ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

虫干し

2021-10-08 18:58:26 | 着物・古布

 

先にちょっと…久しぶりに大きな地震が来ました。ここでは震度5弱、

あの東日本大震災の時と同じです。ただ、あの時ほど長くはありませんでした。

幸いあの時のような停電もなく、被害もありませんでした。

近辺の皆様、ご無事でありますように。それにしてもまぁ最近はあちこちでよく揺れます。

 

それでは本題です。

友人が、虫干しをしたらたとう紙が汚いので…と防虫剤、除湿剤合わせての購入を依頼されました。

真面目にやっておりますなあ…って感心している場合ではないのですが。

虫干しのお話…。

 

虫干しというと「衣替え」の時期…となりますが、実は年2回すればいい、というものでもありません。

要するに湿気を飛ばし、チェックするという用事ですから。

まぁたまたま衣類を入れ替えるから、ちょうどいい…で、どうしても5月10月…あたりになりますが、

本来は「乾燥」させることが目的なので、こまかくするなら「梅雨明け」の後もやった方がいいわけです。

ただ、日本の気候では、梅雨開けてからはどうしても湿気の高い晴れ、が多いので、

とにかく天気が良くて乾燥するのにいいかどうか、できれば風の通る日、ですね。

真冬でももちろんOKです。

 

古い記憶をたどってみれば…子供のころ母の虫干し、それほど枚数もなかったし、

高価なものもほとんどありませんでしたけれど、ちゃんとやってました。

部屋に紐を張って…そうそう、ここからして今はなかなかですよね。

昔は部屋の中に鴨居だの長押だのがありました。今や言葉も通じませんね、長押ってなに?なんて。

ながおしじゃなくて「なげし」、鴨居と混同されることもありますが、鴨居は障子や襖をいれるため

溝を切った枠になっている横木のこと。長押はその上に横に張ってある横板のこと。

長押って後ろがあいてますから、例えばハンガーかけたり写真の額なんかもたてかけたりしてますよね。

ときに「へそくり」の隠し場所だったりもする…ふふふ。

そんなふうに「木材」の部分がありましたから、部屋の角の近いところに釘などを打って、

夏は蚊帳を吊るための紐を通してぶらさげておいたり、部屋の入口あたりの上にはのれんを提げるための

棒を載せられるようにしてあったり…。

いまみたいな便利金具だの接着式のフックなんてありませんでしたから。

日光には当てないようにしないとなので、どうしても部屋の中になります。

それぞれのおうちで工夫してみてください。

下げられる場所があればハンガーでももちろんOKですが、できれば着物ハンガーがいいですね。

 

まぁそんなわけで、母は部屋の角につけた釘に洗濯用の紐をかけ、対角線に引っ張って張り、

そこに着物をかけていました。ハンガーも便利なのですが、着物をかけてさらに紐にかけると、

引きずってしまうんですよね。なのでいつも「広げてかける」でした。1枚しかない訪問着など、

大切なものは1枚で広げて、ウールのものなどは前を合わせた感じで半分にして…。

その他、帯や小物などもこまごま干しては外して次のもの…とやってました。

色とりどりのものが並ぶので、衣替え好きでした~。

 

衣替えをする時間というのもきをつけないとで、お天気よくて風通しがいい日の午前9時か10時から

夕方はせいぜい午後3時までくらい。母は洗濯物についても「3時過ぎたら地面から湿気が上がる」と、

よく言ってました。お天気次第ですから、学校から帰るともう終わっていたりして、

あぁ~今年は終わっちゃったぁと思ったこともありましたっけ。

終わっていても、たとう紙を取り替えたり細かいことは残っていましたから、

そんな中で、着物のたたみかたとか、小物の始末の仕方とかを教えてもらっていたわけです。

 

さて、虫干し、場所と時間があれば裏を返してもう一度干すことはいいことなのですが、

なにしろ大きいものですからね、たいへんなら表向きだけでもいいのですが、

必ず裏のチェックを忘れないようにしてください。袖の丸みの部分はよく綿埃などが溜まっています。

たまに100円玉なんかも…あらら。そして袷のものなら裏地のシミや汚れも。

表は大丈夫なのに、裏に星がとんでる…つまりカビのシミがある、なんてことがありますから。

なにかダメージがあったときは、必ず早いめのお手入れを…。

 

全部おわって、いよいよしまうとき、たとう紙が汚れていたりシミがあったら取り替えてください。

防虫剤は実のところ、けっこう保存保管の費用としてはかかります。

でもケチってシミだらけカビだらけになったら元も子もありませんから、しっかり入れてください。

防虫剤とともに「除湿剤」も入れてください。箪笥の下の方ほど湿気があがりますから、

和ダンスなどの一番下の方は、できれば小物類や肌襦袢裾除け、うそつきなどを入れるといいですね。

帯締めなども、高価なものは桐の箱に入っていたりします。それはそれで安心ですが、

必ず一度は箱をあけて風に当ててください。普段用のものなどで、房がクシャっていたりしたら、

虫干しの間に蒸気をあてて形を整えるとか、すぐ使えるようにしておくことも大事です。

 

和服の虫干しは、枚数にかかわらずとても手間がかかり、場所も時間もとられます。

今日は虫干しの日、と決めて、その日は一日和服と密接にかかわる日にしてください。

 

と、ひとさまにはいろいろお話しておりますが…私は…聞かないでくださいましっ。

とりあえず防虫剤、防湿剤、たとう紙のストックだけは十分にございますのでっ(許される理由にはならんのよ)

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