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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

二部式じゅばんは…

2013-01-29 21:54:39 | 着物・古布

 

写真は「二部式」のちょうどいい写真がありませんでしたので、

古い本(昭和8年)の「繰り回し」の写真。

右上のじゅばんは、元々長じゅばんだったものの「いいとこ取り」繰り回しじゅばん。

胴の赤地に白い柄部分、腰から下の壷垂柄部分、それと、どうしても足りなかった分を

両袖の真ん中に、黄色地に赤い丸柄の部分。これで3種のじゅばんを足して「1」にしたわけですね。

袖の真ん中に入れるのは、「袖割り」というそうですが、ここは外からは見えません。

 

       

 

下の茶色っぽいのは、赤いところが普通の帯の表地、茶色のところは丸帯、

丸帯は片側帯の倍ありますから、これで帯3本分でできたじゅばん…ということになります。

帯からじゅばん…なんて、今のものでは考えられませんが、昔の帯は錦紗もモスリンも羽二重も、

染のものがたくさんあったんですね。

 

さて、昨日コメントで「二部式じゅばん」、つまり「うそつき(真ん中が晒し)」ではないものについての

ご質問がありましたので、ちょっと書いてみようと思います。

 

サイズは二部式の場合は、通常の「うそつき」のサイズでOK、作り方も同じでOKです。 

一般的に売られている「うそつき」は、胴部分が晒しです。そこを元々のじゅばんの生地で作るだけです。

裾よけは、木綿と絹の縫い合わせになりますから、絹が傷みそうでいやなときは、

全部絹でもかまいませんし、腰の部分だけ胴裏のような白い絹を使ってもOKです。応用ですね。

つまり…自分の着物ライフで、いかに気軽に着るか、ラクに使うか…それを考えることも、

「好きにしていい部分」です。この自由さがなければ「うそつき」も「端縫い着物」も生まれません。

 

私は、過去にうそつきを何組か縫っていますが、前よりも後ろの身頃を10センチくらい長くしたものがあります。

そのため脇はスリットを深く入れました。まあ単純に長いほうがお尻あったかーい…というのと、

普通のうそつきでも脇スリットを多く入れると、衿元の合わせを深く出来ます。

私は当時、うそつきには衣文抜きは面倒でつけませんでしたので、たまにじゅばんの衿を下にひくのに、

後ろが長いほうがひきやすかったから…なんていうとんでもない理由もありました。

 

で、次が「全部正絹」のうそつきではない二部式じゅばん、ですが、これは作るときの状況でかえていました。

何度も書いておりますが、私は見事にガリガリでした。152センチで40キロあるかないか。

ウエストで一番細い時代は56センチです。細くていいわねぇ、とよく言われましたが、

それは「細くてもあるべきところにお肉があれば」のことです。胸もないわ、お尻もないわ…ただの丸太みたいなものです。

せめて胸だけでも「あんこ」で大きく見せようと、当時流行し始めの「ワイヤーブラ」を買ったら、

ワイヤーが肋骨にくいこんでアザになったし…。

そんな体型ですから、市販のうそつきの下の裾よけは「胴に回りすぎる」…ので、途中をつまみ、またタックをとって、

タイトスカートのようにして、更に上の晒し部分を半分に折って、そのなかにタオルを入れて、

少しでも腰の周りを太くするようにしていました。身に添わせるのもタイヘンだったわけで。

しかし今のように、自前の「脂肪性補正」が十分になると、伸縮のない晒し部分は

今度は逆に「脂肪を広げて抑える」役目を果たしますから(大事です、これっ)、今はそのまんまです。

 

というわけで、今の私の「絹の二部式」は、上は市販のうそつきと同じサイズ、同じ作り方、

下は腰の部分に晒しをつけた作り方、つまりまったく同じなんですが、別にこだわらなくてもいいと思います。

最近のものは(たぶん4~5年前に作ったと思いますが)、呉服屋さんに「これはどう作る?」といわれて、

暑がりだから胴貫、袖は無双、下は袷、晒しつき、ひもではなく角三角。

「角三角」というのは、晒しの部分につける紐をやめて、晒しだけをそのまま伸ばした感じで、

三角におって仕上げたもの。これは結ばずにはさみこみます。

ひもや帯が締まりますから、外れて落ちてくる心配はありませんが、気になるようなら、

安全ピンなどで留めても可(万が一にも刺さらないようにカバーつきで)です。

つまり、自分の都合や体型、使おうとする生地の分量などで、自由に工夫すればいいわけです。

 

長じゅばんと比べて「うそつきや二部式の使い勝手ははどうか」…

これは当たり前ですが「腰」の部分が一枚ではありませんから、もたつく、と感じる人もいます。

下には当然肌じゅばんと裾よけを付けていますから、おなか部分は、前で重ねるものが3セットになるわけです。

私は、例えば訪問着などの時には古典的(保守的?)に「肌じゅばん、裾よけ、長じゅばん」と着ますが、

オシャレ着のときなどは、肌じゅばんと裾よけのかわりに「着物スリップ」です。

上下つながっているので、おなかがもたつきません。しかもゆかた用だと楊柳なので、汗もよく吸い取ってくれます。

夏だろうが冬だろうが、自分の体質にあわせりゃいいんです。

おうち着物は、動き回ったり暖房あったりで暑いので、肌じゅばんなし、うそつきだけで、

下は裾よけだけか、少し寒いと洋風のステテコみたいなのはいてます(スラックス下、とかいうもの)すべりがいいので。

これも和装にはステテコもスカートもありますから、それでもいいのです。

着物用ステテコは股上が浅くて、トイレでおろしやすいものが多いです。 

 

