バケットヒル後、テルムにて戦後処理が行われます。
これは、ゲームを見る限り、ほとんどケルヴィンをはじめとするギュスターヴの側近らによって執り行われたようです。
ギュスターヴ14世は処刑され、いよいよギュスターヴらによる統治に向けての第一歩が踏み出されようとしています。
が、その前に片付けておかなければならない案件が二つ残っています。
ノール侯とオート侯の処遇です。
オート侯に関しては終戦後、早々に使者を立て恭順の意を示しました。
この使者というのが故ソフィーの第三子であり、今はオート侯カンタールの正室となっていたマリーです。
先の内紛では傍観に徹していたため、オート侯の罪は問われませんでした(所領没収・家名断絶などの重罪には問われなかったという意味で、何らかのペナルティーを科された、ということは十分あり得ます)。
かつて黒田官兵衛は関ヶ原の折に、これを天下取りの最後の好機と見て兵を起こします。
結果的にこの目論見は失敗するのですが、前もって息子の黒田長政を家康に帰順させていたために家名を後世に残すことができました。
権力志向の強い者には、綱渡りのギャンブルを繰り返していく者と、保身を第一に考える者とがあるようです。
カンタールはこの点、十二分な行動力を有しながら、抜け目なく保身を図っています。
一方のノール侯フィリップですが、この煮え切らない男は戦に負けたにもかかわらず、自らの身の処し方も知らずにいました。
オート侯妃マリーの仲介を得て、3兄弟は再会を果たすに至りますが、怨嗟の声を上げるだけのフィリップに、ギュスターヴはかつて幼い弟から母を奪ってしまったことを謝罪します。
この辺のくだりは、ギュスターヴ編の最も重要な見せ場の一つと言ってもいいですね。
ギュスターヴの内面にくすぶる家族に対する贖罪の気持ちが、フィリップの処断を躊躇させたのかもしれません(ケルヴィンあたりは、これを機にオート侯・ノール侯の両方を消しておきたかったのではないでしょうか。もちろんギュスターヴ等一党による権力基盤の確立のためです。しかし、カンタールがこれを逃れたため、せめてノール侯だけでもという思いがあったのかもしれません)
恨みを吐き出すだけのフィリップに対して、亡き母ソフィーのアニマがギュスターヴの体を通して顕現します。
これによって長年の兄弟のわだかまりが氷解し、ギュスターヴは兄弟統治の道を模索し始めます。
この先かなりきつい推測を交えますが、どうか寛容をもってお聞きください。
ギュスターヴはメルシュマン統一後、ロードレスランド支配に向けて動き出します。
ロードレスランド西部にハン・ノヴァという新首都を建設したギュスターヴはテルムの王宮をフィリップに任せます。
ギュスターヴの構想にあったのは、メルシュマン地方の統治の一切をフィリップに任せるというものでした。
そのため、いまは空位となっているフィニーの王位に就くべく、ファイアブランドの儀式にフィリップの嫡子フィリップ2世が臨むことになりました。
フィリップはこの儀式に失敗していたので、息子までもファイアブランドに拒絶されると、即ちフィニーの王位を失うことになります(それを望む者もいたのでしょう)。
フィニーは神権主義的傾向の非常に強い国です(そのためギュスターヴ母子は追放されました)。王権を象徴するファイアブランドの承認は、即ち神の承認でもありました。そのため、誇り高いフィニー国民の支持を得るには儀式の成功は欠かせないものだったのです。
そして悲劇は起こるのです。
ファイアブランドの承認を得たフィリップ2世が、父親の目の前で暗殺者の刃に倒れます。
息子の死に直面したフィリップはアニマを暴走させてドラゴンへと変身し、遺骸と共に空に消えていきます。
絶望に打ちひしがれるギュスターヴの耳に、暗殺者の言葉が残ります。
「誰に頼まれた」
「誰って、あなたではありませんかギュスターヴ様」
この暗殺は、ギュスターヴ兄弟の離間を謀ったものだったのか?
だとすると、誰の手によるものか?
カンタールか?
これは十分考えられる話ですが、だとすると、間髪を入れずに軍事行動を起こさなくては意味がありません。
したがって、これをカンタールの謀略と断定するにはいささか無理があります。
しかし、カンタールを失脚させるための策であると想定すると、いくらかリアリティーが出るのではないでしょうか?
また、フィリップらによるメルシュマン統治を良しとしない勢力による策謀とも考えられます。
したがって、私はケルヴィン黒幕説というのも十分あり得るんではないかと考えているんです。
仮にフィリップによる統治が行われたとして、裏でカンタールと繋がらないという保証はありません。
政治的判断力の欠けるフィリップであれば、カンタールの付け入る隙などいくらでもあるようにケルヴィンには思われたのではないでしょうか?また、暗殺者にギュスターヴを依頼主と思わせたのも、自らに嫌疑が及ばないようにするための保険であったと考えることができます。
前年に父であるヤーデ伯トマス卿を亡くし、この先ギュスターヴ体制の柱石たらんと覚悟を新たにしたケルヴィンが、鬼の決断を下したのでは?と考えると、政治劇としてのサガ・フロンティア2により奥深さが増すように思うのです。
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