
写真は、最近お譲りいただいた訪問着です。洗い張りもの。
やさしい古典柄で、何とも言えない色合いがすてきです。
ブログの「おたより欄」から、時々和装の質問をお受けすることがあります。
時期によって、たとえばこれからの時期ですと「入・卒の着物について」のご質問、
夏には「浴衣に関すること」、そして秋口になると。翌年の「成人式」か「七五三」に関するご質問。
まぁどれもこれも用がなくなってしまった私は、あぁ振袖いいなぁ、七五三、かわいいなぁなんて、
うらやまし--い思いを抱きつつ(不純だって)、一生懸命ご一緒に考えさせていただいております。
そういう質問の中で「買うと高いので借りたほうがいいかどうか」というようなご質問もあります。
これはほんとに難しい…。
先般の「色留袖」もそうなのですが、迷う和服はほとんどが高価なものです。
一度着物離れしてしまった今の状況でも、やはり「晴れの日は」…と思うのは、
あぁやっぱり日本人だもんねぇ、とうれしく思うのですが…。
晴れ着に限らず、一度着物離れして、また少しずつ盛り返してきている今、
着物というアイテムを暮らしの中に取り入れるには、何が問題かというと、
「費用」と「メンテ」と「繰り回し」です。
元々着物は、それだけで終わらないもの…です。そういうつくりになっていることと、
それを着てきた人間も、それを踏まえての暮らしをしてきました。
なんか小難しい言い回しですが、要するに、着物は自分で解いて、洗って、仕立て直す、
あれこれダメージがきたら、工夫して「作り替え」をする…のが、
一家の主婦だけでなく、女性ならみんなできたことだったわけです。
特別いいものは別ですけどね。
母は大正末期の生まれでしたから、和装洋装まぜこぜの暮らしをしていました。
通っていた小学校の集合写真では、着物で着ている子供の姿もあります。
娘時代は、お勤めは洋服、お出かけは着物…みたいな?
そんな状況でも、和裁は自分のものは一通りできました。
伯母はさらに年上でしたから、和裁に通わされ、男物袴も縫いました。
私の時代になって…間に戦争という、とんでもなく余分なものが入ったということもあるのですが、
和裁のできた人たちも、洋装に傾いていきましたから、縫って着られても、それをやることが減り、
ましてや子供には伝えなかったわけです。私も単衣までしか縫えません。
どんどん着物が減り、着物は特別の時に着るもので、作ってもらって、着せてもらって、洗ってもらうもの、
という位置づけになってしまいました。
最近になって、着物っていいね、と、若い方が着てくださるのは本当にうれしいことですが、
さて、着た後どうする…です。普段のウールや小紋、廉価な紬などは、家でも洗えますが、
それとても「コツ」や「注意すること」はあります。クリーニングに出す、のはいいのですが、
そのクリーニングの知識も、ちょっと中途半端です。
また古着で買ったものなどで、繊維の別がわからず、クリーニングから戻ったら、縮んでいたとか、
裏地がたぶってしまったとか、色がおちてしまったとか、そんなトラブルもあります。
普段着は自分で解いて洗う、縮むものは普段着でも「呉服屋を通しての悉皆やさんに頼む」、
そういった知恵も知識も、うまく伝わっていなかったりします。
もうひとつは「そのままでおわりか」です。洗うことではなく「着ること」。
つまり、自分が着たあとは…子供が着たあとは…です。
元々着物は「繰り回せるもの」というところが、すばらしい利点です。
普段の着物でも、着倒して傷んだら、そこをカットして別のものにする…。
もう一つは、お下がりとして、別の人が着る…。
昔は一枚の振袖を、姉が着て妹が着て、いとこに渡ってなんてこともありましたし、
親の振袖を娘が着ることも、珍しくはありませんでした。今は「おさがり」が喜ばれません。
全体に貧しかった昔は、普段着の「おさがり、おふる」は、当たり前のことでした。
いい着物について言うなら、着物そのものがいいものだから、誰かが着ないともったいない…も
あったわけです。いいものなら、保管保存をしっかりすれば、20年30年たっても着られますから。
七五三の着物、たとえばその子が大人になって、結婚して男の子が生まれて…
「これはね、パパが七五三の時に着たんだよ」なんてこと、、今の時代にありますかねぇ。
それをするなら、いいものを買いませんと、今海外で大量生産されているものなどは、
数年で変色したり、金泥(風)のところが、ガビガビになって割れてしまったりします。
さまざまな事情が絡み合って、晴れの日の着物は選びにくくなっている面もあります。
「初孫だから」「一生に一度のことだから」
「どうせ一度しか着ないんだから」「子供は汚すから」「高いから」
レンタルでいい、ポリでいい、嫁ぎ先の親がだすのだからいい…。
あぁどしたらよかろー…ですね。
特に七五三などは、昔はお宮参りの着物を作り直して…が多かったものが、今はそれもしませんし、
以前聞いた話では「お宮参りはウチ(嫁ぎ先)が出したのだから、
七五三は実家が出せばいい」と言われたとか、なんかもう争議になりそうな…。
まぁすでにそういう晴れ着からは、遠いところにいる私がのんきにいうならば…、
着るときよりも、そのあとどうするか、で決めたほうがいいでしょうね。
たとえ一回こっきりでも、そのあと誰にも着せなくても、本物が着たい…なら、
せめていいものを買うべきですが、高いものを買うのは…なら、高いレンタルをするといいでしょう。
つまりポリの安いものより、少々お値段張っても、ランクが高い本物を借りる…です。
誰かに伝えるつもりがあるなら、正絹のものをきちんとそろえる…
今の時代、セット物はお勧めしません。
成人式の振袖や七五三の着物は、あれこれ問題が起きるのに…
結婚式の花嫁衣装は、当たり前にレンタル…なんで?
