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種々

世界の片隅でキラへの愛をこっそりと囁くブログ

アスランのミーアの納得できない部分

2013-06-01 09:30:19 | SEED DESTINY




いつにもまして個人的な好き嫌いにフォーカスしたレビューでもなんでもない記事であることを事前に予告。


個人的な感じなんだけど、
アスラン復隊/ミーア絡み(セイバー搭乗)-アスラン脱走/ミーア絡み(セイバー破壊を経て)-アスラン再起/ラクス絡み(インジャス搭乗)

運命最大の仕掛け、偽の自己、真の自己。力が自分ではなく、想いこそが自分である。
ある意味キラが出した結論(力だけが僕のすべてじゃない)をアスランも別ルートでたどった軌跡
それを知る者。

そのメイン軸が、個人的に感銘を受けなかった理由は(ネットで見る限り、このあたりの話数(10話・36話・42話)はかなり人気高いけど
(特にアスラン(ザフト)が好きな人は。その辺りのアスラン好きな人は、AMAL好きな感じだし。(個人的には二大地雷だけど)

責任、という観点がきれいに抜け落ちているからだと私は思ってる・・・

マクロ的ミクロ的に、すべてのことに責任がとれてるキャラなんていないけれど。





このあたりの展開で、なぜアスランもミーアもラクスがどう思うか?という「想像」がまるごと欠けているのか。
特にアスラン。
個人的にラクスはわかってくれる、と思っていたとしても、
ラクスは先の戦争で、三隻同盟の事実上の盟主だったわけで、アスランもその旗の下で、ザフトと戦ったわけでしょう?と。
いくら現状は隠棲状態とはいえ、そのトップの偽物をほとんど無批判に受け入れるってありえないくない?と思うわけで。
それに現状、アスランは、オーブ元首の特使、という形で来てるわけで、その立場に対する無頓着さってなんなの?と。
この行動で、アスランはラクスとカガリの顔に泥を塗ったと思ってる。私は。
この時点で、アスランが、オーブやアークエンジェルに帰る、という道は途絶えたといわずとも、
大幅に狭まったとみるべきじゃないのと?
百歩ゆずって、この時点で市民をなだめるには必要って思っても、
今後のミーアの言行動を注視する視線、(先の戦争で、自身が反逆者として追われ、父を失ってまで訴えた内容が違ったら困るだろう普通に。それを見定める視線はあったのか?)
そしてなにより、本物のラクスが狙われたという時点で、ろくに心配もしない。
議長だと決まったわけじゃないだろ?という部分に固執して、狙われたこと自体、同胞に殺されかけたラクスの心情についてはまるで無配慮。
いまだに、ラクスはアスランの婚約者だったのに、キラはどう思ってるんだ?視点あるけど、
アスランはすでに(間接的とはいえ)ラクスを搾取した側だと思うよ。(ミーアが亡くなったあと、ラクスがこうだって、決めつけられるのは困るって、”アスランに”釘さしてるし)
アスラン常に、”偽のラクス”には、困惑顔、ないしは不機嫌な感じで、
アスランも肯定的には見てないですよ。否定的中立ですよ。この部分には否定的でも、理屈的に(相対的に)連合側より議長の方が正しく思えたから、ザフトに組したのですよ、的な都合のいい”落としどころ”で済むと製作者が思ってたのか?という・・・
しかもアスランは、キラやシンと違って、組織を背負うキャラって位置づけだよね?
この復隊、ラクスやカガリに対して”事後報告”じゃ絶対ダメなレベルだと思うよ
(アスラン的には、議長の”申し出”に対して、そんな一度地球に戻って相談してきます、なんて長期保留はかけられない、と思ったのかもしれないけれどさ。顔を立てなければならない相手を完全に間違えてる。カガリやラクスに対する身内意識に甘えてると思う)
それにセイバーでオーブに向かったのも、ミネルバと合流する為であって、カガリやラクスと話すためじゃないしね。
そして、偽物を立てるというやり方を容認したことで、評議会の信頼・威信に対してリスクのある方法を、
さして検討もせずに見過ごした。シーゲル・クラインの生き筋にも泥を塗ったと思うよ。この時点ではまだリスクの段階とはいえ。(うまい方向に回収できる可能性もあったのは事実だけど)

アスランとミーアの行動は、根は善良だけど、思慮が足りず虚栄心の強い子供が、再度、国が間違えるのに協力してしまった、
というどうしようもなさがある気がするんだけど、
(議長が評議会の支持をうけたわけでもない運命プランの為に、国家武力を私物化し、自分に都合のいい世論形成の為に、
地球やプラントへ行われる破壊を見過ごした事実。(ユニウスセブンについての関与(放置含む)については不明とはいえ、
Xナンバー情報漏えいや、デストロイやレクイエムの放置はほぼ明言してるかなと)
アスランとミーアは、いい子健気な子!悪いのは議長!なにもしなかったキラとラクス! みたいな演出がかえってさ・・・興ざめ感がある。
本編はまだしも、補完媒体(小説や特にジエッジ)は特にね。
その辺りの”責任”への言及は、本家脚本が逃げた部分だと思うけれど、
そのあたりの媒体は、その逃げをさらに補強したイメージ。高山版も含めて、
キラやラクスより、公式投票的に、アスラン、シン、ミーアの支持が弱いのが彼らの”被害者のしての側面”が伝わっていないからと思ってそうな気配感じるけど、個人的には逆だと思ってる


あと、男女間描写のグダグダさ。
今回、アスランにミーアが抱きついてタジタジになってるわけど・・・あれを微笑ましいと思うつもりは一切ないよ。
ミーアは、アスランは、ラクス様にはやさしくてラブラブなんだろうな~って思ってるわけで・・・
その大好きな人の婚約者に抱きついてアピールしてどうすんの?って思う。ラクスが傷つくという視点はないの?
アスランもアスランで、もしこの光景を見たらカガリがどう思うの?とか少しは思わないの?と。
それに、ラクスにしてもすでに別の男性を選んで人生を共にしだしてるのに、
自分と同じ姿、同じ名前の人間が、かつての婚約者とべたべたしてるの見てどう思うの?とか、
その類の想像が二人にまるごと欠けてるのがね・・・なんだか。
普通に二人とも、人の痛みがわからない人、になってる。それを人間臭いなんて言い換えしないでほしい。
アスラン的には、俺は肯定したわけじゃないし、歓迎してるわけじゃない、困っていた、と思っているんだろうけど、
所詮は内心のみ根拠ののエクスキューズだよね?その辺りの認識も甘い。自己完結したうえでで、”わかってくれない他者”に責任転嫁してる。
これは偽ラクス容認に対しても同一の問題。
アスラン、女性の立場や面子や心情を守るために戦ったり、泥をかぶったりしない人だなーと思えてしまう・・
(カガリこそユウナを振り切れていなかったじゃないかという視点はあるだろうけれど、
じゃあ、それならこれはカガリへの復讐なのか?というう視点はでてこないか?と)
ミーアとの絡みで→アスランはやっぱりラクスがよかったんじゃない? メイリンとの絡みで→アスランはやっぱり家庭的な落ち着いた女の子がいいよね? という感じは、実際のキャラの心情とは違ったところでその視線はでてくると思うし、
これはカガリ立場ないわ。
カガリとうまくいくパターンは、「”カガリが”脱走兵としてまたコーディネイターとして、オーブで孤立しがちなアスランの心身を、アスランを十分立てつつケアし、なおかつ、閣僚すべてを説き伏せて、地球の主流論調の逆風の中でも、オーブの地球の近隣国との関係を保ち、オーブの国土と国民生活を守れたら」あり得る。という超高ハードル。


これはないだろ・・・と思えてしまう・・・



DESTINYリマスター9話「驕れる牙」

2013-05-26 00:23:58 | SEED DESTINY


開戦+アスラン復隊まで五秒前回(そうか?)

わりと、今後の展開の伏線的な台詞も多かった。
戦争になればお金も動くし明確な敵がいれば、とか。
あと、アズラエルに比べてカリスマがなく猫のおまけ扱いされがちのジブリールが、
箱庭思想を言っていたけれど、このあたりの管理システムについては、
デュランダルの運命プランと根っこは一緒かなと。
見えない真実回で議長がいう戦争=お金になる視点と、
運命プランの伏線的なことはこの辺りでもうやってたんだなーと。
ただ議長が仮にも遺伝子という、現状望みうる限りで最も”客観的”な物差しを用意していたのに対して、
ジブリールになにかあったかというと不明・・・
主観的な美意識とか、既得権とか、そういったものにすぎなかっただろうけどね・・・

プラントの議員が今開戦になれば、地球だって(ブレイクザワールドで偉い惨状になってるしね)ただではすまない、的なことっているけれど、
わりと、核でいっきにケリをつけるなんだったと思う。
地球の状況では長期戦に耐えられないことはわかっていただろうし・・・
ここでケリをつけられなければ、内部から崩れていくことは必然だった気がするというか・・・
これもぎちょーの策略なんだろうかと・・・

このあたりですでに、全体のノリが被害者プラントと加害者連合に残っている感じが・・・
サトーあたりは、我らコーディネイターにとって正しき道、とか言っていたけれど、
すでにあれは一部の者ってことで、完全に関係ないモード・・・
当然罪に連座しろ、なんていう気はないけれど・・・
プラント側の、加害は一部のもの、地球の被害は一部!!
ってのがなんだか引っかかるんだよないまいち・・・
無印時点から、あれだけ同胞意識とかが強調されてて、かつそれに逆らうキラが、友達を守りたい、という真っ当な感情を個人感情に矮小化されてきたのがあるから余計にそう思うんだろうなと。
これ以上ないくらいひどい目に合わされた地球の人達もそうなんだけど、
コーディネイター(家族だけど)のためという感情でもあった人間に対して、
あれは一部の人間のやったこと、という寄りそう気なしってのが・・・
罪を犯した人間が切り捨てられるのは当然とはいえ、
他の、ナチュラルへの恨みを募らせている”同胞”にいかに向き合うか、という視点も
全然でてくる様子がないのが違和感あるかもなーとも。

運命の主題が、コーディ側の意識改革だと思ってたから、
今思えば、このあたりの話数ですでに、正しいプラント対間違った連合という図式を提示してたんだな、という感触も・・・


キラ、ラクス、カガリが、台詞なしで考えこんでいる様子が写されていた反面、
(キラとラクスは、テレビでニュースを見ながらとベッドで横になりながらと、カガリは深夜の執務室で一人)
対してアスランは、まず行動。正直、印象レベルの話では、キラ達に比べて、考えるより行動派だなぁ・・・
すごい正直な今回の印象を言うと、アスランって責任感が強く常に世界の為に働きたいってよりは、
習性的に動いてないと死んじゃうタイプなんじゃなかろーかと。

先のプラントの様子と合わせて、アスラン・ザラってキャラは当時、
被害者としてのユニウスセブンと加害者としてのユニウシセブンを繋げる立ち位置(母が被害者であり父が加害者として双方の当事者であるという意味で)
で、対プラント市民に対する語りかけの参加の仕方をするんじゃないかと思っていたけれど・・・
全然そんなことはなかった・・・今思えば無理な期待してたよなーーーと。
個人的に、キラに対する期待はハードルが低かったから(※ただそこにいてくれるだけでいい。んでその期待を軽々超えたわけですよ)
アスランに対してより辛くなったんだと思うなー・・・個人的に

