新築の奈良地方裁判所1階フロア吹き抜け南側の大きな絵に目が行く。作者は誰なのか自分の知るところでは無いが、色鮮やかに仕上げられたその絵は、シンプルで堅苦しい裁判所の雰囲気を幾分かは和らげているようだ。奈良のイメージをアピールすべくシンボルの興福寺の阿修羅立像が左手に大きく描かれている。だが、右手下に馬上から官人が眺める奈良の都が緑の自然に包まれている感じは良いとしても何か物足りない。現代に残る堂塔がポツンポツンとあるだけ。例えば大伴旅人あたりが目にした寧楽の都は東大寺や興福寺が七堂伽藍を競っていた頃。或いは青丹よし、平城京の豪奢な宮殿が描かれていてもおかしくないのに。現実には薬師寺が竜宮城のようになってしまったり、平城宮跡に朱雀門が“出現”したり、はたまた東大寺もそんなに遠くない将来、七重の塔建設を実現させるのではないかと言う話が出てきたりと古代の復元は急ピッチだ。想像の世界が退化して我々が心に描く古代の姿が逆にどんどん貧相になっていくような気がした。
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