快読日記

日々の読書記録

「広告批評の別冊11 淀川長治の遺言」

2009年02月21日 | その他
《2/4読了 マドラ出版 1998年刊 【インタビュー 淀川長治 映画】 》

他の人の本で淀川長治のエピソードを見掛けても、本人のものを一度も読んだことがないなあとふと思い立って。

21世紀を目前に亡くなった淀川さんですが、
その「21世紀は人間が人間らしさに見離される時代」という予言には背筋がゾクッとなりました。
自殺したある思想家が遺した言葉「明日の日本は見たくない」を連想したからです。
だからといって、わたしは(あなたも)、生きて行くことをやめるわけにもいかない。
そこで、「人間らしさ」を取り戻す心掛けが必要になるのかもしれません。
ヒントになったのはこんな名言。

「僕は人を憎むくせに人が好きね」

ああ! (図々しいけど)わたしも。
この世で一番嫌なのは人間だし、一番おもしろくてたまらないのも人間ですね、きっと。

穏やかで人のいいおじいさんみたいなイメージしかなかったので、
その感情の激しさや人を見るちょっと意地悪な目、相手を射抜くような鋭さなど、淀川さんの怖さが印象に残りました。
そしてその「怖さ」こそがすごく魅力的です。