快読日記

日々の読書記録

「邪眼鳥」筒井康隆

2011年12月05日 | 日本の小説
《12/4読了 新潮文庫 1999年刊(新潮社から1997年に刊行された単行本を文庫化) 【日本の小説 短編集】 つつい・やすたか(1934~)》

収録作品:邪眼鳥/RPG試案―夫婦遍歴

ひとことで言えば、尋常じゃない小説。

「邪眼鳥」は、31歳年下の美しい後妻を残して死んだ資産家・入谷精一の葬儀の場面から始まり、
その息子たちが「時空の迷宮」にはまりこんで…という話だよ、と説明しても何も伝わらないような気がします。

ほとんど読点がない、
場面が変わっても段落が変わらないので、読者は気がつくと変なところに連れて行かれてる、
そんな奇妙な文章と、
時空が歪むというSFなしかけと、
人間の生々しい欲望の描写とが、
抵抗できない引力を持ってマーブル模様に混ざりあい、
三半規管をぐらんぐらん揺さぶる小説でした。
わたしは終始酔いっぱなしで、うわあ!なんだこれ!おもしろい!程度の反応しかできませんが、それもまたよし。
東浩紀の解説を読んで「へえ~、そういう風に読むのか~。」と感心するのもまた楽し。

この前挫折した「夢の木坂分岐点」にもいつか再チャレンジしたいです。

/「邪眼鳥」筒井康隆
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