さてアスラン。アスランはプラントの為に生きたい人、プラントを愛してる人っていう感触が一般的だけど、
多分そんなことはないと思う。
少なくとも運命になってから、アスランがプラントの為、同胞のためって口にしたことはないしね。
彼が口にしてるのは「その方がいいと思った。自分の為にもオーブの為にも」「守りたかった。カガリ、キラも」
これは一貫した本心だと思うな。
アスランが人生の大半を過ごしたのは月だし、(だから自分のベースにキラが絡んでいるんだと思う。アスランがどうしてもキラを切れないのは(物理的ではなくて諦めるという意味合いで。それもあるんだと思うな・・・自分のルーツ的な。キラの場合はそれを断ち切られちゃったんだけど(出生で))
先の戦争で、あれだけ仲間だとかプラントを守るために戦っていると言っていたのは、
それだけプラントを愛していたのではなくて、
プラントを自己正当化と復讐の道具にしてた気配を感じるんだよね・・・
母を殺された怒りや、キラがこちらにこない怒り、アスランが自分自身の中で感情的な決着をつけなきゃいけない部分を
プラントやザフトという大義にすり替えていた。
ラクスがアスランを切った理由はわりとこのあたりもある気がしてる。
ラクスは、プラントいう国が影も形もなかった頃から、その黎明期を間接的に支え続けてきた人間だろうから、
プラントというのもまた一種のフィクションであることを誰よりもわかっているけれど、
アスラン達にとっては、プラントというのはもっと絶対的なものであり、
それを掲げることが強靭な正義を体現することを疑っていなかったと思う。
シーゲル達の創立メンバーが、地球を追われたコーディネイターの安息の地を作るために人生をかけたのは事実なんだろうけれど、
プラントを、いわば個々のコーディネイターの復讐代行機関にするつもりはクライン派にはなくて、
だからこそ先の戦争で現政権に弓引いたんじゃないかと。
ラクスはアスランに無印地点でほんとに怒っていたんじゃないかなというのも(気遣っていたのも事実なんだけど)
ラクスほど聡明で慈悲深い女性にしては、仮にも国中で婚約者と認知されていた相手(アスラン自身、ラクスへの愛情とはちがうところである程度自意識にもなってただろうし)
振り方が一方的だしね・・・そのあたり、アスラク好きの人はホワイトシンフォニーとか深読みするんだろうけれど、
シンプルに見るなら、ラクスがアスランに憤りを感じていたのが一番素直かなと。
プラントの為というのを、キラを殺した大義にするだろうアスランに対して、プラントとキラ双方を想うラクスにとって許しがたいものがあったのではないだろうかな、というのが印象。敵対以降の一貫したアスランのキラへの不寛容な言動も、自分はプラントを背負っているという自負があったからだろうし(そしてできればそれを超えて欲しいと思っていた気がする)

・・・なんだか脱線したけれど、アスランの運命の問題は、
目的と手段の分離させたことだと思う。
カガリやオーブの力になりたい→だけどオーブでは何もできない→プラントでは何かできる。
目的はオーブ(カガリ)、手段はプラント、と言う分離を起こした。
プラントの為という心地もあるだろうけれどね。

ただ、気になるのはやはり、アスランのしたかったことは、この段階で「何か」したいなんだよね。
カガリやオーブのためもそうだし、キラのため、プラントの為、かつての仲間の為、全部ひっくるめて、「何か」したい。
「何かって何だよ?」
というのがまあ問題で、おそらくほんとにこの段階では「何か」でしかなかったんだろうね。
ラクスが後に、なんであれ、望む心が貴方ですわ、と言っているけれど
ラクス側の価値観というのは、この何をしたいか、なにを望むのかというのが全てのベースになってる。
それは、生まれてきちゃいけなかったのかな、というキラや、
父も母もないというレイ、自分の名前を公に名乗れなかったアスランや、
実父母を知らないカガリのそれぞれの事情、
そしてナチュラルとコーディネイターという対立
諸々をすべて超えたひとつのベースになりえるものというところで、価値観的にはストーリー中一貫してるかなと。
現状アスランは、アレックス・ディノとか、パトリックの息子という自己イメージに苛まれているんだけど、
そういう対外的なものではなく、自分が望むことはなにか、というのを見つけるのがストーリーラインかな。
わりと消去法でもいいんだと思う。
キラがフリーダムに乗った時に、「君たちのことすら守れずに、そんなことになるほうがずっと辛い」
シンの「嫌だっただけですよ。ステラだって被害者なのに」
アスランの「戦う人形になんてなれない」
キラはだいぶカガリとラクスのため、で決めてきてるけれど、
アスランとシンは作内ではまだかなとも思う。


ただ、自家発電だけじゃまかない切れないのも事実なんだよね。
望みとか自己肯定観とか。
アスランが、カガリやキラ達との間で関係を作り切れなかった理由のひとつは、
カガリ達が、アスランになにも望まなかったからというのが大きそう。
キラは、最初、アークエンジェルを守って戦うことを強要されて、
中盤にも、フレイにあいつらやっつけて、といって送り出されていた。
そして、今ここにいる意味において、ラクスの「貴方にここにいて欲しい」という願いを受けている。

アスランの場合、そういうのはない。
おそらくザフトに入ったときも、誰の命令でもないし、
以降のキラやラクスやカガリとの関係で、アスランの望む通りに、という態度を貫いている。
アスランを大切に思っていることを伝える場面がないわけじゃないけれど、(キラだったら、大切な友達に~とか)
アスランに要求とか、お願いとか、わがままでいいから、なにか望んでいたら、
アスランはもっと自分の立場を信じられていたんだろうけれど、
周囲があまりにアスランを尊重してしまった。
(そしてキラもラクスもカガリもアスランが最優先ではないのも事実)
両澤さんが、アスランはカガリに甘えて欲しかったけど甘えてくれなかったからああなった的なこと言っていたみたいだけれども、
そういう意味かなと。
カガリもアスランの胸で泣いたりしてたけれど、なにか要求したかっていえばそうでもないし。
フレイやステラみたいに「私を守って」と言うメッセージを伝えたり、
8話の時に、アスランに言われるがまま、プラントに行く手筈整えずに、
今大変なんだ、お前に傍にいて欲しんだと泣きついていれば、多分アスランオーブに残った気がするんだよね。
男の子なんだから、女の子にねだられたんですよきっと(多分)
アスランだって傷ついていたのにカガリはそれをわかってあげれてましたか?と監督がツイッターで言ったいたけれど、
それは一部であっても全部じゃなくて、
むしろ、アスランの傷とか立場とか無視して、もっと頼ってほしかったんじゃないかなと。
ラクスの労りの手を拒絶したように、アスランにとって欲しいのは、理解よりも(理解は欲しがっているけれど、多分それは議長とかの目上の人であって、キラやラクスやカガリにではない気がするんですよ)
ストレートな要求だった気がして・・・
(ラクスの場合、アスランを労る気持ちはあっても、キラに対してみたいな、ずっとこうしていられたらいいとか、貴方にここにいて欲しいという思いはなかった気がする。嘘は言えないタイプだろうし)

ただ、アスランが、そういう女の子の要求をしないカガリが、好きなのも事実で。
(監督が、男前の子だからアスランも惚れるのにと言ってるし)
アスランの問題は、自分がなにがほしいのかを整理しないと共に
相手になにを望んでいるのかを整理しないから、けっか矛盾した要求を周囲にだしてしまってる部分あるかなと)


それで肝なのは、キラやラクスやカガリがくれなかった言葉を、
今回あっさりミーアが言ったわけですよ。
「あなたを待ってた」「会えてうれしい」
議長の台本なのか、ミーアの素の言葉なのかはわからないけれど、
アスラン自身すら自覚していなかった欲しかったもの、をすとんとくれちゃぅたわけですよ。
だから、アスランが混乱状態なのは、ラクスの姿もそうだけど、その言葉にもあると思う。
その言葉を言ってほしい人が言ってくれなかった。
ラクスの姿だったことは、半分は意味があって、半分は意味がない。
単純に知っている姿だったから拒否できなかったというのと、
幽霊でも見たような、ありえない事態に反応できなかった、というアスランの混乱には、
ラクスの姿である必要がある部分。
抱き返していたのが気になるけれど、あまり深い意味はないかなと。
婚約者時代の心情にとっさに戻って、かつて好意をよせていた女性を抱きしめていたなら頬をそめるなり表情が違った気がするし、
ラクス・クライン、だと認識していたら、むしろすぐに突き放した気がする。アスランは多分、ラクスがキラを裏切ることを許さないだろうし。アスラン自身の女性観もあって。

意味のない部分については、ただ、その言葉は、誰のものであれ、アスランの欲しかったものであったという事実。
次回のイザークも同じニュアンスのことを言うので、
このあたりが、アスランの復帰の背中を押したんだと思う。
必要とされるという欲求。

しかし、アスランもイザークもミーアも「何か」なんだよね。
(特にアスランとミーア)

このあたり、キラやカガリ、AA組の方が自分の守るべきものをわかってる感じがする。


以下は個人的になぜ戦後アスランはプラントにいて欲しくないかの個人的感触



個人的にはアスランはプラントに絶対に絶対に戻って欲しくない頼むからそれだけはやめて欲しいと思っているけれど、
それはアスカガかアスメイかという話でもなくて(個人的にはアスカガ派だけど)
実は脱走でもなくて
なんでかっていうと、このミーア容認が大きい。


あくまで個人的な感触

まずひとつは、これによってアスランはプラント市民を愚民扱いした印象がある。
ラクスに宥めて貰わないと暴動起こして収拾つかなくなるという視線自体がひっかかえる(実際は思慮が浅くて目の前でうまくいってるかんじのものに駄目だしするのが野暮に思えただけなんだけど、
国家が嘘をつく、国益を押し出し個人をすり替えるという真似の長期的な信頼に対するリスクを考えもしなかったというのは、
責任軽くない。
そして、もうひとつ。
これはミーア共々だけど、ミーアにラクスを騙らせることも、核情報を持ち逃げした脱走兵のアスランを前と同条件で復隊させることも、いずれも議長の越権行為。
逸脱して行動を起こす国のトップの目的は何か、議長の逸脱による”特別扱い”を受けたアスランとミーアは、逸脱を知るがゆえにそれを見定める責任がだれよりもあったはず。
だけどふたりは、与えられたものに執着するあまり、それを怠った。
議長の運命プランには、理論的には検討余地が十分以上にあるとはいえ、
議長がそれを実現するため、(それはけして議会の承認を受けたプラントの総意ではなかった)
いろいろな疑惑が全て白だとしても(ブレイクザワールドの関与等)
議長がそれをプラント防衛より優先したのはほぼ確実かと(すくなくともレクイエムやデストロイを知ってて放置したのは本編映像やインタから確実)
議長に思惑がなく、プラントの利益を最優先にしていたならば、すくなくともレクイエムによるプラントの被害はふせげた可能性が高い。
特に、アスランは先の戦争で、個人的感情の暴走から破滅をもたらしかけたトップと、
道義(地球に住むものならば一致団結してプラントを撃つべきを拒んだ)を守りしかしそれにより国民に齎された被害を、
国民自身に糾弾されたトップそうほうの姿を見てきたはずで、
その経験をフィードバックさせることもなく、
「イレギュラーな(一貫してザフト兵の立場にいたシン達には責任は薄いと思う)状態」で「背任者(国を自身の夢に利用した)を支持した責任」でもって、
もうプラントの為と口にしてほしくない。
一市民としてくらすならともかく、公人には絶対になって欲しくない。というのが、個人的心境・・・


DESTINYリマスター8話「ジャンクション」

2013-05-20 23:25:24 | SEED DESTINY
前回記事は偏っていたなーーorz (じゃあ書き直せよ)



○ナチュラルとコーディネイター


フレイとカガリの果たしていた役割が似てるんじゃないかなと思った話。
わりと無印リマスタの頃から、フレイとカガリって対比的かもなーと思ってたんだけど・・・

フレイは「ナチュラルとコーディネイターは違う。コーディネイターは間違った存在(遺伝子操作することはいけないこと)」
カガリは基本的には、ナチュラルだからコーディネイターだからという括り方はしない。
(やはりそういう考え方なのか?お前達ザフトは?、というのは差別意識の表れではなくて、
他国の軍に対する忌避感だと思う。基本的に戦争が対岸の火事であるオーブの国民にって、外の戦争ってどちらが悪いかではなくて、両方とも自分達に火種を齎すかもしれないという意味で忌避感あるだろうし・・・)

ある意味では、ちゃんと自己検討したり、色々勉強して身に付けたわけじゃない、デフォルトの意識だとおもう。
2人とも、父親の影響が大きいんだろうけれど。
自分の”感覚”に対して、”無邪気”な状態。


そして、この”無邪気”で、必ずしも自分をコントロールしきれない、2人の”お嬢様”が、
齎したもの。
アークエンジェルとミネルヴァの人員達の感覚をひっかきまわしたことかなと。
カガリとフレイに比べれば、種族の違いに敏感だし、自覚的でもある。むやみに相手を嫌悪したりしているわけでもない。
頭で考えるレベルで、差別感情はよくないということはわかっている。

そして、艦に異分子的に、一人だけ、種族の違う者が乗っている。
アークエンジェルには、キラ。ミネルヴァには、カガリ。

フレイの言動は、周囲の人間の、やっぱりコーディネイターって違うよね(カズイもその役割果たした部分あるだろうけれど)
という感覚を齎して、結果、キラとヘリオポリス組との距離を作る前振りになった。
ミリアリアにしてもトールにしても、キラを庇いきることができなかったんだし。

カガリの言動は、アスランとミネルバクルーへの共感を齎した。
アスランにとっては、この時の、ミネルヴァクルー(=同胞)との、状況認識や感情の共鳴が、
オーブよりプラントこそが自分の居場所、という感覚を齎した部分はある気がする。


