ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

これも「馬柄」でいいと思うんですが・・

2006-09-21 18:45:38 | 着物・古布

長じゅばんの袖、2枚分だけしかありません。
フチの色を見ると、実際には地色はもっと濃い「こげ茶」だったようです。
図柄は見たまんま「馬券」です。好きだったんでしょうねぇ、競馬。
もしかすると「これを着ていくと大穴を当てる」なんていうジンクスつきで、
すりきれるまで着倒したのかも?
ってなわけで今日は「競馬」のお話し。
着物考?のお話は、これからボチボチと・・に致しますので。

私がまだ20代の頃、「トウショウゴンタ」という名前の馬がいたのですが、
これがラジオの実況中継を聞いていると、どうしても
「とうきょうぼんた」に聞こえる・・、いましたよね、そういう芸人さん。
シンザン、クライムカイザー、テンポイント・・かっこいい名前がスキでした。
なんでこんなに馬の名前をしっているかというと・・・
実は、結婚して住んでいたところが「中山競馬場」のすぐ近く。
主人も、少しはやりましたので、ふたりで500円ずつだしあって、
大きなレースを買ってみたこともありました。あたったためしがない!
競馬場にも連れて行ってもらいましたが、とても広々としてきれいなところ、
おんまさんも、実物を初めて見ましたが、それはそれは綺麗なもので
人間の作り出した「芸術品」と言う感じでした。

さて、この柄の中の馬券には「1924・1925」などの年号が見えます。






馬券といわれるもの、本当は「勝馬投票券」といいますが、
これにもちゃんと、そう入っています。場所は「鳴尾競馬倶楽部」。
今競馬を主催しているのは「中央競馬会」、最初は国営でしたが、
かの有名な吉田茂首相が問題視したことで、結局「特殊法人」として
「日本中央競馬会」が主催する形になりました。
と、この程度は知っていたのですが・・・「鳴尾競馬倶楽部」ってなに??
で、調べてみました。

こういう図柄というのは、まったくの創造とか「もどき」とかがあります。
たとえば「タバコ柄・お酒柄」なんかも、実在しない銘柄のものとか・・。
ところが、この「鳴尾」、ありました。まぁ券そのものが本当に
こういうデザインであったかどうかまでは調べてないんですが、
とりあえず、この「鳴尾競馬倶楽部」、実は事件にひっかかってました。
おおざっぱですが、最初「競馬」というものを奨励したのは、
明治時代の「桂内閣」のときのこと、
以前やはり「馬」のお話をしたとき、日本の国産馬は「ポニー系」で、
実際にはちっこい馬で「戦」をしていた・・と言うお話をしました。
その後鎖国が解かれて、外国の馬を見たとき「こりゃたいへん」と、
外国馬の輸入、育成に努めた・・と、そんなお話です。
結局そのことなわけでして、日清日露の戦争で「ガタイの大きな馬」の必要性を
強く感じた当時の内閣が、「馬」の育成と「お金」、その両方を、
うまく手に入れようと、競馬を奨励したわけです。
あくまで「軍馬育成」の名の下に・・なんかうさんくさいけど・・・。
それで東京で開催してみたところ、大もうけ・・いえ大成功。
となると地方もだまっちゃいません。地方競馬の社団法人申し込みが殺到。
実は記述を見ると、東京で行われた競馬については、できうる限りの準備をし、
外国の競馬にならって、発券・配当、レース開催のノウハウなど、
超一流のスタッフをそろえての開催だったのですが、地方にその力はありません。
そのため認可は慎重に・・といっていたのに、あれよあれよというまに、
地方競馬が乱立したわけです。「鳴尾」も、そのひとつでした。
本来、イギリスのダービーなどでもご存知のように、
競馬は「紳士淑女」の社交場にもなる場所です。いたって上品であるべきところに
ヤクザさんが出入りし、やれ八百長だの、配当金のごまかしだのと、
モンダイがでてきたわけですね。

元々馬券を発券してお金を設けるということは、政府の黙認の元に行われていて、
政府としては「いい馬」は欲しい、でもガラがわるくなっちゃ困る・・で、
一応政府から派遣されていた「競馬」の管理をするお役人もいたのですが、
結局いてもいなくても・・だったんでしょうねぇ、あるとき馬券禁止の
強硬派であった司法大臣が、このおうまさんを管轄する「馬政局」に無断で
「鳴尾」の主催者を「賭博違反」で逮捕したわけです。これが前述の事件です。
これがきっかけで、馬券発売は禁止になったのですが、馬券が売れなきゃ
開催も不可能・・というわけで、今度は一度全部ご破算にして、
場所を政府が限定し「補助金」で「馬券のない競馬」を開催させた・・。
今、「馬券なしの競馬」なんてやったら、お客さんきますかねぇ。
なぜそうまでして「競馬」をやったかというと、
どうしてもいい馬が欲しいから、なわけです。
馬の品種改良をして、よい馬を産出し、軍馬として使う・・、
まさか「馬」での戦争なんかしなくなっちゃうなんて、そのときは・・ねぇ。
とにかく、そうやって競馬は、ほんとにただの「競い馬」になったわけですが、
その10数年後に「ちゃんと管理して馬券売ろうよぉ」と、
そういう話がやっと進んで、競馬に関する法律ができ、
やっと「馬券」つき?の競馬が許可されたのが、1923年のことだそうです。
で・・・この図柄の「鳴尾」とか1924とかの意味がわかったわけで・・。

