十勝の活性化を考える会

     
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連載:関寛斎翁 イコサックルさんの死の真相を追って

2020-05-22 05:00:00 | 投稿

 

・出発点
このお話の出発点は、有名な監察医 上野正彦先生の言葉から始めたいと思います。
「たとえば、死体に目立った外傷がなく、家族に事情を聞いても犯罪を臭わす事実が何も出てこなければ、警察は病気だろうと考えてしまう。ところが、このとき死体所見から「実は私は殺されたんです」という、被害者の叫びを聞き取ることができる。」【自殺の9割は他殺である】元東京都監察医院院長 上野正彦博士

 

・簡単な経緯
 すでに多くの研究者により解明されている当時の状況を簡単にまとめました。
1912年(大正元年)徳富蘆花の協力を得て「命の洗濯」出版(関牧場創業記も収載)
  6月14日 股肱の「イコサックル」さん自殺
        続くように「エディンコ」さん自殺
  9月13日 明治天皇崩御、乃木夫妻自刃
  10月8日 三男餘作 網走監獄の医官として着任
  10月14日「イスカリオのユダ下剋上の書類を携えその子を北上せしめた」  
         長男生三の二男大二が訴訟を起こす
  10月15日 関寛斎 農場事務所で死亡 享年82歳
 

 辞世 諸ともに契しことも半ばにて斗満の里に消ゆるこの身は
     わが身を焼くな埋むるなそのままに斗満の原の草木肥やせよ(八十三老白里)

 

・イコサックルさんの記録
 過去の様々な資料のなかにイコサックルさんはたびたび登場してまいります。
「『関寛斗満考』関寛の陸別地名調べに協力したアイヌの人たち 徳富盧花来訪面談者を含む(明治43年)
トミソク・エコサックル(徳富盧花と面談したイコサックルと同一人物)・イカイラン・イタキレッバ・セイキオック(小川ヤイコク徳富盧花と面談)

・エンデコ(関寛の治療を受ける。利別在住)」【十勝の記憶デジタルアーカイブ】十勝支庁 
「三十七年八月、土人注)イコサックル我牧塲内の熊害を防ぐ為めに居ると定めて、橋畔に小屋をかける。
三日、馬、熊害にかかる。」【関牧場創業記】
熊の被害に手を焼いた寛斎さんは、イコサックルさんに牧場の警備を依頼し、熊一頭5円の賞金をつけて、又一さんを呆れさせたという逸話もあります

・事件の概要
イコサックルさんは、寛斎翁の死亡から半年ほど前、病苦により鉄砲自殺したことになっております。それを追うようにエディンコさんも自殺したと言い伝えられております。
この3名の相次ぐ自殺について、私は素朴な疑問を抱きました。なぜ関係の深かったこの人たちが、続けざまに自殺しなければならなかったのか。その状況や背景、そして動機について調べることにしました。
寛斎翁の「自殺」については、諸先生たちのさまざまな説明付けが行われておりますが、はっきり申し上げて「諸説あり」の域を出ておりません。ちなみにこれまで様々な推測で語られてきた自殺の手段(農薬説・モルヒネ説・毒薬説・アヘンチンキ説・ピストル自殺説)については、ほぼすべて否定することができますが、詳細については機会を改めます。
とは言え百年前の事件ですから、物理的に証拠を集めることは困難でありましたが、牧場に残された薬箱と関係者の証言や周囲の状況の積み上げ、そして当時の社会情況を分析していくと、おおきな闇の世界が見え隠れしてまいります。
残された物証やこれらの史実を検証していくため、私はまずエディンコ・イコサックルさんの状況を調べることから始めました。
エディンコさんについては、まったく手掛かりがつかめませんでした。
しかしイコサックルさんについて、ネット上でいろいろ検索してゆくと、釧路新聞のアーカイブからその記事を発見しました。それが釧路図書館所蔵のマイクロフィルムに格納されていることを突き止めたのです。

早速釧路図書館を訪問し、マイクロフィルムを閲覧させていただきました。その内容は以下の通りです。

<<続く>>

注)「土人」という表現は蝦夷地や琉球諸島、そしてアジア南方の現地の人を蔑視し差別する用語として使われていました。国内では「旧土人保護法」として1997年(平成9年)まで、法律上の公用語として用いられてきました。

『最近では、2016年10月公務中の大阪府警機動隊員の一人が沖縄米軍北部訓練場ヘリパッド移設工事反対派に対して「土人」と発言し、ワイドショーなどで問題とされた(高江ヘリパッド問題)。この発言に対して鶴保庸介内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)は「ことさら我々がこれは人権問題だと考えることではない」、「『土人である』と言うことが差別であるとは個人的に断定できない」と述べ、撤回もしていない。沖縄の地元新聞である沖縄タイムスは「本土側の沖縄蔑視、差別はこれまでもたびたび繰り返されてきた。』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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