「ナチュラル」と「コーディネイター」という違い。
それが対比として存在する世界では、
あらゆる事象が、ナチュラルとコーディネイターというくくりに分類される。

ブレイクザワールドのような、圧倒的な災厄ですら、
実際の被害状況とか、背景とか、実行者とか、そういった具体的な枠を超えて、
コーディネイターの加害、ナチュラルの被害ということになるし、
ヨウランの暴言のように、コーディネイターにとってはナチュラルがいなくなれば”案外楽”になるという認識になる。(冗談とはいえ)
カガリは、その「ナチュラル」と「コーディネイター」というくくりを実感していなかったからこそ、
その言葉に籠もる”実感”を認識できなかった。
ただの理解不能な暴言に見えず、その言葉に籠もる、ナチュラルさえいなければ、自分達の世界はどれほど変わるか、
天敵のいない世界という楽園のイマージュ。
カガリの言うことは正しい、現実的に「相手側を皆殺しにする(アズラエルやパトリックがやろうとした道)」ことが倫理的にできない以上、
「変わるしかない」(そういう枠組み意識を超えるしかない)


「あれだけの戦争をして、あれだけの想いをして、やっとデュランダル議長の施政の下で変わったんじゃないのか!?」


キラとラクスが、「嵐がくるのですわね」「うん、わかっている」という会話を交わしたように、
とりあえず、破片は全て落ちた、その後に”始まるもの”
しかし、「これから始まる」本当に、噴き上がる、のは、人々の感情。
ナチュラル対コーディネイターというくくり。


「せっかく花が咲いたのに、波をかぶったからまた枯れちゃうね」


ジャンクションで別れ、慰霊碑に落し込む”仕掛け”としては、キラがシンの言葉を覚えたいて
(相手の言葉をオウム返しにすることで、相手に言葉を聞いているというメッセージを伝える)な部分あるんだろうけれど、

「せっかく花が咲いたのに、波をかぶったからまた枯れちゃうね」
「誤魔化せないってことかも。いくら花が咲いても、人はまた吹き飛ばす」
「いくら吹き飛ばされても、僕達は、また花を植えるよ。きっと」

この花とはなにかというと、
双方の「相互理解への意思(欲求)」と「自らが変わろうとする意思」かなと思った。

カガリの言葉(変わったんじゃないのか)
シンとアスランの認識(これがどういうことかわかっているのか。俺達コーディネイターだ)
キラとラクスの言葉(嵐がくるのですわね。うん、わかっている)


自覚していたのは、キラとラクス。
自覚は中途半端ながら、オーブというナチュラル・コーディネイターの共存のひとつの可能性(理想郷ではないにせよ)を秘めた国の元首たるカガリ。
コーディネイターという共感に改めて囚われたアスラン(コーディネイターが以前の被害者「側」から加害者「側」に転換し、問題が変わったという状況もありで)




○アスランとカガリ


二転三転してる指環シーン。監督ツイッタ見るに、監督自身の中にも、このシーンに対して、
どういう絵がにすれば一番しっくりくるかが定まり切ってないイメージ・・・なんだけど、
これで決定稿になるんだろうか??

無印のアスランとラクスのシーンに絵が似てたんだけど、あまり対比させる意味もないしなーと思う。
無印48のアスランとカガリのキスシーンが、12話のキラとフレイのキスシーンに似てるとも言われていたけれど・・・
ただ状況(お別れの挨拶的なキスと、無重力空間かつ、片方が半ば一方的にキスしたらにた状況になるってだけだと思うけれど)

正直、このアスランの指環渡しについては、個人的に今まで「居場所への保険」みたいな部分あったんじゃないかと(おい)
思ってたんだけど、
比較画像とか見て考えてるうちに、ちょっと変わった。
そこまで考えてないわ、アスラン。

あの指環は、シンプルに「自己主張」だと思った。
プロポーズでもなければ、約束でもない。
アピール。「面白くない」「お前は俺の恋人だろ」「頑張れよ」くらいかな?
あの面白くないから、が照れ隠しとかじゃなくて、マジ、なのはよいのだろうか?とう気もするんだけど・・・

アスラン・ザラという男は、実のところ「あまり物事を考えないタイプ」と思うと、
なんだか行動原理がわからんっ、って思ってもなんだかわかる気がする。

人の良さと、狭量な虚栄心、使命感と、保護欲と。混在しつつ。

キラとカガリに対する態度はわりと一緒で、
キラに対しても、敵対やニコルのことを割り切れない反面、やっぱりキラが目の前で弱ってると(無印終盤から運命序盤)、ちょっとおろおろしつつ、
俺が守ってやらなくちゃ!!俺が頑張るからお前は休んでろよ!!モードに全力でギアが入るけど、
考えて、キラがどうして敵対することになったのか、キラがどんな気持ちで戦ってきたかを考えてないから、
消化できてなくて、再度敵対したりすると、お前は一体何なんだ!?モードになると。
お人好しでもあるし、思慮が浅くもあり・・・
意外とその時その時の感情で動く人なんだわ、ようは。
カガリについても同じで、やっぱユウナなんかに好きにさせとくなよ(イライラ)と思って、
指環なんか渡しちゃったりして、
(リマスターでは、指環渡す時はどっちかっていうと険しい顔してるけど、その後で頬染めてる)
だけど、カガリが笑ってくれたり嬉しそうにしてくれれば、気分が上昇して、
カガリがキス待ちで眼閉じれば赤くなるし、キスしたあとは照れて頬染めたりすると。


ここ数話で思ったことは、カガリはオーブのことしか考えてないし、アスランは自分のことしか考えてない・・・っていうと語弊があるけれど、カガリにとってのアスランとか、周囲の人間(キラとか)にとってのアスランとか、あるいはプラント市民にとってのアスランとか、議長にとってのアスランとか、自分とはなにかとか、自分がすべきことはなにか?的な部分に気を取られすぎかなと。
もちっと、相手の状況(カガリが置かれている現実的な困難とか)を寄りそって考えられてもよかった気もするんだよね・・
指環を置いていったところで、セイラン親子がオーブの№2であり、接近であるのは事実だし、
それをあしらいつつ、カガリの主張とユウナのアプローチをかわし続けることは事実上不可能だと思うよ・・・

それに、アスランのもうひとつの問題は、「なにもしてやれてない」という負い目から、
カガリのここが問題だと思っても、それを指摘しないところかなーと。
1話からこっち、おそらく、アスランが頭抱えたくなったり、これはまずいなと思った場面はいくつもあるけれど、
それをカガリに伝えたかっていうと、伝えない。
「いい加減にしろ、カガリ」と、暴走しかけたカガリを止めた部分やシンに同調する形で「許してもらえるかな」とカガリから離れる場面あれど、面と向かって話をすることもなく、
部屋で視線合わせて抱きしめたり、今回指環を贈ったりと、カガリからしてみれば、ずっと肯定されていた感じの方が強くなるだろうと・・・
実はアスランが不満を抱えていたと察しろというのも、ちょっとこれでは難しいかなと思う。

前回のカガリのタリアへの言動や、今回、ザフト側の写真が出回っていることことを受けて即座に「なぜこんなものが」「どこから?」と、対コーディネイター憎しを煽る意図を見抜いたり、
あるいは「痛みを分かち合うって、それは報復を叫ぶ人達と一緒になってプランを憎むってことじゃないはずだ」
というあたり、基本が身についてないわけでも、センスがないわけでもないと思うので、
もちっとアスランがカガリを信じられていたらなーとは思うな・・・
保志さんがもうすこしカガリを支えて欲しかったとインタの質問に応えてた気がするけれど・・・

個人的にカガリはけっこ名言メーカー



もちっと書きたいことあったけど後日・・・

ドラマCDがじつは結構不安・・・なのでそれも(被害妄想気味の愚痴だけど)












DESTINYリマスター「世界が終わる時」「混迷の大地」

2013-05-14 00:42:56 | SEED DESTINY
サブタイトルが最近さっぱりでてきませんorz記憶力が壊滅的・・・


※カガリ贔屓の記事ですので注意(最近真面目にカガリに肯定的)

7話を見てから24話を見ると多分わりと味わい深い・・・


記憶力が壊滅的なので、わりと大雑把に。

キラ
「世界の終わる時」のキラについては、個人的にも心情を把握しかねている部分だけど・・・
個人的には、「それでも、守りたい世界があるんだ!」の部分を受けたシーンかなと思っています。

「違う。人はそんなものじゃない」「それでも」「守りたい世界があるんだ」

「知れば誰でも望むだろう。君のようでありたいと。君のようになりたいと」「故に許されない君という存在は」

自己否定と自戒。
ある意味クルーゼの言うことを「事実」と認めた上での、あがき。
「それでも」「諦めちゃったら駄目でしょう」

この人の愚かさの極地。自分とは違う世界を滅ぼそうとする人間。それでもそれに抗うものがいる。
もしかしたら、キラは本当に、「アスラン」と言っていたかもしれない。
対クルーゼ戦の時に、人の希望を叫んだ時に、画面に映ったのは、アスランとカガリだから。

キラにとっての世界の希望は、アスランとカガリなのかもな~と。
ラクスとはもちっと同じステージにいるイメージもあるかも・・・。


アスランとカガリとシン


アスラン可哀想、という感想は巷に溢れているでしょうからうちではやりません。


「あの人が可哀想だよ」

というのは、さすがにお前がなにを知ってるんだ、という感じがして違和感。
ただの八つ当たりに思える。
確かにカガリの言うことは、太平楽な楽観論かもしれないけれど、
その観点でいくしかないのも事実。
「あれは一部のもの」「お前達が必死に止めようとしたのを地球の人達もきっとわかってくれる」
ある意味カガリは、ナチュラル側の目撃者であり、宣伝者になってくれる相手だろう。と。
なにをお気楽な、と思ったとしても、そこを攻撃してどうする、と。

シンが殺された家族を引き合いにだしている分には正直、心情的にはしょうがないとはいえ、
今回の件には、さすがに、他国の元首の個人的な人間関係に対してあそこまで言うのは正直どうかと。
あれで処罰されないなら、ザフトもプラントも軍として国として機能してないよあれ。やりすぎ。
両澤さんの言葉なんじゃないの?あれ。

アスランもアスランでは、やりきれないなら、やりきれないなりに、
カガリに対して、具体的にその言い方は不愉快とか、アスランの中で、カガリのなにが足りないかを整理して伝えるべきだったんじゃないかなと。それはアスランとカガリの関係性のためだけでなく、カガリ自身の成長のためにも。
アスラン、カガリに不快を感じたとして、それと伝えないから、カガリとしてはいつの間にか嫌われていたということになるし、
相手とのコミュニケーションをとらずにおいて、陣営変えてから、「わかってくれなかった」って言ってもさ・・・
シンに代弁してもらってどうする?という感じと、
自分の恋人かつ、身を寄せている組織のトップが、他国の軍人に馬鹿呼ばわりされている状況を(内心シンに共感するところがあったとしても)庇わないってのは正直どうなんだろと思ってしまう。
アスランも傷ついていたというならば、重責を担うカガリの傍にいるべきじゃなかった。
16歳の女の子に、元首と傷ついた恋人のケアと、双方こなせって無理ゲーもいいとこだし・・・
そもそも、傷ついたアスランを労ろうとしたラクスが拒否られたことが破局のきっかけになってる分、
正直、カガリがアスランを慰めてれば上手くいったか?というのも疑問なんだよね。
結局アスランは、母を殺されたとか、父の名前が汚名になったという点で、
キラやラクスやカガリに八つ当たりしてきた面はどっかであると思う。
アスラン側対して、極めて面積の少ないアプローチ的な正解があったとしても、
それを探さなきゃいけない義務は、周囲にはないしさ。
相手なりの言葉を「それは自分の欲しいものじゃない!!」と言い続けて、相手がなんども反省してやり直してくれるよりは、
距離を取られる可能性の方が高いだろうと。
アスランにカガリがなにを言えたか、果たして正解があったんだろうか。とおもうわけで。

本当は、キラやラクスやカガリになんとかできる部分じゃなかったし、(母を殺された痛みとか、父の汚名とか)
なによりも、彼らには彼らで背負っているものも望みもあるし・・
それが結局アスランとの敵対に繋がったかなと。
アスラン、”身近な人”を、あっさり、ジャッジする側、条件をつける側に回っちゃう部分はあるかな、と思う。


シンの「貴方みたいな人はなぜオーブなんかに」
というのは、シンの心情かな。
シンは、自分の基準で認められる人を求めていた気がする。
アスランは、血のバレンタイン以降、プラントとかコーディネイターというくくりをいわば信じてきたのに対して、
シンは「信じられる人がいない国、人がいない」状態なんだな。と。
友達は振り切ってきちゃったし(オーブの友人はナチュラルが多かったんじゃなかろうかと。それも切り捨ててきちゃっただろうし)
そういう意味では、シンの本当に欲しかったものって、信じられるなにか、だった気もね・・・
ある意味、一番最初にシンに切りこんだのはアスランだったのは確かだろうと。
これは、前戦の英雄とか、パイロットとしての腕とかではなくて、
必死に破壊を止めようとした人間性そのものに対して。
最終的には、ルナマリアとレイという、アカデミー時代から共にすごしてきた仲間、が答えになった気もするんだけど。