私は「変わった柄」がすきで、よくこういう「なーんか意味ありげ」
な図柄のものを入手します。調べてそういうことかぁ・・というだけで、
別になんということもないのですが、楽しいんですよね。
当時の暮らしとか、着ていた人の思いとか心意気とかに思いをはせる・・、
アンティークの魅力のひとつだと思っています。







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9 コメント

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競馬といえば (蜆子)
2006-09-21 21:24:30
石川県内灘に競馬場があると知ってました。内灘方向に用事があっても道がわからない、カーナビなんてなかった頃、前の車についていったところ、あ~ら競馬場に、案外きれいなところで驚きました。しっかり賭けて、当然あたりませんでした。今行こうと思ってもどこかわからない、



大島で競馬場を引退したという馬に乗ったことがあります。地方競馬でも全然駄目だったという馬、ダメ五郎という名前でした。下が砂場なので、素人でも走らせていただきましたが、ダメ五郎でも結構早くてちょっとジョッキーになった気分でした。今でも馬に乗れるのかな。
返信する
うまこですからね (うまこ)
2006-09-21 22:05:29
馬は好きです。

競馬場でバイトをしたこともありますが、

馬券は買いませんでしたが(学生だったし)

どんな体型の馬が速いかの研究はしました。

昔着物の展覧会で時事ネタの着物のなかに競馬ネタの着物もありました。どのような人がどのような機会に着たのでしょうね。それとも男性用柄としてはさほど珍しくなかったのでしょうか。
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Unknown (陽花)
2006-09-21 22:37:18
競馬にそんな歴史があったんですね。

私は馬券の買い方も知りませんが、時折

テレビでOO記念の競馬中継なんかを

見ますが、後ろの方にいた馬がぐんぐん

追い上げ走る姿は格好いいですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2006-09-21 22:51:10
蜆子様

競馬場はきれいですね。

ダメ五郎くん、なかなかやるじゃありませんか、

そういうところで走るほうが幸せだっでしょうね。



うまこ様

馬の柄そのものが、「左馬」とか「うまくいく」とか

縁起のいいものとされてましたから、

柄としてはけっこうあります。

更に「競馬」の一攫千金!!のユメとロマン??

男の人には人気柄だったかもしれませんね。



陽花様

後ろから一気にでてきて、トップになるのは

「差し馬」もしくは「追い込み馬」といいます。

差し・・の方は、レース中真ん中より少し後ろにいて

そこから後半どーっくるもの、

追い込み・・は、最初ずーっと後方にいて、

最後に、どどーっとおいこんでくるものです。

先行、逃げ、この4種のうちのどれか・・でして、

この技は、一レース中一度しかつかえませんから、

騎手は展開を読んで「ここから追い込み!」などと

ムチを入れるわけです。

とんぼは競馬はやりません、念のため!!
返信する
こんばんは (キャット)
2006-09-21 23:46:39
 とんぼさん、お身体すっかり回復されたとのこと、何よりです。余りご無理をなさらずに楽しませてくださいね。(笑)

 

 馬券柄・・・こういったものがあるのは初めて知りました。

 楽しいのですね。



 私は流鏑馬(スポーツ感覚のものです)をやりますし、それ以前からも夫について競馬場に行っていました。

 馬は見るだけでも好きです。競馬場に行ったら1レースで馬券を二枚か三枚(200円か300円)買いますよ。

 

 気に入った子(馬ですよ)が一所懸命に走り終わったら、何着でゴールしても拍手してしまいます。(笑)
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Unknown (とんぼ)
2006-09-22 01:01:02
キャット様

ご心配おかけしました。

動物はなんでも好きなのですが、

馬の目は大きくてホントにかわいいですね。

流鏑馬などは「人馬一体」というのが、

特に求められるのではないかと思っています。

ステキなご趣味です。



馬券柄も、お札柄もあります。

ほんっと昔は「なんでもアリ」です。

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馬柄 (ko2)
2006-09-22 01:05:05
面白い柄ですね

うちでも見たこと無いです

これで、アロハを作るとカッコイイですよね

和裁と関係なくすみません

PS.東京ぼんた、大阪シロー、名古屋章

三大都市トリオですね(大嘘)

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Unknown (とんぼ)
2006-09-22 18:56:29
KO2様

「えっ」とか「ギョッ」とか、びつくりする柄、

けっこうあるんですよ。

HPには「面白柄」でご紹介する予定です。

和風アロハ、きらいじゃありませーん。

着物から洋服・・というのも少し視野に入れてます。

すごしよくばっているので、実現はずっと先に

なりそうですけれど・・。

大阪シロー、名古屋章、懐かしい!

知ってる私のトシはいくつダー!!
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いまさらですが・・ (蜆子)
2006-09-22 21:37:52
KO2さま

名前、なんとお呼びすればいいんでしょう。

いろいろ想像しています。
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