私はいつも「着物で『~でなければならない』ということは、それほど多くありません」と言います。

産まれたときから洋装の中で暮らしていれば、自分が直接着なくても「情報」は、ちゃんと積み重なります。

女性であっても、ネクタイにはいろいろな巾のものがあるとか、いろいろ結び方があるとか知っていますよね。

そういうことは、情報の中で暮らせば、いつの間にか一般常識として頭に入っているわけです。

着物にはその「毎日の暮らしの中にあふれている情報がない」から、なんでも「初対面」、

なんでもイチから覚える…になるというだけのことで、いろいろ着物に関わって、着物が身近になってくると、

決まりごとは「規定」ばかりではないとわかってきます。 

応用編は自分で考えてもいいわけで、そのときに「ここだけはかえない」がわかればいいのです。

 

最初に繰り回しのじゅばんの写真を出したのは「完成形」がわかっていたら、

あるだけの生地で、その形にすると着物は着られるものになる…という意味で…。

じゅばんは「袖口」「袖の振り」「たまに裾」の三箇所が外から見えるところです。

そこに統一されたものがあれば、真ん中晒しでも、腰の辺りが残り布三段つなぎでも、

なんでもいいのです。

「うそつき」という言葉は、日常使う言葉としては不快な思いにつながる言葉ですが、

着物で使われる用語となると、実にうまいシャレなのだと思いませんか?


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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (陽花)
2013-01-30 11:41:23
普段は二部式じゃない長襦袢を
着ていますが、一度裄は大丈夫
なのに肩幅と袖巾が違ったので
大うそつき(着物に袖だけ縫いつける)と
裾除けを作った事があります。
脱がなければ分からないのですから
臨機応変でうそつきもいいものだと
私は思っています。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-01-30 17:31:10
陽花様

「ごまかし」というと、言葉はわるいけれど、
ラクに、便利に着られたら、
いろんな工夫があったほうがいいですよね。
返信する
うそつき (うまこ)
2013-01-30 23:35:35
私がうそつきを着る最大の理由は
気候調節、というか、
肌襦袢と長じゅばんと着物を着るのが
暑くてたまらないからです。
真冬以外はうそつきと着物(とファンデーション)だけです。
真冬は薄~い、スリップを重ねます。
(真冬の外歩きはババシャツを着ます)
2部式を着るのは市販で簡単に手に入るからです。
だから、お嫁ちゃんには
胴抜きの長じゅばんを誂てあげました。
洗濯が簡単なように袖と裾除け部分はシルックです。
着るのも容易、お手入れも容易。着ていても快適。
と3拍子揃っていると自負しています。

絹の長じゅばんは着る喜びはあるでしょうけれど、
サポートしてくれるお手伝いさんのいない
現代の暮らしでは、着物自体が
ちょくちょく着るわけにはいかない
高級なおしゃれ着になるだけだと思います。

着物が手軽なものになるためには
現代の生活にマッチした下着が不可欠ですが、
それを邪道であると思わせる風潮が
私にはとても悲しいです。

着物が決して窮屈であったり
暑かったり、帯が不安であったり
そんなものではないようになってほしいです。

(ついでに言えば、現代の帯の結び方も、
着物離れの大きな一因なので悲しいです)
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-01-31 12:32:15
うまこ様

ほんとになんだか「暑さ」を感じますよね。
更年期の性ばかりではなさそうで、年々着方も変わっていく気がします。
私は絹でも、ものによりますが家で洗ってしまうので、素材は、
けっこうバラバラ…。
アレルギーはないのですが、なぜか首の周りと手首のあたりが、
時々素材でチクチクして赤くなるので、それを気をつけています。
そんなにヤワだった?なんていわれるんですけどね。

おっしゃるとおり、ほんとに「なにをわざわざ窮屈にしているのか」と思います。
ラクに着る、ということは、別にだらしなくなると言うことではないんですけどねぇ。
返信する
ありがとうございます (天鼓)
2013-02-01 21:43:35
二部式襦袢の作り方、ありがとうございます。
つい最近、洗える絹、というので長襦袢をつくったのですが、あれこそ二部式にしたかったです…。
二部式は、うそつきしか知らなかったもので。残念です。
余り布もあるし、作り直そうかなあ…。

二部式で、後ろをちょっと長くするの、いいですね。
衣紋を直すのに、左右の襟肩開きのあたりの裾を引くといい具合に引けるのですが、前後が同じ長さだと帯のたれ先がちょっと上がってしまうので。

うそつき、わたしも肌襦袢・長襦袢を着ると暑くなってきたら、着ます。冬は肌襦袢の下に更にババシャツを着たりしてますけど…。
普段にも着ますけど(めんどくさいから)、冬はやっぱり七分袖のシャツの上からです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-02-01 23:23:21
天鼓様

お役に立ててよかったです。
決まっているわけではないのに、まわりにあるものが全部そうだと、
これなんだって思ってしまう。
そういうことから抜け出すのも、今は着物の楽しみかなと思っています。
ババシャツ、昔は着ていたのですが、太ったせいか暑くて…
今はランニングスタイルのシャツ…ですわぁ。
返信する

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