ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ちょっと早いですが・・

2006-02-25 21:52:42 | 着物・古布

最近入手した羽裏の整理をしていましたら、こんなのが出てきました。
「くーる・びゅーちー???」な私が(誰も信じまい)これは
「衝動買い」しました。実際には一度もみたことのないお祭なのですが・・・・

京都にお住まいのかたならすぐおわかりでしょう、これは嵐山で開催される
「三船祭」といわれるお祭の様子を描いたものです。
元々は平安の昔、宇多上皇が秋に嵐山御幸の折、大堰川で舟遊びをなされ
その後もたびたび船を浮かべられては、吟詠、舞楽などで楽しまれたことに
由来するそうです。その後今のような形式のお祭にしたのは、
昭和3年、芸能の神様で名高い「車折(くるまざき)神社」の
大祭の折、記念行事として「三船祭」が開催され、その後も延長神事として
毎年5月の第3日曜日に開催されるようになりました。
「三船まつり」という名前は「白川天皇」の御代に、「和歌・漢詩・奏楽」に
長じたものを、それぞれ船にのせて舟遊びをされたことに由来するそうです。

上の写真は「鷁首(げきす)船」と呼ばれる船ではないかと思います。
先頭の船は車折神社をお出ましあそばされたご神体をお乗せする「御座船」、
次がへさきに龍をつけた「竜頭船」、その後がこの「鷁首船」、
「鷁」というのは架空の鳥で、「鵜」に似ていてタイヘン早く飛ぶそうで・・。
それぞれの船で、舞いや雅楽を披露するわけですね。
下の写真は、雅楽で使われる「火焔太鼓」だと思います。
残念ながら、赤い「色移り」があります。



この羽裏の絵には、不思議だと思うことがあります。
「竜頭船」の方が絵として見栄えがすると思うのですが、
竜頭船は、布の一番左に、顔が半欠けで描かれています。
さらに縫いこむと顔がほとんど隠れて、何船かわかりません。
誰も知らない架空の鳥の方が、丸々描かれています。
「おしどり」を「あひる」といった人が見たらこれは「キジ」になりそー・・。
両方ちゃんと描いてほしかったなぁと思っています。

薄茶にベージュの格子柄のところはたぶん「金箔を貼った屏風の地」を
模しているのだと思うのですが、それが雲取りになっていて梅が描いてあります。
その合間の白いところは実は薄いピンクで、白い線で「波」が描かれています。
最初は「波の上に船があって、それを雲間から見た図・・にしては、
なんだか落ち着きが悪い・・なんか船が宙に浮いているみたいだ・・」と
そう思ったのですが、これはきっと、そのまま空を飛んで「天上人」とも
宴を楽しもう・・とか、この世ならざる美しさで、天上にも招かれん・・とか
そんな夢物語のような華やかさを描いたのかな・・と思いなおしました。

このお祭、今では三船どころか「お供」の船もワンサとでるわ、
貸しボートも合間を行き来するわで、たいへんにぎわうそうです。
もちろん「迦陵頻迦」「胡蝶」といった古式ゆかしい舞いも奉納されます。
また、「扇流し」というものも行われるそうで、
これは足利尊氏が天竜寺参詣の折、連れていた童子が誤って扇を落とし
それが流れてゆく様がたいそう優雅で美しく、たいへん喜ばれたことに由来する
ということで、今では船べりから芸妓さん、舞妓さんが流してくれるそうです。
拾うともらえるのだそうですが、ぬれてるんじゃないの?
ビニールに入っていたら、興ざめですねぇ。
いとこの話によれば、せまい川べりに押すな押すなでたいへんだけど、
別世界のような美しさだとか。いつか行ってみたいものです。

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8 コメント

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お~。 (蜆子)
2006-02-25 23:53:00
この柄、なんと私の黒留袖、別染めしてもらったものですが、竜頭鷁首に貴族とおぼしき宮人の絵柄、そのまんま、

