●高校時代の写真になった時、礼はそれを食い入るように見つめる。多田(藤木直人)と出会ったの頃の写真だ。
●礼は周囲が妙に静かなことに気付く。見回すと誰も動いていない。時間が停止しているようだ。そこに妖精(三上博史)登場!
●驚く礼に、妖精はこれまでのいきさつを説明する。健が過去に戻って現在を修正しようとしたことも教える。
●妖精が「お前にもチャンスを与えようか?」と問う。しばし躊躇した末、礼は頷く。妖精は一回だけであることを条件に「ハレルヤチャンス」の機会を与える。
●礼は高校時代に戻る。多田が教育実習生として赴任し、生徒と打ち解けることができず悩んでいる頃だ。
●しかし、礼は戸惑う。自分が何をすべきか見当が付かないのだ。健には自分の想いを伝えようとするものの、どうも上手く言葉が出てこない。それに、過去を勝手に塗り替えることにも激しい抵抗を感じる。人間の運命を弄ぶことは道義上許されないのではないか、と悩むのだ(これは重要なポイント)。
●過去の現実(ってのもヘンな言い方だが)通り、多田と生徒たちの溝を埋めることには成功。そして、みんなで記念写真を撮ることになる。
●礼は焦る。シャッターが押された瞬間、礼は未来へと引き戻されるのだ。そこで礼は、少しでも時間を引き延ばそうと、みんなのポーズに注文を出したりする。
●ツル(濱田岳)が「おいおい、さっさと撮っちゃおうぜ」と急かすが、それでも礼は悪あがき。すると、ツルが叫ぶ。帰宅しようとするセクシー教育実習生、キャメロン(松本莉緒)を見つけたのだ。
●ツルがキャメロンを引っ張ってくる。「健、お前、一緒に写りたいだろ」と、強引に健と並ばせようとする。
●その時、礼が勇気を出して健の肩に抱き付き、宣言する。「ダメ、建三は私のもの」と。周囲がざわめく。対抗心を燃やしたキャメロン、「じゃあ、私はこっち」と、気まぐれで多田に抱き付く。
●多田、真っ赤になってキャメロンを見る。キャメロンも見つめ返す。同時にシャッター音が響き、礼の「ハレルヤチャンス」終了。
●現実に戻った礼は、疲れた表情でスクリーンを見た。ついさっきまでの様子が写真になっている。次の瞬間、自分のいる場所が、新婦の席じゃないことに気付き、思わず声を上げそうになる。
●「あの時、一瞬で恋に落ちたんだよなぁ、あの二人」とツルの声。礼が周りを見回すと、健、ミキオ(平岡祐太)、エリ(榮倉奈々)もいる。新郎新婦の席を見ると、そこにいるのは多田とキャメロン。二人とも、ものすごく幸せそうな笑みを浮かべている。
●ミキオが「恋愛はタイミングだからな」と一言。エリは「でも多田先生、一人前になるまで待っててくれって言ったんだよな。偉いよねぇ」と感心している。ツルは礼と健に「お前らも同じ頃から付き合ってんだから、そろそろ結婚しねえのか」と問う。
●礼、すぐ隣にいる健の目を見つめる。そっと手を握り、お互いの気持ちを確かめようとする。しかし、健は上の空。キャメロンのセクシーな衣装を瞬きもせず見つめていたのだ。それに気付き、礼はいきなり健にビンタ。
●健と礼、そのまま喧嘩を始める。その様子を周囲が呆れて見る。結局、健と礼の関係は未だに本気モードに突入していないのだった。ミキオは「何度も協力してやったのに」と呟く。妖精もバルコニーで「ヤレヤレ」という表情。ちゃんちゃん。

 しかし、よく考えると、礼が過去に戻って対面する健の中身は、実は未来の健なんだよね。なので、さっさと「私も未来から来たの」と言ってしまえばいいような気もするなぁ。しかし、その未来の健は、披露宴で礼に告白する前の健であるわけだから、健はまだ礼に自分の正直な想いが伝わっていないと思っているわけで……ああっ、ややこしい。
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