
たまたま続けて読んだこの2冊の本にまったく同じフレーズがあった。
「目的意識を持つな!」(「『狂い』のすすめ」51p)
「理想、目的は持つな」(「適当論」107p)
高田純次の方は「若いうちにこんなものを持つと、空虚な挫折しか経験できない」と続く。
ひろさちやは「目的意識があると、われわれはその目的を達成することだけに囚われてしまい、毎日の生活を灰色にすることになるのです」と説き、魚を釣るためではなく“俺の針にかかるような魚なんかいない”と思いながら無心に糸をたらすのが本当の釣好きだという。
目的なんかもたなくても、目の前の好きなことを夢中にやっていけばいい。
迷うときには迷えばいいし、いいことがあったら喜べばいいだけだ。
そうやって生きていくと、きっとどこかで帳尻が合う。
それをひろさちやは「仏さんの決めたとおり」だと言い、
高田純次は「バランス」という言葉を使っている。
美輪明宏の「正負の法則」もこれと並べていいだろう。
高田純次みたいに生きたいなあと思う人は多い。
「俺は100メートルを9秒で走れたよ。バイクで。」(「適当論」93p)
などと笑いながら世間を闊歩しているように見えるからだ。
でも、彼が今までの人生で一番うれしかったことは
公団住宅の抽選に当たったことだそうだ。
そういう人だからこそ、「高田純次」なんだな、きっと。
注>高田純次の本、聞き手の和田秀樹がちょっとうっとおしい。