その留袖、仕立ても京都で腕のたしかな人に、なにより身頃幅は指定してきっちり柄があうように、生地も松光縮緬の重さのあるもの、一部手刺繍、これはまあ、だったのに、言いたくもないのですが、太って見幅が合わなくなったのです。泣く。娘に譲ることにしました。今度の黒留袖は本加賀染、年齢も寸法も自分にぴったりあっているのですが、前の留袖に未練残ってます。

この柄みたら思い出しました。
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みはば・・聞きたくない言葉ですねー (とんぼ)
2006-02-26 00:09:02
蜆子様

まずは、さぞかし華やかな留袖だったことでしょうね。これは羽裏ですので、人の顔などもけつこういい加減です。着物などの柄だけはとても細かいんですけどね。身幅が合わなくなるのは、本当にガックリ。私は短期間で一気に太ったので、自分でもびつくりしました。不経済ですネェ。
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残念 ()
2006-02-26 00:46:50
昨年秋に着物関係の講習会に参加をする事を急遽決めて宿を手配しようと思いましたら、どこも一杯。

講習会先の方に近くの宿を手配して頂き出かけました。

そうしたら何と 講習会当日がすぐそばの嵐山でお祭りがあり着飾った人達が船に沢山乗り込んで・・・との事。

宿が講習会の方の手配でなければサボってそちらに見学に行ってしまっていたかも知れません。



それにしてもきれいな柄ですね~
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ほんとに! (とんぼ)
2006-02-26 00:57:26
恵様

そりゃ惜しい!!私なら、急におなかが・・とかなんとか言って抜けてます?!京都のお祭は「祇園祭」(あまりに幼少で記憶ナシ)「時代祭」に行きました。時代祭のときは「巴御前」がそりゃあもうきれいで、カメラのシャツターを切るのも忘れたんですが、それに反して「小野小町」は・・・「えっ?」というひとでして、周りの人も「なんやぶっさいくな小町はんやなぁ」って・・かわいそーでした。
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知らなかった・・・ (陽花)
2006-02-26 11:54:05
とんぼ様

三船祭5月の第3日曜日なんですか。

知らなかったです。

近畿に住んでいて1度も行った事ありません。

祇園や先斗町はよく行くんですが・・・

それにしてもこの羽裏は美しいですね。
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意外と・・・ (とんぼ)
2006-02-26 13:38:59
陽花様

知らなかったりするものですよね。京都の親戚も代々暮らしているのに、金閣寺いったことない・・とか、祇園祭みたことない・・とか、言いますね。祇園、先斗町、いつも素通りです。3月には三条起点に骨董やをめぐりたいと・・思うだけは思っています。
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嵐山・奥嵯峨 (りさこ)
2006-02-26 17:03:48
とんぼさま♪

三船祭りのある嵐山周辺は、京の中でも一際しっとりとした空気感がありますね。トロッコ嵐山駅から竹林を通り、落柿舎、化野念仏寺などを訪ね歩き、奥嵯峨の緑濃い空気を感じながら歩けば、和の癒しをたっぷりと感じられます。最奥の鮎茶屋の間、愛宕山神社の赤鳥居前を左へ、保津峡沿いの狭い山道を車でしばらく登っていくと柚子の里・水尾の村。そこに源氏のルーツ、清和天皇が眠っておられます。
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いいところですね (とんぼ)
2006-02-26 17:51:00
りさこ様

私もズーッと若い頃ですが、嵯峨野巡りをした思い出があります。二尊院近くだったと思いますが「筍ご飯」の定食をいただきました。おいしかったですー。

そのときレンタサイクルでまわったんですけど、鳥居本でしたっけ、あの近くのトンネルを通ったら、中に入ったとたんに「ライト」が壊れているのに気がついて・・。当時は照明もなくデコボコ道、水溜りを僅かな光で察知しながらよけて走り、怖い思いをしました。もう一度ゆつくり散策したいです。
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