快読日記

日々の読書記録

「大不況には本を読む」橋本治

2009年12月04日 | エッセイ・自叙伝・手記・紀行
《 11/17読了 中公新書ラクレ321(中央公論新社) 2009年刊 【社会】 はしもと・おさむ(1948~) 》


タイトル通り、結論は「だから本を読む」というわけなんですが、
そのゴールまでの展開のおもしろさといったら!

もつれた紐をするするほどくように、日本人の来し方を丁寧に振り返り、正確に分析しています。
ちょっと泥臭い言い方をすれば(その泥臭さこそ今必要なものなんだけど)、
「今、日本人が考えなければならないこと→この時代を生きる上で不可欠な"足腰の力"をつけるために何を考えたらいいのか」みたいなことを提案しています。

いわゆる経済評論家の「生き残るための戦略」ってやつとはまるで逆向きなので、その手のものを期待する人にはおススメできませんが、
そういうのを求めていない人にはとても示唆に富む1冊。
あ、本当にこの本が効くのは「そういうのを求めてる人」かもしれないです。

小説「巡礼」のサブテキストとしてもイチオシです。