「あの人が可哀想だよ」

アスランとシンの似ている所は、わりと自分にとって近しい、共感できる、ある意味では自分にとって都合のいい人間=仲間、いい人、という部分があるかな、と。
ある意味では、そうである人間への委託なんだよね。仲間であるということの。

共感は、相手へのある意味での(半ば一方的な)責任感もある。
シンの場合は「可哀想」というくくりが強い気がする。ステラもね・・・
だから「守ろう」というする。今回の、アスランを庇おうとしたこともそうだし、のちのステラもそう。
それは自身が守られたい、という気持ちの裏返しの部分もあるんだろうけれど。
アスランもシンも、仲間、を求めていた部分がある気も・・・

アスランが、死者に拘るのは、失った人間への共感が強いのではなかろうかと・・・
生きて対立した人間よりも、死者としてけして自分を脅かさない人間の方への共感がどうしても高くなる。
別の言い方をすれば心情的に距離をおけなくなったり、客観視ができなくなる。
例えば、ニコルに対して、ニコルがキラを殺そうとして返り討ちにあったとか、ニコルに殺された人間がいるという事実は薄れがち。


キラがトールやフレイを、守れなかった後悔はあれど、殺した人間への怒りを引きずっていないのは、
戦場に残ったのは彼ら自身の意思だということもわかっている部分あるのではないだろうかと・・・

そのあたり、自分の敵でも味方でも、心情的に共感できる人間でもできない人間でも、
それぞれの選択は等価であり、その人自身の価値もすべて等価だ、という基本的な考え方の土台がある気がする・・・


自分の好ましさ=相手の価値=相手にどう振舞うか、ということを決めてしまってそうかな、と・・・



あと個人的な好み。

このアスランとシンとカガリの”諍い”は、カガリの至らぬ所、を浮き彫りにする効果以上に、
アスランとシンのハードルを少なからずあげたと思うんだよね。
”俺達コーディネイターだ””許してもらえるかな、俺達は”

無印時代に、被害者としてのユニウスセブンを振りかざした彼らが、
今度は加害者としてのユニウスセブンを背負うという、
そんな重い者を背負うのか!?という感慨をもった人がいた気がするんだよね、
いや、私がそうだった、というだけなんだけど。


正直、最近ようやく気付いた。べつに加害者としてのコーディネイター、なんて描く気は製作側にはなかったんだと。
あくまで、”一部のコーディネイターの行動のせいで理不尽な報復を受ける正しくてけなげで可哀想なコーディネイター、
可哀想なアスランって文脈だったんだなーという、”今度は虐殺の加害者になったコーディネイターの同胞意識が描かれる”とちょっと期待しすぎたなーという感じが正直・・・

作品的なトリックとしてすでに

「一部の者達」という言い方で、はやくも切り離しにかかっている点。
無印の時の、Nジャマーに対してAAクルーの会話「核で報復されていたらいまごろ地球ないぜ」みたいに、
「パルテノンが吹き飛んでしまったよ」「あんな古臭い建物なくなったところでどうということもありません」
みたいに、
”被害者側”であるところの側に、コーディネイター側の行動を矮小化させてる部分あるかな、と・・・
本編時代が、コーディネイター側を”善玉”に書こうとする意図が露骨気がするんだけど・・・

DESTINYリマスター「星屑の戦場」「癒えぬ傷痕」

2013-04-27 11:51:47 | SEED DESTINY
現状、アスランのザフト復帰への道筋を書いてるなという感じ。
4話とか特にね。

わりと1,2話段階から、アスランのプラントへの共鳴みあいなのを仕込んできて、
ここでいっきに振れたかな。

最大のきっかけは、もちろんユニウスセブン落下の危機、なんだけど、
カガリの失言(「やはりそういう考え方なのか?お前達ザフトは?」
が大きかった気がする。
現状、カガリへの愛情は、アスランの立ち位置への唯一のモチベーションなんだけど、
そのカガリに感じた僅かな違和感や失望感ってのは大きかったのではないかと・・・
じゃあ、これでカガリに冷めたかっていうとそんなことはないと思うんだけどね。
カガリへの愛情も執着も、運命終了後もけっこあると思う。

最近エース買ってないけれど、福田監督と池田さんの対談書き起こしてるのたまたま見て、
デュランダルのキャラに対して、先の戦争で一緒に戦った仲間ともう一度敵対するに対して、
この人になら籠絡されても仕方ない、思わせるキャラが必要だった、という話がでてて、成程と。
(ところで、ツイッターで監督が、キラとラクスはけして懐柔できないとみなして 初めから抹殺を図った
といってらしたので、単純にデュランダルがそれだけの人物ってよりは、
懐柔される人間、になんらかの弱み・・・というか、甘さがあるのも事実だとは思うけど)

4話は正直、露骨なくらい。
アスランの優秀さ、それが生かされていないこと、アスランの本来の居場所はザフトだという雰囲気の強調。
それが、5話の、アスラン・ザラ、出る。で視聴者側に対して、安堵と高揚を齎す演出になっている気もするな。


ただ、厳しいことをいうならば、アスランが「この介入は俺自身の意思だ」「貴方方と同じだと思っています」「君は俺が守る」と、彼自身の意思で選択したのも事実。
その延長線上にある”今が”思ったよりも充足したものじゃなかったとは言え、
それをアスラン可哀想、演出で進めるのは正直どうかと。
先のアスランのこのあたりのシーンが薄っぺらくなった印象は否めないのではないかと・・・
アスランはオーブという国に対して責任がある。オーブの戦闘に参加し、ムウに、「軍を抜ける重さ」を再確認され、以後も、国家元首の近くに曖昧な身分といえいたのだから。

アスランがカガリを慰めていたわけだけど、カガリという元首の立場にいる人間に対して、
状況や周囲の人間が厳しくするなら、自分は優しくする、というポジションを選んだなら、それを貫くべきだと思う。


一度誰かをトップをして掲げたならば、それを真っ当する責任はある。
すくなくとも対外的には、立て続けるべき。
カガリが元首なんだかというならば、そこには不可侵的な尊厳を認めなければいけない。
元首としての失策、間違いには当然なんらかの責任が発生し、権力を監視するのも市民の義務だけど、
個々人が個人的裁量で、公然と罵ったり、責任を押し付けていいもんじゃないんじゃないかと。
自分が悪いんじゃない、誰誰が(敵とかトップ)悪いんだは、逆に結局甘えてるだけ。
甘えてる人間は結果利用されるわけで、自分の都合・感情を物差しにした結果、アスランにせよシンにせよ、議長に利用されくことにはなったんじゃないかなと・・・
カガリは元首なんだから元首なんだからとうならば、それを掲げた人間には掲げた人間の責任があるわけで・・・


アスランのもっとも根本的な問題は、考えすぎるとか真面目すぎるという表層的なものの他に、
自分自身がどういう人間か、という物差し、が自分自身の中にまだ形成されたないのではないかと。
アスランの甘さ、というのは「ザフトに入る(=人を殺す)」「軍を脱走する」という選択を、
人に褒めてもらえる、という感覚がどこかでベースに残っていて、
その辺り、覚悟どうこうってよりは、状況的になにが正しいか、の優等生的なところある気がする。平たくいえば空気。
人を殺すというのが最たるものだけど、例えば、コーディネイターという技術もそうだけど、それを測る倫理の物差しがアスランの中にはいまいちない。
コーディネイターがそれなりに多数で優勢だから、自分自身の存在にも疑問を抱かず、
時勢に乗ってやっていること(間違っている相手を叩く、撃つ)ことに対して疑問も乏しい。
あいつはコーディネイターだという感覚から、キラの守ろうとするものを、キラの目の前で殺してしまえるし、
パトリックの言っていることがおかしい、からと脱走の罪自体の絶対値、を軽く見てた。
そして、以降アスランの口から出る「その後の混乱はどうみたって連合が悪い。それはやめさせなくちゃならないんだ」
という、自分が相手を撃つ理由を外部に依存してることが多い。

今回、アスランの最後の名乗りに、ほっとした、という感想をいだかせる意図ってか・・居心地悪そうにアレックス・ディノを名乗っていたアスランが、
はっきりと、アスラン・ザラと名乗ったことを、ひとつの前進、と見る演出になっているように見せかけて、
ラクスに前作で相対化させられた、「ザフトのアスラン・ザラ」というものが、
アスラン自身と視聴者双方に、アスランの居場所、本来のアスラン。という風に感じさせて、
さらにそれを否定する、という仕掛けはあると思う。(その仕掛けが視聴者によりストレスを与えた気がするけど)
ザフトのアスラン・ザラではなく、なにを望むか。
「お前が欲しかったのは、本当にそんな力か?世界か?」「思い出せ、シン。お前は本当はなにが欲しかったんだ!?」
(43話回想みるに、多分キラとカガリ(まぁ、幸せだった過去とか、自分の居場所だと思えた瞬間とかもちっと象徴的なんだろうけれど))
正直巷で言われているけど、アスランがプラント愛してるかっていうとそんなことないと思うんだよね・・・
人格形成期の大半を月で過ごしているのもあるし・・・。


シンとカガリ。この2人が似た者同士として描かれているというのはわりと当時から言われていたとおもうけど、
その印象確かに強いなぁ。
シンとカガリは、現状ではお互いの傷をぶつけっている印象。
4話見るに、カガリもまるきりアスランを気にしてないわけじゃないし、
「早期の解決を~」とそれなりの対応もできるわけで・・・
4話のカガリ、部屋で寝てるようにみせて、目開けてたりするんで、アスランが悩んでいる横で、
寝たふりしてる感じもするんだよね・・・

シンも通常的には仲間と上手くつきあっている以上、
別に常に怒りに凝り固まっているわけではない。

ただ、なにかきっかけ、があると暴走してしまってるという感じは強そうだなあ、と。

今回のぶつかり合い、
ヨウランの言ってることは正直ひどすぎるし、で、カガリが看過できない、というのも必ずしも間違っているとは思わない。
ただ、3話の時もそうだったけれど、自分自身の言葉のコントロールができてなくて、
どんどん軌道を外れてしまっていったというのは、やはりまだ未熟にすぎるし、
一人の人間の暴言を、ザフトは、とひとくくりにしてしまうのは、正直論外。

ザフト側の認識(どこか対岸の火事間隔が抜けきれない)に違和感あるのは事実だけど、
新米だからってだけなのかと。
「なんの罪もない人が死ぬ」ことに対して、
それがナチュラル相手だからといって、正直なんでこんなに鈍感なの?とは思う。
無人島で、アスランの言ってたことも(なんの罪のない人達が、一瞬のうちに死んだんだぞ、子供まで)
ナチュラル側だって一緒のはずなんだけど・・・・
正直コーディネイターは、なんの罪もない人が殺される、ことに対してもうすこしアレルギーがあると思ってた。

当然、現段階では、それがまさか人の手に依るものは思ってなかったってのも大幅にみなきゃいけないんだけど。


メイリンがユニウスセブンの遺体に言及していたり、アスランと話してるシーンあるのも、
わりと以後のアスランとメイリンの繋がりの前振りだったりもするのだろうかと・・・


わりと、カガリとシンは、こういった状態になった時に、お互いの傷をぶつけあってるイメージ。
内容的には、どうしてもシンの方に分があるんだけどね。
ただ、カガリも、お父様への信頼、に今の立場の根拠を由来していたから、
わりとこのあたりで、土台部分は一度ガタガタになったんだと思う。

アスランもさ、自分の出生に疑問を持つカガリをキラから少し待ってやれよと引きずり離し、
彼女なりに、キラを守る、私は戦うと決意したカガリを、君は俺がまもるって言ったんだからさ・・・
そりゃ、期待しちゃうよ、カガリは。信じるよ、アスランを。

カガリはアスランをわかっていなかった以上に、アスランもカガリをわかっていなかったと思うよ。期待と不満が先行してる。
カガリに厳しい作画になってるけどさ。
正直、シンやカガリの方が、現状の作劇、アスランより潔いと感じる・・・

DESTINYリマスタ2・3話「戦いをよぶもの」「予兆の砲火」

2013-04-14 23:00:50 | SEED DESTINY
2話は新キャラ紹介回な感じだったかなーと。

状況に合わせて、
とにかく怒りと不可解の感情を持っているシン、
冷静だけど冷たいわけではないレイ、
姉御肌なルナマリア、
サポート系メイリン、
なにか事情のありそうなステラ(トラウマ?)
一見冷たいけれど、乱暴だけど状況見ているしステラを守っているもいるアウル、
リーダー格スティング、

