ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

漂流郵便局のこと

2014-05-24 14:12:04 | つれづれ

 

写真は手持ちのはがき、左端は「神奈川県版」、右は「地元郵便局版ポスト」。

 

 

相変わらずのボケボケですから、何か見たり聞いたりしたこと、つい右から左です。

そういえばそんなこと聞いたことあったなぁ…のひとつが、今日NHKでやった「漂流郵便局」。

 

本物の郵便局ではなく、実は久保田沙耶さんという若い芸術家の「作品」、

香川県三豊市の小さな島にあります。説明はこちらこちらにも

 

書いても出しても、届くことのない手紙、亡くなった人、昔飼っていたペット、未来の自分への…。

番組では「私の財布へ」という手紙を紹介していました。

昔落としてしまったお財布、ポイントカードの束から解放されて、自由を楽しんでるかな、と。

思わずクスクス…です。

 

私ならだれ宛に書くかしらん…と、考えました。

出したい相手は、ほんとにたくさんいますが…今回は「着物宛」に…書いてみました。

この着物です。7歳直前の私。

 

           

 

私の子供のころの着物さんへ

こんにちは、私の子供のころの、鈴のもようの着物さん。

もうとっくに布の形もとどめず、着物の神様のところに召されているのでしょうね。

モノクロの写真しか残っていないけれど、薄いピンクの地だったこと、

私のカオより大きい鈴の中の花が、赤と黄色だったこと、覚えています。

おかぁちゃんに聞いたんだけど、私の七五三のあと何年かたって、

田舎のいとこのところに送られたって…。

私何にも知らなかったから…というより覚えてないもんでごめんね。

ちゃんと「ありがと」「バイバイ」って言ったかしら。

あなたのこと、大好きだったの。

誰にもあげたくなかったって思ってたけど、おかぁちゃんには言えなかった。

「小そぅなった子供の着物は、着られる人に着てもらうのが、着物の幸せなんや」って、

おかぁちゃんよく言ってたから。

ずいぶんあとになって「あのあと、兄さんとこやらなんやら、回ったらしい」と聞きました。

いったい何人の女の子の身を飾ったのかな。みんなに喜んでもらったよね。

そんなにいい縮緬じゃなかったって聞いたけど、そのあとは鏡掛けになったかな、

それとも赤ちゃんの布団側になったかな…と、あなたの「旅」を思います。

 

あなたを私に着せてくれたおかぁちゃんも、もう天国に行ったんよ。

人間の方の神様と、着物の神様は、お隣同士だといいなぁ。

「あれ、あんたウチとこの娘の七五三のときの…」

「あらまぁお久しぶりですー。娘さん元気にしたはりますか?」

「もう60もすぎて、まぁ気ぃは強いけど、どっか抜けてるおばはんになりましたがな」

なんてね。

 

あなたや、細かい矢絣の着物、テリヤの並んだゆかた、男の子みたいな絣の着物…

そんな記憶の積み重ねが、今でも私の「着物」の原点です。

今、私の手元から旅に出る着物もいろいろあります。

私が手を通したものばかりではないけれど、みんな誰かの身を飾り、

その人の人生のいっときを一緒に歩いた着物さんたちです。

忘れずに言ってます「ありがとう、バイバイ」って。

もうあなたには言えないから、お手紙書きました。「あのときはありがとう、バイバイ」。

 

 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私の着物 (うまこ)
2014-05-24 23:44:45
私の子供着物は10才まで着ていました。
アメリカまで持っていって、
帰りに船便で送られてくる途中、
パナマ運河で海賊に会い、
金属張りの木のトランクが斧のような物で壊され
中身が無くなり、かわりにほかの荷物
(近くの銀行の名前の付いたボールペンなど)が入って
戻ってきました。
当然きれいな着物は無くなっていましたが、
海賊の娘さんのお土産になったかと思うと
なんだかちょっと嬉しい気分になりました・・・・
(そんなステキなことはないとは思っても、
わからない真相よりそんな想像の方が楽しいでしょ?)
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Unknown (古布遊び)
2014-05-25 13:43:23
「漂流郵便局」-初めて知りました。
素敵ですねーいつか訪ねてみたいです。
私も誰宛に何を書くのだろうと考えてしまいました。しばし空想の世界をさまよいました(笑)。

とんぼさんのお写真ー可愛い!!!
何だか懐かしくて思わず自分の子供のころを思い出しました。
大きな羽子板おをお持ちだからお正月でしょうか???
子供の着物姿ほど可愛いものはないですね。
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Unknown (みけ)
2014-05-25 19:12:01
うわぁ~小さなとんぼ様かわいいですね♪

漂流郵便局…亡くなった父に出してみようかと…言いたかったこと、とか、聞きたかったこと、とか…思案中です。


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Unknown (とんぼ)
2014-05-25 20:12:57
うまこ様

えぇぇパイレーツですか!
残念なことしましたねぇ。
きっと、彼には「お宝お宝!」でしたよ。
海賊の御嬢さんが着たと思います、私も!
今頃、どこかの家で、壁に飾られているかもしれません。
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Unknown (とんぼ)
2014-05-25 20:16:35
古布遊び様

なんとも素敵なところですよね。
私も、父や母に、若くして亡くなった友人に、
なくしてしまったイヤリングに、
すんごいお気に入りだったパール色の靴に…と、
いろいろ書きたい気持ちになりました。

ご名答…で、お正月です。
昔は、お正月といえば「晴れ着」でした。
着ると「走るな、騒ぐな、そのまま寝るなぁ!」と、
着ている間中言われてました。
それでもうれしかったです。
今はお正月に着物、が見られませんねぇ。
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Unknown (とんぼ)
2014-05-25 20:18:57
みけ様

ありがとうございます。
60過ぎますと、もう「夢のかなた」ですが。

手紙、いろいろ書いてみたくなりますよね。
私もいろいろ思い出したりしています。
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Unknown ()
2014-05-25 23:30:38

  うふふ

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漂流郵便局 (kitty)
2014-05-26 10:26:20
漂流郵便局 実は 地元です!
母方の ひいおばあちゃまが 粟島の出身で
わたくしの お茶とお花の先生も
祖母のいとこで 粟島に住んでおられる方でした!
なので 小さい頃は 小さな舟が
家のすぐ近くから出ていて おばあちゃまと一緒に
ひいおばあちゃまの実家である粟島へは よく出かけてました!
ひいおばあちゃまも おばあちゃまも お茶と御花の先生の粟島のおばちゃんも 母も とっくになくなって 今では
粟島へ行くこともなくなりましたが・・・
わたくしの 着物生活のルーツが粟島にあるような気がしていますので 久しぶりに おとづれてみようかと 思います!
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-05-26 23:17:26
惠様

えへへ…
返信する
Unknown (とんぼ)
2014-05-26 23:19:40
kitty様

まぁそうでしたか。懐かしい場所なのですね。
ぜひ、いらしてください。
私は初めて知ったのですが、行ってみたいものと
思っています。
お客様、船で渡られてけっこういかれるみたいですよ。
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