一回しか着ないし、残してもしょうがないし、買ったら高いし…。
これってホントは振袖にも七五三にも、けっこう当てはまるんですよね。
「花嫁衣裳と同じに考えるか、そうは考えないか」…答えはそのへんにありそうな気もします。
昔読んだ和裁の先生の文に、教え子が「白無垢の打掛は、のちのち染めて訪問着に、
掛下は襦袢に、丸帯は壊して袋帯二本にして妹と二人で、と、あとあとまですべて使った」
というようなことが書いてありました。おみごとです。
縫うという「手」ももっていて、それなりに呉服屋さんとのつながりもあったのでしょう。
いつかお嫁に行くときのために…と、みつけたときに白生地を買っておいた…なんて、
昔は親も本人も、そんなことを考えたものなのですが…。
気ぜわしい今の時代、気が付いたら「そのときがきてた」って感じですかしら。
そういえば…もう卒業式シーズンなんですね。寒い春ですが。
訪問着ですね。
奈良の孫が卒園の時には訪問着を着て
出席されたお母さんが多かったです。
地域性もあるのでしょうが、子供たちも
袴姿でいい思い出です。
我が家の娘も結局、成人式と卒業式しか着ていません。
おまけこちらは北国なのでこの時期、天候によっては大変なことになります。
卒業式では大学がレンタルを斡旋してその場で着付けもしてくれたそうですーそれを知らなかったので家から着ていきましたがやはり大変でした!
悩ましい問題ですね。まあ、あとは親がどうしたいかという感じなのでしょうかねえ~
自分は子どもなし、親族を見回しても女の子がいない。
「知人の娘」にあげたり貸したりするのは、どうにも惜しい。
何とか訪問着に仕立て直せないか、と数年前から考えているのですが、
訪問着にしたところで着る機会が思いつきません。
かなり気張った訪問着になるんじゃないかと思えますし。
和服を着るには着るのですが、
小紋・紬・せいぜい付け下げで、事足りてしまいます。
そうこうしているうちに時は過ぎ、
訪問着でも派手すぎて着る勇気を失いそうです。
ウチの古パソコンでは、ちゃんと色が出ていないのですが、
おっしゃるとおりの色です。
地域によって「みっともないから着物を着るな」と、
入学式の着物をお姑さんにとめられたりとか、
難しいことがおおいけど、おめでたいことだし、
いい記念になりますよね。
雪国では、振袖にもモンペがいりそうですね。
草履というわけにも行かないでしょうし、
たいへんですねぇ。
親の思いと子供の思い…姑に母親…
全部を満たすのはたいへんですねぇ。
最終的にインテリアにする方法もあります。
「着物 屏風」で検索すると、加工してくれるところが
出てきますが、かなりお高いです。
私は羽裏を使って、写真用の縁の細い額を大小二枚、
蝶番でとめて、枕屏風にしようと思っています。
まだ片側しかできてなくて、そのままもう何年目…ですが。
いろいろなパネルとか、フレームが出ていますから、
自分でも屏風や衝立、パーテーション、額など、
作ることができると思いますよ。
枕屏風がうまくいったら、自分が七五三に来た着物を、
パッチワークみたいに並べてみようと思っています。
着物を着るのは写真館の中だけ、お参りは普段着で済ませる人もいるみたいで。。。
洋装のドレスと着物が同じレベルになっちゃっているんだなあ、と寂しくもあります。
私はわりに子供の頃から着物を着ているほうですが、女系で年が近い女の子がやたらと多かったせいで振袖その他の着物や帯はぐるぐると親戚中を巡回していました。(笑)でも当時の田舎はどこもそんな感じだったと思います。
>白無垢の打掛は、のちのち染めて訪問着に、
>掛下は襦袢に、丸帯は壊して袋帯二本に
なるほど、そういうことだったんですね~。
ちなみにヨーロッパでも、結婚式のあとのドレスを染め替えることはあるので同じことですね。
遠くからのコメント、ありがとうございます。
最近は子供に妙な「七五三ドレス」などという木綿ものを
着せたり、子供は礼装なのに、親はジーンズだったり。
なんか七五三がイベントになってしまってますね。
さみしいことです。
私の7歳の着物は、最後はどこまで行ったやら…でした。
大したものではなかったけれど、写真だけが残っています。
着物は染め替えや作り替えができるものですから、知恵を絞って
大切に着たいものだと思っています。
ドレスも染め替えるのですか、初めて知りました!
節約は世界の知恵、ですね。