+アスランとカガリの現状かな・・・
これはよくも悪くも変わってない、
カガリは為政者としてはそれほど変わっていない、成長していないともとれるし、
アスランはやはり同胞(ザフト兵)の意識が抜けきっていない。
結果、カガリを怪我させるということになったり・・・と。
コンデションレッドにルナと同じ反応したりと、ザフトのアスラン・ザラが顔を見せだしているということを強調しつつ、
アレックスという仮面も、カガリの失言であっさりばれると。
(ただ、アスランが「つい」でカガリに怪我させる展開はどうかと・・・体張ったギャグは自分の体張ろうぜと突っ込みたくなるレベルなわけだが)

と三話に。
はやりここは、カガリとシンのファーストインプレッションかなぁ。

ちょっと整理してみるに、やはりシンとカガリは似てるんだな、と。
というのも、二人とも心の動きとしては一緒、シンクロしてると言っていい。

というのは、
カガリはデュランダルに「反発」を感じた。
そのきっかけは、「嬉しそうだな、議長は」

個人的な感触だけど、これはかなり本質的な指摘じゃないかな、と。
特に種においては、戦争の根幹に「テクノロジー」がある。

「コーディネイター」「核」「最高のコーディネイター」「クローン」「デスティニープラン」

技術と倫理観の対立。フレイの「病気でもないのに遺伝子をいじるのはやっぱり間違った存在」

なぜそれをするのか、それはレイが言ってる「おそらく、ただできるという理由だけで」

大学のときの一般教養の確か生物学の講師(だか教授だか忘れたが)が言ってたんだよね、同じことを、「できるからやる」それだけだと。

「こんなもの見つけちゃったから、希望って言うか、可能性がでてきちゃったわけだし」
「人はまだもっと先まで行けるって、さ」
「この戦争の一番の根っこだ」

どこで終わらせる、というのは戦争だけの話ではなく技術的なものもあったかもしれない。
おそらく、あの段階で、キラもバルトフェルドも、「外の世界(宇宙)」についてはともかく、
人、については、コーディネイターが”究極”だと思っていたはず。
だけど、もっと”先”があった、まさにキラの体、最高のコーディネイター。


「技術者に言わせると」(インパルス)

嬉しそうだな、議長は。

「できるからやる」「できないことができるようになりたい」「理論上でできることを実際にもやってみたい」

種の戦争は、為政者の選択と同時に、そういった技術者サイドからでてきたものもある。

先の戦争、為政者の感情的暴走パトリック、技術の暴走の犠牲者のクルーゼの結託、
アズラエルの、経営者としての利益と、コーディネイターという技術に対する憎悪と反発の結託、
その結託がらせん状にもつれ合い、先の戦争の、危く人類滅亡という危機を招きかけた。

技術を簡単に否定するわけにはいかない。
「それってナチュラルの・・・皆の夢だったんじゃないかな」
「なんでそんなものがあるんだろうね」

キラも無印中盤では、技術に対して肯定的だった。だけど自分の出生の秘要を知ってから、
迷うようになった。

技術の暴走、それを防ぐのは、技術者自身の「良心」「自省心」「自戒」「自覚」「恐れ」でしかありえない。

技術者の”無邪気さ”にカガリが違和感を覚えるのは当然、
ただ、カガリ自身もその苛立ちの”核”がどこにあるのかわからず、
本来正式に立ち入るべきではない、他国の軍人の前で、なぜそんなものが必要なのだという、
拙い理想論をぶちまけるという為政者としてあまりに”無邪気”な姿をさらした。

もうひとつの問題。技術に対して、人の組織のトップ自身の「良心」「自省心」「自戒」「自覚」「恐れ」もまた同等以上の問題がある。
TOPをわきまえず、物言いもなっていない。
それが、今度はシンの勘に触って、今度は、為政者として、アスハという人の上に立つ者としてカガリが糾弾の矢面にたったと。


カガリ(ナチュラル)→コーディネイター(テクノロジー)
シン(テクノロジー)→アスハ(為政者)

両者の指摘。インパルスに乗ってるのシンだしね。

テクロノジーと為政者の双方の”無邪気さ”への批判。

ここでのカガリの「乱暴な物言い」「他国のトップへの暴言」双方とも問題ではあるが、
カガリも、オーブに復帰後はビジョンでそれなりな言葉使いしていたし、
シンも、議長に対してかしこまっている様子はあるので、
これは二人の常識が欠けている、わけではなくて、多分わざとやっている。


客人状態のカガリ、他国の軍人のシン、本来ならば、とても口答えできる相手ではない。
ただ、勘に触った、この感情をぶちまけるには、
激してみせるしかなかった、自分はいま度を失くしていますと、
演技とか計算というわけではないけれど、
言わずにはいられない、という感情のままにふるまったと。

シンが見抜いたカガリの未熟さ、
カガリが見抜いたデュランダルの矛盾、

それは双方とも的を得ている。ただ、それを具体的な問題まで煮詰めるだけの根気や冷静さまでは持てなかったし、
立場に対する振る舞いとしてもあまりに幼い。

シンとカガリ、二人の優秀(っーか勘の良さ)さと未熟さ双方がでてる場面かなぁと。
そして、ある意味とても似ている。


疑似リセット

2013-04-07 00:49:54 | SEED DESTINY
なんとなく運命のアスランについて思うところを(ここの管理人はアスランに厳し(ry


キラとラクス、カガリとアスランで、裏舞台で休んでいた人間、表舞台で頑張っていた人間として対比されることはままあり、
とりあえず個人的には自分が選んだということならば等価だと思っているので優劣はつける気はないけれど
(できないことをできないということも責任だと思うので、この対比を受け入れたとしてもアスランとカガリを持ちあげる気はないけれど)

カガリとアスランの違いというか。

前の記事にも書いたけれど(わりと最近の思いつきだけど)
カガリは、神輿状態、そして本人的には無意識にウズミ・ナラ・アスハの擬態をやろうとしていた気配を感じるんだけど
(なのでその状態でアスランと”恋愛”ができるわけがないとは思う)
なので運命のカガリの奔流というのは、カガリ・ユラ・アスハとして立つという部分かなぁと。
二度の乱入は、カガリがカガリとして決意し、自分の言葉でオーブの兵に意志を話し、
彼女自身の仲間を得る。
そのあたりは、キラに厳しいこと言われつつ(23話冒頭)決意
→オーブに撃たれる、アスランにも怒られる。反面、ラクスに「まず決める。そしてやり通す」キラと「だから君はいかなくちゃ」背中を押されて、再度演説。この行動で、自分自身の言葉でオーブの兵と信託を非公式、ごく一部ながら得る。
キラが落されたりアスランが重傷負いながら戻ってきたりと迷いつつ、
「オーブと一緒にこの身が焼かれた方がまし」というところで、オーブ=自分の確信を得て、
暁(キラの時の想いだけでも力だけでも、と結論的にはほぼ一緒)というところでカガリ物語はとりあえず決着という経過かなーと思うけれど。



アスラン側がどういう心情でいたといえば、これはリセット願望だと思う。
アスランがわりと決意はちょくちょくしているわりに結果をだせないのは(←)
アスランは、決意というのを、何かを得るために、そしてなにかを取り戻すためにしていて、
それは逆にいえば、選んだことによる、選ばなかったものへの諦め、というものを弁えていなかったから
色々中途半端になったんじゃないかなぁと。

アスランの最初の決意というものがザフトに入ること。
本人の供述的に「あんな思いはもう二度としなくないから」(血のバレンタインのモニター見ながら)
ただ、このザフトで戦うという行為は、キラとラクスへの敵対を齎した。
ザフトの任務に従った結果、キラの日常を破壊し、キラとキラの友人を害さなければならない立場になり、
ついで、ザフトのアスラン・ザラという立場、婚約者という立場に安心して、目の前の人間に向き合いつつ、自らを客観視し省みることを怠った結果、
ラクスに失望され、婚約者を失うことになった。
アスラン的には、プラントを守るために、という決意の中に、具体的に守るべき人間として想い浮かべる筆頭が、
キラとラクスだったはずで、このあたりはアスランとしてはなんでこんなことにの一言だが、
自分の選択が、キラやラクスの選択とぶつかれば、敵対や離別もありえるんだけど、
アスランは自分の決意が他方にとっては害になるというビジョンをなかなか持ちえなかった。
キラというこの上なく具体的に自らのザフトという暴力としての加害性を見通せる鏡を提示されたのに、
自分達ザフトは正しいという盲信を捨てられず、
キラやラクスを説得(説教)によって取り込もうとして、失敗した。

ただ、そのザフトへの信頼は、父への不信により崩れることになる。
逆にいえば、個人として組織やカテゴリに依存することを批判することではなく、
組織自体の間違い(=トップの父の間違い)に問題を集約させてしまったことで、
ラクスの、個人としての責任という観点をいまいち理解できないまま、アスランは無印を終えてしまったと思う。
アスランのとっては、ザフト離脱後は、対パトリック・ザラで、
生来的な所属への盲信への批判意識は深まらずに終わってしまった。

ザフトへの不信として土台が揺るぎかけている所で、キラの危機に、決意をする。
アスラン的にはここでキラを取り戻し(ただ、キラへのわだかまりは消えてないし、とりあえずキラを殺したショックとキラが生きていた感激から後回しにしていた、敵対された憤りやニコルを殺された痛みはわりと温存されてたと思う)
オーブ戦で決意した時は、キラを取り戻し、そしておそらく自分が決断をしさえすればラクスを取り戻せるという心地もあったような気がする。アスラン的に、婚約者というくくりは社会通念的に軽いものではなかったはずだし。
ただ、合流したのち、ラクスのことはもうとっくに手遅れだと(42話で)
キラとも合流できたけれど、「かつてのような関係には戻れない」ことを三隻同盟から無印後の2年間の期間に思い知らされたんだなと。
キラやラクス側から見ても、キラとてザフトの作戦に巻き込まれる形で戦争に巻き込まれて、
守りたい人が、友達があの艦にいる、という必死の言葉をまともに取り合ってもらえず、
まるでキラへの懲罰のように、キラの眼前で意図的にキラの友人(だろう人)を殺してのけたわけで
ラクスとしても、労りは拒絶され、目の前にいる自分の顔をまともに見もせずその実、婚約者という自分の立場を疑ってなかったわけで、
キラやラクスだけが変わってしまってアスランの想いを裏切ったわけではないけれど。

決意しても報われなかった(=取り戻せなかった)という経験を無印でアスランはしてきた。
その中で、唯一戦争の中で光を思えた出会い、カガリと出会えてよかった。
それは真意だったけれど、だけど、自分を理解し気遣ってくれてると思ってたカガリも、
元首という立場になれば、アスランを省みる余裕はなくなる。

アスランとカガリは、お互いが失ったものの代わりを相手に求めてしまっていた部分あったんだと思う。
アスラン的には、パトリックのことで傷つき、父の死にも共に立ち会ったカガリは自分の傷をわかってくれていると
逆にカガリは、ウズミを失い、そして自分がウズミの実子でないらしいというショックを受けた自分をわかってくれると。
お互い思いこんでいたんだな、と。
カガリはアスランが自分を見ていてくれると思っていた、アスランを見ていなくて、アスランは自分を見てくれないカガリに不満を溜め、カガリはアスランを見ていなかったからこそ、カガリはアスランの不満に気付かずにすんでいた。

キラの決意は、元々義務と脅迫、そして「守るためとはいえもう銃を撃ってしまった僕だから」「僕達はまだ死ねない」と
決意に自己懲罰意識がセットかつ、何かを得るというよりは、落し前的な方向性の決意だったから、
アスランのような不満は感じなかったというのはあるし、
カガリとラクスというのは、役割を果たすというのがほぼ入れ替わりで、
戦時中は役割がほぼなかったカガリと、父やキラの命を代償にしてでも果たさなければならない役割を背負っていたラクス、
オーブ元首として誰よりも重い立場にたったカガリと、プラントを追放されたラクスというように
クロスして入れ替わっているため、ラクスは個人としてキラと一緒にいられたというのがありそう。



こうなってくると、決意そのものへの後悔がでてくる。
本来は、自分で決めたこと、なんだから、思うように上手くいかなかったとはいえ、リセットできるものではないんだけど、
それを疑似的にさせたのがデュランダルで。

アスランがザフト復帰に対して、疑似的に失ったものほぼ全てを一見取り戻している。
アスランの主観的には、以前のザフトと今回のザフトはまるで違う。
ただ”象徴化された部位だけ見る”と。
赤服。特務隊。そして議長(=その国の重役=かつての父の立場の人間)にとっての特別な扱い。
そして、歌姫の婚約者という立場。

