ミーコの写真でも見ながら、ちょっと考えてみてくださいませ。あ、正解とミーコとは何の関係もありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/42/332cbafeb819c53212aeb3676fd56a20.jpg)
……考えましたか? 正解は「名古屋弁みたいに聞こえる固有名詞」です。どれも英語の地名または人名なのに、口に出してみると名古屋弁のように聞こえてしまう、という言葉なのです。見事に当たった方は、とりあえず自分で自分の頭でも撫でておいてください。
では、ひとつずつ解説していきましょう。
●アラスカ
言うまでもなく、アメリカ合衆国の一部です。辞書には「アメリカ合衆国で最大の州。北アメリカ大陸の北西端部」と書かれていました。どえりゃあ(名古屋弁で「すごく」という意味)寒い土地です。いや、行ったことはありませんが。
この言葉、名古屋においては一般的に「あるはずない」というような意味で使われます。
<例文1>
「お前、好きな子できたんじゃないの?」
「そんなわけないじゃん!」
↓ ↓ ↓
「おみゃあ、好きな子できたんだにゃあ?」
「ほんなことあらすか!」
●ネブラスカ
これまたアメリカ合衆国の州の名前です。ブルース・スプリングスティーンのアルバムのタイトルとしても有名ですよね。
名古屋では「舐める」を「ねぶる」と言うことが多いので、必然的に「ネブラスカ」は「ねぶるはずない」という意味になります。なお、辞書によると「ねぶる」は中部以西なら通用するみたいです。
<例文2>
「お前さあ、親戚の家でアイスのフタの裏を舐めないようにな」
「そんなことしないって。舐めるはずないじゃん!」
↓ ↓ ↓
「おみゃあよぉ、親戚んとこでアイスのフタの裏をねぶりゃーすな」
「ほんなことせーへんて。ねぶらすか!」
●カート・ラッセル
アメリカ映画をお好きな方なら、おそらくカート・ラッセルの名前はご存じでしょう。代表作は『ニューヨーク1997』『遊星からの物体X』『バックドラフト』あたりでしょうか。日本では2006年公開となる『ドリーマー』ではダコタ・ファニングの父親役を演じるなど、まだまだ現役バリバリの人気俳優です。いや、バリバリなのかどうかは知りませんが、ともかくカート・ラッセルというのはアメリカ人俳優の名前です。
しかし、この名前を耳にした名古屋人は、一様に「何を?」と眉をひそめます。「~らっせる」というのは名古屋では「~いらっしゃる」という意味で、丁寧な言い回しではあります。ただ、表面的には丁寧なのですが、実は相手を揶揄する場合に使うことが多いのです。ちょっと小馬鹿にした感じで使う、と言った方が分かりやすいでしょうか。たとえば「外車に乗っとらっせる」を標準語に直すと「外車に乗っていらっしゃる」ですが、実は「外車に乗ってやがる」という意味合いで使われているのです。
もうお分かりでしょうか。「カート・ラッセル」という言葉を聞いた名古屋人は「変わっとらっせる」と聞き間違えることが多いのです。そして「オレを変人扱いするんだにゃあ!」と怒るのです。まあ、面と向かって「あんた、カート・ラッセル」と言われる人はカート・ラッセル本人だけでしょうから、大きなトラブルに至る心配はありませんが。
なお、小馬鹿にしない感じの「~いらっしゃる」は「~りゃーす」なのですが、こちらも発音によっては侮蔑するようなニュアンスになります。まあ、素人さんは使わない方が無難でしょう。
<例文3>
「あの人、すごく高そうな服を着てらっしゃるね。やっぱりお大尽は違うと思わない?」
「でも、ちょっと趣味がヘンじゃない? 変わっていらっしゃるわ」
↓ ↓ ↓
「あの人、どえりゃあ高そうな服着とりゃーすが。やっぱりおでゃあじんは違うと思わん?」
「ほんでも、ちょー趣味がヘンだにゃあ? 変わっとらっせるて」
ちなみに「ちょー」は「超」ではなく、「ちょっと」という意味です。「ちょっと来てみてください」は名古屋では「ちょー来てみてちょー」なのです。ほんじゃ、本日の名古屋弁講座はこれにておしみゃあ!