あるシネコンのサイトに載っている一文である。これを読んだ人は、どんな風に解釈するだろうか。おそらく、二通りあるだろう。
(A) 障害者本人は1000円。付き添いの者は2名まで1000円。
(B) 障害者本人と付き添いの者1名、合わせて2名まで1000円。
客としては(A)の方がトクだから、そちらで解釈したがるだろう。というか、そっちの意味に受け取る方が普通のような気がしないか? だが、実は(B)が正しいのである。いや、正しいというより、そのシネコンは(B)の方の意味合いで、上記の一文を載せたのだ。
もう1年以上前、家族3人で『あたしンち』を観に行った時のことだ。僕の息子は知的障害児なので、料金は1000円になる。どっちみち小学生は1000円なのだが、付き添いの者も1000円になるということなので、障害者手帳を見せた。で、「付き添い2名」と言ったのだが、窓口の女性は「付き添いは1名のみ1000円です」とのたまう。あらかじめサイトをチェックしていた僕は上記の一文について話したのだが、その女性はさっきと同じことを繰り返すのみ。ゴタゴタ言っていてもみっともないので、僕は普通の料金を払った。というより、実は僕もシネコン側が言いたいのは(B)の方ではないかと思っていたのだ。おそらく表現方法が下手なだけだろう、と感じていたのである。
僕は広告業界の隅っこの端の端の底辺近くで仕事をしており、いわゆるコピー(分かってると思うけど、「複写」という意味ではなく、広告用の文章ね)を書く機会は多い。その場合に注意するのが、こうした曖昧な表現をなくし、読み手が意味を正確に受け取ることができるよう工夫することだ。気の利いた表現なんぞを考えるより、そっちの方が遙かに大切なことだと僕は思っている。
そういう立場から言わせてもらうと、このシネコンが提示した一文は「失格」である。客に「付き添い2名まで無料じゃねえのか?」と言われたら「私どもの表現が曖昧でした」と頭を下げるべき筋合いのものだ。
窓口の女性には「サイトに載っている案内文、誤解を招きやすいから直した方がいいですよ」という風に言っておいた。しかし、それから1年以上が経った今も、上記の文章はそのままである。
では、どうすればいいのか。簡単である。「、計」を入れれば済むのだ。
<障害者手帳をご提示のお客様とお付き添いの方、計2名様までそれぞれ1000円でご覧いただけます。>
ほら、これなら誤って解釈されることはないよね。また誰かに苦情を言われる前に、さっさと直そうよ。
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