議長は血縁ではない、父の代わりにはならない。しかし、特別な人間に特別な人間として(父にとっての息子のような)扱われること。それはアスランの自意識に似た印象を与えないか。
ミーアはラクスではない。性格もずいぶん違う。ただ、その”無邪気で難しいことはわからずともプラントの為に歌い、アスランを慕う少女”は、かつてアスランが見たピンクの妖精と近似をしていないか)

すでに戻らない人、レノアとニコル。ただ、それは、”ザフトで戦う””ザフトが正しい”雄弁たる理由になる。

ザフトのアスラン・ザラにとって、ラクスとキラ、そしてカガリは、俺が戦って守ってやるから、
安全な場所で大人しくしていろ、という存在になった。
自分以上の覚悟と才をもって戦局を動かしたかつての彼らの姿は、ザフトのアスラン・ザラにとってはすでにない。
議長がアスランでさえ自覚できないくらい巧みに見せた夢。取り戻せると。なかったことになると。
オーブの戦いに自分の意思で介入したこと。オーブで二年過ごしたこと、それは”なかったことに”なった。
たまにキラよりの人が、運命中盤のアスランを”ザフトのアスランザラに戻ってる”と表現するけど、
ある意味で本当に戻っている。
だからオーブに対する当事者意識はあまりなく、ザフト復帰やミーア容認に対する仲間の当然の不信も理解できなかった。


今度こそは上手くできる。と。ただそれは議長が見せた夢に過ぎない。
キラとの敵対。キラの死。そして議長の本心。夢は冷める。

デュランダル議長という人は、特に、アスランとミーアとシンに、
錯覚をさせたんだと。
もともと彼らの願いは些細なものだった。
自分の居場所を確信したい、仲間とちゃんと向き合えてなかったアスランと、
アイドルになりたかったミーア、
理不尽に納得のいく答えと対処を望んでいたシン。

ただ、本人が望んでいた、弁えていた以上のものを与えて、自分を見失わせるのが巧みだった。
「一度脱走した以上二度と戻れないはずのザフト。その周辺各種肩書」
「ラクス・クラインという憧れの立場」
「デスティニーをはじめとした力や対場、そして理不尽な二度と起こらない世界」

ただ、それは本当に欲しかったものか?

失ったものは取り戻せない、自分の選択はなかったことにできない。時間は取り戻せない。
他人にはなれない。
新しい世界の為に、守られるべき人間すら犠牲にしなければならない。

「変えられないもの、それが自分」「取り戻せないものそれが過去だ」

アスランが終盤しきりに、「お前が欲しかったのは本当にそんな力か」「過去にとらわれて戦うのはやめろ」「失ったものは戻りはしない」というのは、

無理なことを無理だと、ダメなことはダメだと。けして二度と手に入らないものがあると。
その”現実”を知らないと、実現不可能な夢に惑わされて、今と未来を殺してしまうという経過だったからでないかと。
キラやカガリを見殺しにしかけたアスラン、
インパルスを撃ちかけたシン


「ただ、時は戻らない」

過去を受け入れること。過去を諦めること。変化を受け入れること。変化を認めること。

「ステラ、昨日を貰ったの、やっと。だからわかるの、嬉しいの。だからシンとはまた明日」


現実を知ること。無知と欲望。
知らなければならない。
もう戻れないこと。もう戻らないこと。取り返しはつかないこと。
自分以外のなにものにもなれないこと。

だからこそ、今を大切にし、未来を望むことを知ると。
「こうして君がここにいる、それが本当に嬉しい」
「僕達はまた話せる、いつでも」

ガンダムエースシアター「SEED,あの時代」に行ってきました。

2013-03-31 01:16:53 | SEED DESTINY
開催の前々日に行くことを唐突に決めて、わりと無理していってきました~
バチがあたって特急が沿線火災で遅れorz 15分ほど遅刻。
いこうかな、ということを考えるきっかけになったのはアスキラポスターでしたが・・
・・しょ・・・正直、チケット売上振るわなかったから急遽きめたのではなかろうか・・・と・・・
(だって1/4以上席余ってたよ・・・)

いやまぁそれはともかく。
セレクトは、
16話 燃える砂塵  29話 さだめの楔  40話  暁の宇宙へ

29話見てる途中でもしや森田さん脚本回を選んだのではなかろーかと思いはじめる。

ついでスターゲイザー上映。
正直スタゲについては食わず嫌いしてたかもなぁとも思う。
なんというか、皆、良い大人だよね、という印象かなぁ・・・?


さて監督と森田さんのトーク。石井さん(だったかな?)というライターさんが司会役かな。
セレクトは、エース編集部の方で行った模様(はじめ、情感のどうこう言ってたと思うけれど、忘れました・・・orz)


初め自己紹介を行ったあと、森田さんの脚本兼特殊設定という立場の言及に。
特殊設定の肩書というのは、本来はSF考証(だったかな?)とかいうのだけれども、
それは実際あるものを考証するものだから、
SFの設定につじつま合わせの頓智をつける仕事だと。
・・・監督の無理難題に。(重田さんにも似たようなこと言われてなかっただろうか・・・)
けっこう森田さんは文句言ってるらしい。
SEEDではシャトルで宇宙にあがっているけれど、スターゲイザーではロケットであがっている、合ってないと。
森田さんはロケットが好きらしい・・・

やはり森田さんが脚本書いたということで、
経過的にはターンAが終わり、新しいガンダムがはじまり、ほかにも脚本を探していたので、俺が書いていいかと手をあげた。
らしいけれど、監督曰く、嫌がっていたらしい。
ここでライターさんの「それでフレイのああゆうシーン書いちゃうんですね」的な突込みが。

砂漠の戦闘というのは、宇宙から地球に降りて、転換点であり、新しいキャラ(バルトフェルド)もでてくるから、
新しいライターさんには書きやすいのではなかろうかと。
森田さんは当時ヘリコプターが地上戦でいかに有効かなかなか熱心に語っていたようです。

当時種には、ミリタリー的な部分をプッシュして、というのはプロジェクト全体にあったらしい。

あとドラマのキモのシーンも(フレイとのことね)
わりと司会者さんは好きなんですね、と突込みの形で話を転がそうとしつつ、
決まっていたことであり、森田さん曰く、自分達ライターは、両澤さんの掌で転がされているのだと主張。
監督曰く、フレイとのシーンは、フレイがなんらかのキラに対しての負い目を持つということで考えていたみたいだけれども・・・
フレイにキラが、だったかもしれない・・いっ・・・一番肝心なところを・・・ここ注意して聞いていたつもりだったんだけど、うまく聞き取れなかった。
事実工程表(?って聞こえた)がある話で、自分たちは子供のお使いですよ、とさっきと同ニュアンスの森田さん。

この意味合いについての解釈についてはそれ以上触れられなかったけれど、
当時やはり物議を醸したみたいで、また今とネットの普及具合が違うから、インパクトのもつ意味合いが違うと。
当時局がブロックしてたみたいだけれども、批判もあったときいている、と。
ただ、プロデューサーが 過激な部分がフックになるということで。サンライズの方は及び腰だったらしい。
ちなみにスペエデイでさらに追加されているが、そこには社長が来てしまったとかで・・・
これ大丈夫なのか?と散々協議して、福田に一任するよ、と帰っていたらしい・・・


ついでさだめの楔。ニコルの死の回。なんである意味キラ的にエグい回をという感じだったんだけど、
両方とも森田さんだってんですね、と。
ここではまずアストレイとのギミックで、ブリッツの腕を使うと。ただ見てみたら、事実関係に事実誤認があり、反対側の腕を切っていたとか、そういった話を監督がしていたけれど、森田さん俺それ知らないと・・・
さらにアストレイの話で、キャラホビで、本編より先に発表されていたと。
そもそもの話としては、バンダイは夏にストライクガンダムのプラモをだしたかったと。
ただ、ストライクというのも紆余曲折あり、大河原さんにいく前に、幾人のデザイナーを経由してる。そしていくら大河原さんの仕事がはやくてもさすがに間に合わなかったと。それでアストレイを本編臥せつつ先に発表・・・みたいなのがあったらしい。

ニコルとトールについては最初から決まっていた。ターニングポイントとして。
監督曰く、役者に隠しておくのが大変だと。
匂わすくらいにしておいて、ムウさんについては言及しつつ、そちらにはあえて触れないように・・・
という話をしていたら、森田さんが「いや言っていかないと、スケジュール的に。一年仕事があると思ったら、1クールで終わっちゃったらこまるでしょう」と突っ込む。
監督は実際別の作品でそれをやり、酒を飲むたびにぐちぐち言われると・・・。

脚本家として、ニコルの死を書くに、キャラの生き死にに「こちらとしては仕事ですから、そういうふうに組んでいくだけ。エモーシャルな反応を抱くことはほとんどのライターにないんじゃないか」と。

あと戦術。ストライクの、3つの要素を使いたいと。監督は、小技を使うよね、煙とか、と。

脚本に書いても、絵コンテで変えられるという部分があるらしい、脚本と絵コンテが違うと。
ただ最近は脚本のまま絵コンテがあがるので逆に下手なことはできないと。
とくにサンライズは、オリジナルが多かったこともあり、シナリオ通りに絵コンテをきらなくていいというところがあったらしい。
ただ、それも最近変わってきてると。
森田さん的には設定だけに関わっていると、設定どおりのシナリオで使ってくれないということがあると。
ターンA(だったかな)の打ち上げで、カトキハジメさんに冨野さんって設定ちゃんと使ってくれなよね、的なことを言われたとか。

そのあたりを見ると、AAは、対空砲を見ると、数とデザインがあってないと。

脚本家は設定から見ると無茶を言うが、かっちりやると4クールもたないと。

そういう部分をみる人はそれぞれいて、
煙だけみる作監さんとか、ロボットだけみる作監さんとかいるらしい。分業化がすすんでいると。

それをとりまとめるのが監督で、監督は全部できると。
監督曰く、メカは大丈夫だけれど、それ以外にはできないこともある的なことを言ってたかな。


暁の宇宙へ

これ女性には人気の回ですよね?
というふりに、監督が手をつなぐところできゃーっていう、と俺には理解できん的な感じ。
ここ、ラスト、カガリのシーンに、森田さんが文句をいったらしい。あれカガリつぶれますよ、と。
推力かかっているからカガリが窓に顔付けた状態で「お父様」といえばいいんじゃないですか?それはダメだろ!!
キサカは微動だにしないね。さすが鍛え上げられた軍人は違うね、と。悪ふざけ。
的なやり取りの後、だからリマスタでは直したわけだけど、
直接見て、その対象(オーブと父)に向き合いながらの演出は、感情路線のドラマとしては正解だとも森田さん。

あとリマスタの話。
直した所は、やはり線が細くてきれい。
メカがなんちゃってになってるところは、デジタルで直したと。
これはEDをスペエディのをくっつけたけれども、16:9で作ってあるから綺麗。

メカをかくのには、今の3Dの方が制約多いという森田さん。
このあたりからスケジュールの話に。
監督曰く、SEEDは普通に・・遅れ気味だと。どうも伝説になっているようです。
監督的にはSEEDは3ヶ月前にはやっていたんけど、どうして遅れていたんだろうね?
そして監督ぽろっと、今UCのスケジュールが凄いことになってるらしい・・・

さらにリマスタの話。
種のリマスタは、素材は残っているのを使って撮影しえる、原画があるのはひっぱりだして使っている。ないのは新規。
直しつつ愚痴ばっかいってる。なんでここがこうなってるのと。
AAは、当時の3Dは出来がわるくてアプコンに耐えられないから作画が必要。
森田さんはメカよりもAAを書いてた。

印象が変わるように作っていた。
「サングラスから裸眼でみた程度の違いがでるように」
「印象が変わらないように作るんじゃないですか?」
「印象同じならやる意味ないじゃん。ボケているものがはっきりするだけで印象は変わる」と。



ついでスターゲイザーの話。
元々は、プラモの販売をするための戦闘シーンだけの5分くらいのPV トレビュート版、戦闘シチュレーションの動くジオラマ。
ただ、尺が増えてキャラができて、えらい大変になって最初から言ってよ、と愚痴りながら作業してたと
他人事みたいだけど全部脚本書いてるじゃんと監督。
俺は関わっていない。隣のスタジオでスペエディ作っていて、ともに地獄という感じでしたね、と。

どちらも地球で、世界観だけ共通。へたに繋げると矛盾ができる。
ファーストでもあったように、同じ世界で違うドラマがあったと。
静かなドラマだよね、と。
玩具屋さんの店頭で、カッコイイな欲しいなと思ってもらえるそういう絵をたくさん描いた。
監督の西澤さんは本編で絵コンテ切っていた。

