東京リサーチ日記

「なう」は永久に運営しておりません。なうからフォローしても、なうからペタをしても必ず削除しますので、ご注意ください。

「あん」

2020-08-22 00:00:00 | 日記
 2020年8月22日、女優・樹木希林さんは言う・・・カンヌに行った日本の女優で一番の高齢じゃないんですか、って宣伝の人が言うのよ。どうですか、誰か記憶にありますか。オープニングに行って、それで終わりなんだけど、街の雰囲気だとか、みんなが高揚していく感じだとか、この年で見られるというのはありがたいことだと思いますね。〈2015年5月24日に閉幕した第68回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門オープニング作品に主演映画「あん」(河瀬直美監督)が選ばれ、レッドカーペットを踏みしめた。新聞社のインタビューは出発前、東京都渋谷区の自宅で行ったのだ〉この映画はほぼ1年かけて撮ってるの。去年の1月6日、監督の河瀬さんから突然、電話がかかってきて、「東京に来てるんだけど、全生園(ぜんしょうえん)(映画に登場する東京都東村山市のハンセン病施設)に行かへん?」って。それで西武新宿線に乗っていったのよ。そしたら原作者のドリアン助川さんが、電車に乗ってたら人に見られるのでは、って心配してくれたのね。そのとき河瀬さんがね、「希林さんは自分の存在を消しはる」って。特に扮装(ふんそう)するわけじゃないけど、存在を消すのね、私。いつもそうなの。毛皮のオーバーにはSuica(JR東日本のICカード)を入れるポケットもあるのよ。毛皮屋さんがつけてくれないから、自分で一針ずつ縫ってね。羽田空港に行くときはモノレールで、浜松町から。やっぱり役者だから、日常生活をしないと役を演じる上でいざというときに損しちゃう。私は車の運転もするし、なるべく1人でやっちゃうの。事務所もなし。留守電で十分。人がいる方が手間がかかる、そんな気がします。 〈映画には、女優・樹木希林の今が刻み込まれているのでは、と聞いてみると・・・〉あんまり、それは。役だからね。役名をもらって衣装を着て、普段は言わないようなせりふでしょ。「あずきの声を聞くのよ」とかね。私自身はあずきの声は聞こえません(笑)。ただそういう劣等生ですけど、60代になってから次々と病気をすると、だんだん体の不調というものに耳を傾けるようになるわけですよ。だからあずきの声は聞こえないけど、自分の体の声はちょっと聞こえるかなって感じはしてきました。2020年現在の樹木希林さんは・・・(井森隆)