「この人非人！」

　まったく、北朝鮮にも困ったもんである。これから一体どうなるんだろう。

　それは置いといて（ホントは置いといちゃアカンけど）、久々に日本語に関する話題をアレコレ。

●ボストンバッグ

　日本語に関する話題と書きながら、いきなり外来語である。ははは。
　この「ボストンバッグ」という言葉、ある22歳の女性は知らなかった。もう今じゃ使わないのかな？
　ちなみに、いつも利用させてもらっているgooの辞書では「底が長方形で、中ほどのふくらんだ旅行用の手提げかばん」だって。なるほど。まあ、「旅行鞄」でいいか。

●イチローが3安打も……

　新聞の見出しでよく見かけるのが「イチローが3安打もチームは惨敗」というような表現だ。要するに「イチローが3安打したもののチームは惨敗」というのを略しているんだろうけど、どうも品のない略し方に思えて仕方ないなぁ。どうでしょ。

●5試合振りの27号ホームラン？

　これも「5試合振りのホームランで今季27号」ってのを省略したんだろうけど、明らかにヘン。まあ、アナウンサーが中継とかで咄嗟に言ってしまうのは分かるけどさ、活字にしちゃアカンて。「2年振りのサードアルバム」とかも同様。きちんと「2年振りのアルバムで、彼らにとっては3枚目」とか「通算3枚目となるニューアルバム」とか言ってあげようよ。

●バッタービハインド？

　やたらカタカナ言葉を使うことで安倍新総理はヒンシュクを買ったわけだが、マスメディア（これもカタカナ語だけど）も似たようなものである。野球中継を聞いていたら「風はバッタービハインド！」だって。なんのこっちゃ。「1点ビハインド」という言い方が当たり前になったからって、そんな風に使わんでも。
　念のために書いておくと「1点ビハインド＝1点差で負けている」「風はバッタービハインド＝風はバッターに向かって吹いている」という意味ね。
　かく言う僕も日常生活でカタカナ言葉を使ってしまうことが多い。映画の感想を話し合っていて「あまりにもカルカチュアライズされてるから、ああいうシチュエーションにしても笑えん。大体、スラップスティックってのは……」とか。反省します。

●危なげない？

　20代の若者（という言葉も死語になりつつあるらしいけど）3人に「危なげない」という言葉の意味を聞いたら、なんと全員が「危なっかしい」と同義であると思っていた。これにはさすがに驚いたなぁ。念のために書いておくと、もちろん正反対の意味である。
　たとえば「昨日の中日、危なげなく勝ったよねぇ。いつもああいいう風なら最高なのに」と言ったら、彼らは「へーっ、手に汗握る大接戦だったんだ。それが最高ってことは、アンタはハラハラドキドキするのが好きなの？　ひょっとしてマゾ？」と勘違いしてしまうわけである。嗚呼。

●献血？

　街を歩いていて「ただ今、献血を行っています。ご協力をお願いします」という声を聞くことがあるよね？　その度に僕はツッコミを入れたくて仕方なくなってしまう。キミらが行っているのは「採血」！　こっちが行うのが「献血」！
　ちなみに僕は20年ぐらい献血とはご無沙汰している。前に採血してもらった時、「血管が細すぎて人の倍ぐらい時間がかかる」と言われちゃったのだ。いや、人様の役に立ちたいという気持ちは持ってるんだけどね。嗚呼。

●人非人！

　「人非人」という言葉がある。簡単に言えば「人でなし」という意味だ。人間の恰好はしているけど、人間と呼ぶに値しないような悪行を働く――そういう輩を指す言葉である。
　恥ずかしながら、僕は45年間……いや、「人非人」という言葉を知ってからの30数年間、これを「じんぴじん」と読むのだと思い込んでいた。ところが、ちょっと前に辞書をめくっていてビックリ。「にんぴにん」だったのだ。
　幸か不幸か、この30数年の間、誰かに「この人非人！」と言い放つことはなかった。「この人非人！」と人様から吐き捨てられる機会もなかった。なので勘違いが露呈することはなかったのである。嗚呼、良かった。
　これからも人非人という言葉とは縁のない人生を送りたいものだと思うけど、どうだろ。ちょっと心配だったりして。