快読日記

日々の読書記録

「シズコさん」佐野洋子

2011年12月12日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《12/11読了 新潮文庫 2010年刊(2008年に新潮社から刊行された単行本を文庫化) 【日本のエッセイ】 さの・ようこ(1938~2010)》

清水ミチコのブログを読んでいたら、この前弟とお母さんが一緒に遊びに行ったと知ってムカッとして、自分が弟に対してヤキモチを焼いているのだと気づいた、という話がありました。
母親を恋しがる気持ちは年齢に無関係。
ちなみにわたしも、母そっくりの顔のくせに性格や考え方が正反対で、決して仲良し母子とは言えないのに、一人暮らしをしていて思い出すのは圧倒的に父より母でした。
たしかに、母娘って複雑。
同性である娘にとっての母親は、女としてはライバル、母としては無条件に自分を受け入れてほしい人。
つまり、存在自体が矛盾をはらんでいるわけです。

母親と性格が合わず、拒絶され、ずっと愛せずにいたという著者による語りは、よく聞くと母を切なく激しく求める幼女の声に聞こえて、ズキズキと痛く、何度も読むのを中断しました。
佐野洋子が亡くなっているから、最後の救いの場面までなんとか読めたような気がする。

「かわいそうな母さん。かわいそうな私達。人生って気が付いたときはいつも間に合わなくなっているのだ」(130p)

/「シズコさん」佐野洋子
このブログに投票する。