このあたりから、アストレイも含めたそういう展開に森田さんは
「本編とは違う部分に興味を持ってるお客さんを引っ張れた。それがSEEDが長く続いた理由」
とも。
ただ、監督がそういう展開は監督的にも嬉しいですかと話を振られると。
俺は関与してない、からと。
監督にはやらなきゃらないことがあるでしょう、と森田さん。
(やや誤魔化すように)俺はリマスターが大変なんだ。200カットくらい直さなきゃだし、
とうとう言ってると、晩年の手塚治みたいじゃないですか、原稿全部書き直すってと突込みがはいる。

皆で見て、気になるところを言ってごらんといって、そこから作画を割り振ってる。
クリエイターさん的には、新規で描くのはいいが、部分を直す仕事はあまりうれしくないみたい。

と当時、ここは重田さん、ここは平井さんとマークをつけてたのにそうなってない部分がけっこうあった。
今回の運命の一話、アビス・ガイア・カオスが立ち上がる部分と、最後インパルスがソードを振り下ろす場面は重田さんに書いてもらいたかった。今回そうなっている、という話。

バンクが減るってことですよね?バンクが多いと散々言われていると森田さん。
悪いバンクはねとややはぐらかす監督。
良いバンクだから使ってるんじゃないですか?と森田さん。
重田さんなんてバルカン直してるよ、蓋と砲身が一緒に回ってないとおかしいのに、
蓋はとまっていて砲身だけ回ってる。これ誰が突っ込まなかったのかよ、よ。

ちなみにミーアのお色気は増すらしい。

ついで平井さんの絵について。
監督わりとはっきり。「平井さんの絵が変わっている。作品に関わるごとに絵が変わっているから困るなぁ、今あきらかに マジェスティックプリンスの」「オーダーはだすわけですか?以前のようにって」「だすし本人もそうしようとしてるんだけど」「今日はこのくらいで許してくださいという感じに?」「絵は変わるね」「同じ絵だとストレスたまる」

重田さんは前以上に書き込んでいると。ちくちくこだわって直してる。

森田さん曰く、監督はロボット大好きだとチーム全体が安心した。
それはフィルムに温度として残る。

運命リマスタは4話は戦艦をかなりなおしてる。

今は5話までが完全に終わって、8話の次がダビング。
ある素材を利用してる、お金はかからないけれど、手間と時間はかかっている。


そのあと、
森田さんは告知としてヤマトの話。
監督は当然リマスタの話と、あと明日特番やるんだよね、俺インタビューされた、一分で語ってくれと言われてそれは無理と答えた。

というような感じで締めでした。
わりと殴り書きのメモをもとに書いてるので、雰囲気だけ参考してください・・・

デスティニーリマスター一話 「怒れる瞳」

2013-03-24 22:28:28 | SEED DESTINY
運命のリマスターについてはキラがでない回は見ない可能性があることをここに宣言(するな)
とりあえずキラ以外はどうでもいいと思ってる人間の書く感想であることを前提にお願いします・・・

事前注目ポイント
①OPにキラの新規はあるか?アイキャッチに変更はあるか?
②キララクスペエディの砂浜の散歩シーンの移植はあるか
③シンの家族が殺された場面に対するフリーダム描写になんらかの変更はあるか?

①OPはキララク的には変更なし。アイキャッチもそのまま。これは路線変更なしということで安心。
キララクは、後出しのものの方が関係性の深さを強調されてってるイメージなので、今更否定的な方向に変更はされないと思いたいけれど。
②散歩シーンあり。よかったよかった。
このシーンはしかし、(このさいキララク否定派は無視するとしても)キララク好きの人でも解釈分かれそうだなぁと。
ラクスがほとんど片思い状態で自分を見てくれないキラを見守ってるというようにも見えるし。
わりと濃密なシーンだと思ってるんだけど・・・
キラが自分「が」好きな子ではなく、自分「を」好きな女の子に数歩下がった位置で後ろからついてこさせるかな、というのもあるし・・・キラがフレイの気持ちを間違えてた経験があるからなおさら。
しかもそのフレイを最後死なせてしまったというのが先の戦いの最後の結末。
「相手がどんな顔で自分を見ながら後ろを歩いているか」という部分に確信がないと、逆にあの位置関係はとれないんじゃないかと。
わりと一巡回って、関係性が完全にできているからこそ、な一場面にみえる気もするんだよね。
傍から見れば、お姫様だったラクスが、市井の一少女としてひっそりと暮らしている状況なんだけど、
なにもせずに静かに暮らしたい、ということが望みのラクスが、
辛い戦いを経て、父を失い自身の手も汚し、ようやくつかんだささやかな幸せなことをキラは知ってはいたと思う。
ただ、それと一緒にいるのが自分でいいのか?というところでまだ疑問があるのも事実だと思う。
(それをふっ切るのが天空のキラのシーンだろうし)
ラクスはその逡巡を見抜きながらも、あえてそこを踏み越える気もなければ、
「待ってた」わけでもない気がする。このままでもいい、というような。
キラとラクスは完璧を求めるキャラじゃないと思うし。
今一緒にいて、明日も一緒にいたいと望めるのなら、というくらいで自分の気持ちも相手の気持ちも疑わなそう。

③シンの家族の死へのフリーダムの関与の疑惑
これについては前と変わらず(むしろリマスタの新規重田さん美麗フリーダムになった分ある意味よ・・り・・・インパク・・トが・・・ガタガタ)
シンの家族を殺したのが誰か、それを描く話じゃない、ということで、
ならキラが殺したような絵いれることないじゃんミスリードじゃん(T_T)
と思っていたけれど、作品的にはこれでよかったんだろうな、ともちと考えなおす。
シンの家族を殺したのがキラ、というモチーフは、
シンの物語に強烈な求心力を与えるのではなかろうかと。
フリーダム対インパルスは、ステラ(ハイネもだが)の弔い戦だけど、
そこに家族の仇討ちというモチーフを被せることもできるという作りにはなってんのかなと。
本人達すら知らない意味合いがこの戦いにはあるという。
アスカ一家の亡骸の描写はむごいけれど、死に様のひどさという「絵」は他にいくらでもある。
ただ、それをしたのが「キラ」(かもしれない)というのは、他の死よりはるかに強烈な印象を残す。
キラをなじるにせよ、擁護するにせよ、キラアンチならアンチなりに、キラファンならキラファンなりに、
これをどう受け入れるか考えざるを得なくなる。
シンの怒りにも感情移入しやすくなるんじゃないかな、
少なくとも前作を「キラ視点で」(キラが一番好きじゃなくても嫌いでも)多かれ少なかれ見てきた(見させられてきた)視聴者側にとっては、作品の視点がキラから外れたことを意識しやするなる気がするし、
ただ、キラが前作主人公だからじゃなくて、
これだけの業を背負わせるだけの、キャラ(これは作内のキラの人間性ではなく、作外における商業記号としてのキャラに近いかも)の強さと器を持ちえるのはキラだけなんだろうなと。
これはキラならこの事実を知っても背負えるという意味とは違って(キラとて自分が知らぬうちに9歳の女の子の体吹き飛ばしたこと知ったら立ち直れないと思う)
視聴者側から、ひどいことをした人間、という前提で見られてたとしてもなお、
作品が担っている立場や思想の重要な一端を体現できるという託しがあった気もする。

ただ、これはキラとシンを、加害者対被害者。赦しを得る者と赦しを与える者。断罪される者と断罪する者。
そういう関係性に2人をしたかったわけじゃないと思うので、
その"事実”や”因果関係”は本人達の間にはでてこない。
キラとシンは、あくまで平和に暮らしていたけれど、きっかけがあり、自ら銃を持ち撃った、
という点では同じ立ち位置にいるから。


さて本編。
アスランとカガリ。
基本的にこの2人についてはカガリの肩をもつつもりで運命は見てる。
(キラとカガリだったら当然キラ)
カガリの態度とか言動がそうとう不自然に感じた。というか。
失礼なくらいデュランダルに強気なカガリ。カガリの要求は無理は話で、自国を追われた技術者がプラントで兵器開発に携わったといってカガリにそれをやめさせることができるわけない。
あえて強くでようというのは、カガリなりの鎧なんだろうな、と。
アスランのすすめたドレスを突っぱねたのは、ドレスが嫌だってわけじゃなくて
(バルトフェルドにそういう姿も板についてると言われてたり、
マーナに着せられてたあたり、お姫様時代のカガリは、ドレスも受け入れていたはずで)
カガリが今着ている首長服は、お父様の服だから。
ミーアが「ラクス様のように」と言っていたように、カガリもまた「お父様のように」というモチベーションで動いていた。
カガリは、オーブという国への信頼が揺らぎ(ヘリオポリスからの一連の奔流(お父様の裏切り者)/戦う人間の賛歌からくるゲリラ参加(戦っているんだ。皆大切な人や大切な者を守る為に必死でな)/戦争という場での実力への無邪気な侵攻(お前ら兵隊のくせにてっぽうも撃ったことないのか))
アスランとの出会い、そこでした会話。なぜ相手は撃つのか、それは本当に間違ったことなのか。その葛藤。
父への反発。これが中立国オーブという国の本当の姿だ。「カガリは戦いたいの?」オーブが戦場になるなんて私は。
学びきっていなかった、自分の中の理解も定まっていなかった。
オーブとはなにか。オーブとはなんだったのか。
中途半端なまま、父を失って、父から学ぶ道は永遠に絶たれた。まだ途中だった。
カガリは父を失って、でも弟がいると教えられた。同時に、本当の両親が他にいるということも。
だけど、キラに繋がる道は、アスランとラクスが塞いだ。カガリから、カガリと共有する事実が齎す痛みからキラを守るために。
その代わりにハマってしまった「君は俺が守る」
それ以降、アスランの気持ちを疑わずにここまで来たんだと思う、アスランもまた守られたがっていることに気付かずに。

「ラクス様のように」「お父様のように」
ミーアに見えていたラクス。
カガリに見えたいたウズミ。
その姿とはなんだったのか。彼女らが模倣しよう、あるいは「模倣することで手に入れようとしていたもの」とは。
それは「なんでもできる姿」「望むことがすべて適っている姿」だったのではないだろうかと。
だからラクスの姿や父の服や表面上似たふるまいをしながらも、
芯のない別物になる。
彼らの本質、その心からの願い。それを踏まえているわけじゃないから。
表面にはでない、葛藤や苦しみや悲しみ。
そんなものはない、ただ 望むままに振るまい、望むものをそのまま手に入れていると、
だから他人のペルソナを被りながら、自分自身で考えぬいたわけではない、行動や言動を取る。
「僕がどんな気持ちで戦っているか、誰も気にもしないくせに」
できるからやらざるをない。やりたくなくともやらなくてはいけない立場に置かされることもある。
「ずっとこのまま、こうしていられたらよいですわね」「私達は行かなくてはならないのですから」
他人に「アコガレル」というのはどういうことか。
それを欲しがるとはどういうことなのか。「本当は」どんな対価が必要になるのか。それを彼女達はまだ知らない。



そのペルソナの下には、戦火に怯える年相応の少女の姿がある。
かつて国を焼いた銃撃、父と友を奪った戦火。
それを経て、意気揚々とゲリラとして戦っていた少女の姿はすでにない。
どうしてこんなことに、こんなことになるのが嫌で、プラントまで乗り込んできた。
火種を一つでも消したくて。
泣きそうな顔で怯える少女という、素のカガリ。

そしてシン。
シンとカガリはやっぱり似てるなと。
というか、キラも含めてオーブに住む人間は、戦争を外からくる厄災と思っている感じがする。
なぜこんなことを、また戦争がしたいのか、「あんた達は」

それに対して、アスランも含めてプラント側にとっては、
自分達が戦争をする側、ただし一方的な被害者であり、被迫害者であるという意識が強い気がする。

議長対カガリの
「だが、強すぎる力はまた戦いを呼ぶ」「いいえ姫、争いがなくならぬから、力が必要なのです」
た、ただの考え方の違いとか、理想論対現実論ってだけじゃなくて、
立ち位置の違いも踏まえないとだめかもな、と。
カガリも「強すぎる」って言ってるから、力そのものを丸ごとしてるわけじゃないしね。

アスランは、護衛ないしカガリのサポートとして頑張ってるんだろうな、と。
プラント側に謝礼にかこつけて、カガリにプラント側の配慮を説明してるところとかね。
ただ、やはりコミットしてない印象はあるし、ここから”護衛アレックス・ディノ”が議長の揺さぶりもあって崩れていく
(というかザクに乗った後、碌に状況見ずに立ちあがったりとすでに崩れかけてる気もするが)
ことになるんだろうけれど。
アスランの場合は、自分の名前が、ペルソナになるというパターンに落ち込んでいく気がするんだけどね。
「ザフトのアスラン・ザラ」がね。


自分の名前でも、自分の望みの為に動いているのか。
「なんであれ、望む心が貴方ですわ」の方が、ラクスの意図としてはわかりやすいけれど、
アスランの帰結としては、「アスランでしょう」の方がストレートかもしれない。(42話インジャス搭乗)
それは「なにかしたいと思った時に、なにもできなかったら、それが一番辛くない?」
というキラの理解と託しがあった上なんだけれども。

始まる前に書いておこうφ(・ω・ )

2013-03-20 01:43:25 | SEED DESTINY
現状のシンの経過について思うところ。

※かなりキラ寄りの記事です。



種にしろ種運命にせよ、どのキャラも基本的に年齢的立場的な者に対する成長というのは、遂げていると思っていて。
種的変化というと、どちらかというと、多分に本人に元々は責任のなかったことにより齎された変化を受け入れる、
リスタート地点に立つという部分にあるんじゃないかなぁ、と思ってますが。

物語開始時が、理不尽な家族の死という状態でスタートしたキャラは、特に本人の感情の荒れや経過の振れ幅が大きくなってるかな、とも思いつつ。
運命のアスランの立ち位置は、無印のフレイに近い気もするんですよね。陣営移動が起こったのも込みで。

先にアスランの変化の帰結を見るに、それはキラとラクス、戦争によって関係性が変わってしまった相手との和解にキーがあるかなと。
物語上で接点多いのは、カガリだったりシンだったりミーアだったりするんですが。
ジャスティス搭乗時が、キラとラクスとの和解を経てだったので。
アスランは、母(や多くの同胞)を失いつつ、これ以上失いたくないという気持ちで、軍に入った。
ただ、戦争が死、というもの以外にも、極限状態事態が価値観の相違を浮き上がらせて、
関係性を変節させてしまったのが、キラ、ラクス、パトリックという家族的立ち位置だった相手との対立として現れる。

キラとラクスは、アスランにとっては卑属的な存在で、
2人が静かに暮らすなら、それを守る、というあたりに自分の居場所を持とうという意識があったんじゃないかな、と。
ただ、再度敵対する。
キラも、アスランが自分が許した側、という意識を、心からの心配や労りと裏表で持っていることに気づいていただろうけれど、
あえてそれを蒸し返して再構築しようとは思えなかったと思う。表面上は4人、そしてキラとラクス、アスランとカガリの2カップルで上手くいっていたから。
ただ、アスラン側で、キラやラクスへの割り切れない感情(ニコルを殺したこと。ラクスがキラを選んだこと)
そして現状への不満、何もできない自分への不満、オーブやカガリへの不満。
それは積もっていたんだろうなと。
アスランは、そもそもアークエンジェルやオーブを理解していたわけではなく、
どちらかといえば対現状の手段として手を組んだ感覚に近いかも。

誤解や不理解、不納得によって先のオーブ解放線から積み上げてきてしまったものを、
キラは24-28話で壊そうとしたイメージ。
アスランがどうでるか。結果としては、「キラは敵じゃない」
自分の手のひらの上でキラがおいたをしているわけではなく、
この状況で、キラはキラの土俵で戦っていることを、当のキラのその宣言を受け入れざるを得なくて、
結果としては、「キラ行け」とキラがザフトと戦うことを後押しすることになる。
(これはラクスを守るという点で、アスランとキラの利害が一致してたのも大きいけど)
それへのキラの答えが、ジャスティスをラクスに託して、ラクスをいわば仲介として、アスランとの話を望んだ。
インジャス搭乗はラクスとアスランのシーンと思われがちだけど、
ジャスティスにラクスを乗せて下すことを決めたのはキラだし、
ラクスはアスランにジャスティスを渡すことに否定的だった。それを押したのはあくまでキラで、
そのキラの言葉そのものが、もっとも直接的にアスランに響いたと見れば、どちらかといえば、
ここはキラとアスランのシーン(ラクスとのわだかまりも解けた場面でもあるけれど)とみてもいいんじゃないかな、と。

戦争前からの付き合いであるキラとラクスとの関係を再構築したのがアスランの一番重要なきっかけになった。
その後の展開にとってヒントになるのは、
46話のショッピングのアスキラ会話。あの回は後半のミーアとラクスの話に重要度高そうに見えて、
意外とここも大きいかな、と。
僕もラクスももう大丈夫だから。
これは、戦争前から空白の二年に対して、アスランがキラやラクスに持っていた庇護意識(これはある意味見くびりやコントロール願望も含んでいるんだけど)に対して変革を迫った。ある意味では一線を引いた部分もありつつ。
今までありがとう、大変だったね、という労りや感謝も当然あるんだけど。
アスランも全部じゃないけど、今までよりは、ある程度キラの言いたいこと察してる感じかなと。
そして、戦争後の出会い、特にカガリとシンについても、
仮に決着をつけたイメージかな。ただ、キララクがある意味今後の別離を示唆しているのに対し、
カガリやシンとはこれからという感じがする。
アスランにとっては、キラとラクスという戦争前に”家族だった”ラクスやキラとの決着をつけてからじゃないと、
本当の意味では次にいけない感じがするから。
アスランもまた、もう戻れない温かな時間を取り戻したかった。
シンと違い、アスランには”幼い庇護対象(※イメージ)”が今生きている。
それはしかし、キラやラクスに、アスランの望む存在、幼く無力で自分の意思を持たない箱庭にすむ幸せな人形であることを願う心情にも繋がる。(※極端なイメージです)
(運命3クールのEDを見るに、アスランは必ずしもキラやラクスやカガリと共にいたいという心情は少なそう。
オーブという平和の場所で、静かに幸せに暮らしてくれていえれば)
アスランは、彼らとの関係性の変化を受け入れたくはなかった。「戦争なんかに変えられなくはなかった」
自分になんの非があると。一方的に母を殺され、軍に入ったのも認めら得るべき行動だった。
その選択でなにかを失うわけがない、守るためにために、これ以上、変わらない為に銃をとったのだから。
特にキラとの関係を。だから、キラが戦うことにも、自分と別れてからの人間関係にも否定的だった。

アスランが失ったものは大きくとも、それが他者にそんなものであることを望む権利を保障するわけではない。
自分の大切なものが、自分と違う道を選ぶことも認める。
そしてそれが、自分と相手の関係、自分の相手への気持ち、相手からの自分の気持ちを否定するものではないことを
言葉でなく実感として納得する。
アスランの「夢は同じだ」というのは、カガリとの関係を言っているけれど、
その言葉を伝えているのは、キラとラクスというのも意図的かも。
トリィ、ハロ、指環。それぞれの形で贈った贈り物で、縛るものではないし、縛れるものではないと信じることが。

で、シンもまた、決着としては、オーブの慰霊碑、家族の死を受け入れる、という部分で決着がついているかなと。
それを納得するために、シンもまた奔流を経ないとならなかった。
それは実際自分が力持つものとして選択行動し、それに失敗するという経過を経てようやくといった道筋なイメージ。

アスランにはプラントを、キラにはAAと友達を守るという目的があったけれど、
シンの場合は話が逆で、確固たる目的意識、はなかったイメージ。
これは、作内でどんどん更新されていったイメージなんだけど、

最初は、力を得る。これはストレートにザフトに入るという方法で。
とりあえず、ザフトの赤を手に入れ、インパルスのパイロットに選ばれた。
そこに現れたのが、カガリ。アスハの名を持つもの。
個人的にはシンや必ずしもオーブへの憎しみを抱いてプラントに渡ったわけではないと思っている。
シンが誰かを明確に恨んでいたのなら、ルナあたりアカデミーで一緒に過ごしたメンバーがもう少し知っていた気もするので、
(生意気とかガキっぽいとかいう感想はでないかなと)
自分達家族にとっては正しい国ではなかったかもしれないけれど、
という部分で、オーブをいう国を丸ごと否定してはいなかった気がする。
それが崩れたのは、カガリのあまりに拙い言動。自分の糾弾についてまともに返答もできない情けなさ。
俺の家族はこんな奴らに殺されたのか、という家族を失った悲しみが、怒りに化ける。
「また戦争を起こそうとする人間がいる」「アスハはどうしようもない奴だった」「また戦争が起こった」
1クールのシンにとっては、世界への不信が極めて強度に打ち込まれる。
そして、このシンに対して、仕込まれたのが、キラとアスランとの出会い。
キラは長期的な仕込みだけど、アスランは、オーブへの不信の中の、ひとつのキーだった。
「貴方のような人がなぜオーブなんかに」
これは私には、こんな人がオーブを選んだなら、オーブにも価値があるんじゃないか。俺の家族の死にもなにか意味があったんじゃないかという気持ちにも繋がって、
ただやはり1クールは、オーブへの憎悪(裏切られた、売られたという怒り)で幕を閉じる。

そして、アスランのザフト復帰。シンとしては治まらないだろう。結局アスランにとってオーブはなんだったのか、オーブに価値はあるのか。
「そこでなにをしてるんです?貴方は」「なぜ帰ってきたんですか?」
アスランはシンの質問に応えなかった。
応えなかったのは、アスランの中にも答えがなかったから。
だけど、シンにはそれがわからない。
また間の悪いことに「よくやったな、君の力だ」
と、シンのザフト軍人としての活躍、そしてシンの力を褒めたことで、
軍人として、力を持った者としてならば、認めてもらえるという心地を与えてしまったのではなかろうかと。
オーブの無力な子供には応えてくれずとも、ザフトの力ある軍人としてならば。
アスランがミネルバに来なければ、ある意味オーブを諦めることができた。
ただ、アスランが戻ってきたことで、オーブに繋がる糸ができた。
アスランに認められたい。
それは、ひとりの男として軍人として、男として認められたい、というのと同時に、
オーブという国について、その意義を教えて欲しいというのもあったんじゃないかな、と。
ただ、それもAAの戦闘乱入で崩れる。
カガリの行動について、アスランは説明も仲介もできない、かといってミネルバMSのリーダーとして、
シン達の中心に立つこともできない。
セイバーの姿を見て、アスランはオーブに繋がる糸というビジョンは消えた。
アスランはただオーブを捨ててきたのだし、オーブもまたアスランを捨てたと。
「悪いのは全部地球軍なんだ。貴方だってそれと戦うために戻ってきたんでしょう、だったらもっとしっかりしてくださいよ」
これはシンの最後通牒だった気がする。
オーブについても、かつてオーブを攻めた連合が悪く、今また戦争になっているなら、
連合が全て悪くて、そういうあり方で、オーブを免責しても構わない。
だからもう、貴方にオーブを求めない。
ただ、悪い連合を撃つ、自分達ザフトとして、自分たちと共に戦ってほしい。自分達を肯定して欲しい。
「昔は強かったってやつ」
もしかしたら、二年目の戦争までいかずとも、かつて自分が認めた人間の姿は確かにあったのだから。
それにもアスランはちゃんと答えてくれない。
新しい目的が必要。自分が失ったものを埋める理由。
それがステラ返却に繋がり、そしてフリーダム撃破の動機になる。
フリーダムを撃った後は、より強い力に。フリーダムさえ落した。
やっつけなきゃ怖い者は全部。自分が一番強い者になれば、もうなにもこわくない。
デスティニーを経て喜んでいた姿は、デストロイのモニターを陶然と見ていたステラに通じるかもしれない。

しかし、ここからは反転が始まる。アスランとメイリンを撃ったことからくる加害者の自覚。
今まで、わかっていない、幸せな奴、と見做していたルナマリアとレイ。
仲間に妹を殺された姉。ザフトの赤から、裏切り者の身内。
クローンという、そう遠くないうちに、尽きる命と言うレイ。
シンはここで、自己イメージを被害者から加害者に変えざるを得なかった。
彼らの為に、彼女の為に。
「はい、俺もレイと同じ気持ちです」
「ルナは俺が守る」
アカデミーから一緒にやってきた仲間、友達でもある。
自分はずっとひとりだったわじゃなかった。

でも、その気持ちと願いの果ては、本当にデスティニープランか。
「思い出せ、シン。お前は本当は、なにが欲しかったんだ?」
「その怒りの本当のわけもわからぬまま、ただ戦ってはダメだ」

「こんなのは、もっと嫌だ」


でも力以外になにがあると。

「いくら花を植えても、人はまた吹き飛ばす」
「いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ」

自分の言葉は届いていた。
ザフトの赤ではない、オーブのちっぽけな子供の言葉を。
フリーダムという力の象徴たるパイロットが、シンの言葉を聞いていて、覚えていて、返事をした。
その内容は問題じゃない。
言葉は届くという実感そのもの。


正しくありたいとおもった、やろうと思えばできると思った。なぜ人はできないのかと憤った。でも、自分もできなかった。でもやりなおせると。僕達は。

そういうルートかな、と・・・